自由社会の「スリーパーセル」という考え方


一応、国際政治学者とされている方がワイドショーで特定国のスリーパーセル(≒工作員)が特定地域に潜伏していてテロ活動を引き起こす可能性があると発言したことで問題となっています。

敵性国家に(テロリストかどうかはともかく)工作員をお互いに入れていることは常識なので今更驚くこともありません。くだらない常識をワイドショーという感情増幅装置でワザワザひけらかして民族差別を煽るヘイトは惨いものです。まあ、この手の言論を垂れ流す人たちが太平洋戦争時に日系人強制収容所を作って多くの同胞に苦難を背負わせたんだろうなと思います。

さて、視点を変えたいのですが、本稿の主題は「政府機関のスリーパーセル」の話ではありません。

スリーパーセルというのは諜報用語ですから、一般的には政府機関の工作員を指します。しかし、私たちは特定の国家の工作員ではないため、私たち自身がある種の「スリーパーセル」であるという自覚はありません。

世の中では「政府機関」の名前の下に様々な議論がなされています。私たち自身も〇〇国民というような名称で自らを定義して認識しています。現状においては冒頭の某のように国家の名を騙った政府組織のイデオロギーをまき散らして、私たち自身を政府の構成員であるかのように認識させる装置が溢れています。

Vector Graphics

しかし、私たちは政府機関のスリーパーセルである前に自由社会の一員です。

ただし、ある日いきなり「あなたは自由社会の一員ですよ」と言われてもピンとこないし、あなたが行動に移ることができないとしても仕方ありません。現実には政府機関が認知上は存在し、そして機能もしてもいますから、たった一人で自由のために声を上げることは難しいでしょう。おかしな人だと思われるのがオチです。

しかし、私たち自身は政府が存在する以前に「生まれながらに自由を享受する人間」です。

本来は政府が存在せずに生きていくことも出来るわけですが、それを防止する様々な認識上または物理的障害が形作られていることによって、私たち自身に自由社会の一員である自覚は生まれにくく、多くの人々の意識は「眠ったままの状態」に置かれています。自由社会のスリーパーセルは誰かに指示されることはないので、自分自身で気が付くまで誰も命令を与えてくれません。

そして、一人ひとりが誰に命令されることもなく、自由を実現するために動き始めることを政府は最も恐れています。政府はあらゆる飴や鞭を駆使することによって、私たちに政府機関の保護下で暮らす存在であることを追認させ、自由社会のスリーパーセル(潜在的な自由主義者)が自らの意思による指令を受けることを阻害しているのです。

私たち一人ひとりが先天的に自由を享受する存在であることを自覚したとき、眠っていたスリーパーセルたちが目を覚まして社会を変えていくことになります。我々の中にも多くの自由主義者が存在していますが、その声が形となって現出するときが近づいています。

政府機関のプロパガンダが耳にやかましく響く昨今、ブロックチェーンなどの様々な技術の進展が私たちに行動するための機会を与えています。目の前の現実の中で生きていくことも大事ですが、私たちはゆっくりと密かに次の時代のための歩みを進めることができるのです。

願わくば、圧政に苦しむ世界中の地域の人々が目覚めて動き出したとき、彼らを支援できるような人でありたいと思う次第です。


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

渡瀬 裕哉の記事一覧