<インタビュー記事>河村たかし名古屋市長、減税政策の根本を語る


昨年末2017年12月トランプ大統領の約30年振りとなる大幅な減税法案が可決されたように、世界は減税の流れが再び生まれつつあります。しかし、日本では未だに増税の方向性に向かう声が強く、特に現在の地方自治体で減税を実施できている自治体は日本で名古屋市だけとなっています。そこで、税金に関する考え方について、河村たかし名古屋市長からご意見を伺いました。

Q. まず、日本だけ増税の流れが強いのは何故だとお考えでしょうか。

河村市長:これはね、議員が家業化して職業化しとるということです。議員が家業化すると増税がええんですよ。税金が多いほうがこれに使え、あれに使えという権益になる。そして、家業化すると、どうしても役人と仲良くなる。有権者の多くは役所に無理を言ってくるもので、昔の話だと特別養護老人ホームにはよ入れてくれとか、最近の話だとどこそこの獣医学校の話とかね(笑)

Q. 議員が「家業」になっているから役所とのしがらみで増税になるということですか

そういうのをうまくやると応援団になるわけでしょう。そうすると、役所に言いに行く必要がある。だから、議員が家業になるということは、生活を支えるために長くやらないかんから、役人に恩を売る必要性が生まれる。そのため、役人に恩を売る一番ええのは増税、先輩の天下り先が作れたりするからね。これが家業にならずに、はよ辞めるいうことになると、別にそんなこと自分でやりなさいよとなる。日本だけですから、こんだけ議員が家業化されたのは。これを言っとるのは、たいてい日本中で僕だけだと思いますよ(笑)。

Q.なるほど。日本特有の家業化が増税の流れを強める、そういう構造になるんですね。そうすると、トランプ大統領のような民間人がやるべきだと思いますか?

河村市長:そりゃ、家業でなければいつでもやめてやるよ、ということでしょう。だからイノベーションがある。日本だって戦前は、地方議会はボランティアだったんよ。だけど戦後、ボランティアじゃできんせんじゃないのということで、昭和22年に国会法35条・36条を改正して、国会議員はあらゆる職の一般職の公務員より少なくない給料と退職金を受け取ることができるとしたわけ。戦後の焼け野原だとボランティアだけだとできなかったから。

Q.それによって議員の家業化が進むことになったということですか?

当時の改革をやったのはGHQのジャスティン・ウィリアムさんという人なんだけども、議議会を立派にしたかったということだと思う。これは想像なんだけれども日本は世界中を敵にして戦ったわけで、もっと議会がしっかりしないといかんということだったんだろう。もう1つ推測なんだけれども、中国内戦が始まっている中で共産主義化を防ごうとしたんじゃないか。ボランティアでやるというと何となく共産化する感じがするでしょう。だから給料を上げた、それが地方に広がったわけ。だけどこれ、給料を上げたけども別に家業にするつもりはなかったので、戦後の特殊な流れなのよ。

Q.その流れが現在も残っているということなんですね。

河村市長:あとはマスコミかな。マスコミは巨大マスコミになってしまったわけで、現場の記者は立派だけれども。悪名高き再販価格維持制度など、一種のヒエラルキーというか偉いさんになったんよ、独占産業みたいなもん。そして、独占産業は増税、減税と言うことになると何に繋がるか。例えばテレビで言ったら、ゴールデンのコマーシャル料下げろとかね。嫌だからね、こんなこと。だから誰も応援してくれん、孤独な道を歩む。

Q.名古屋市はその中でも住民税の減税を実現されていますね。

現実的には、平成12年まで地方税の減税はできんかった。その時に、地方の起債の発行をそれまでは全部許可制だったのを届け出制に変えたの。減税をするということで標準税率未満の課税をしとる自治体は地方債の起債の許可制を維持するということだった。だから、許可があれば、減税してもええよとなったわけ。しかし、起債発行無しでは自治体運営はできない。

Q.そうすると、実際にはどのように実現されたのでしょうか?

ただし、国会で決めたんだけれども、実際には総務省の中で自治体の競争があったほうが良い、行政改革をやったら減税という形で市民に返すのは良いことだという2つの議論があった。たまにはええことをやる(笑)。それで、政令市は総務大臣の許可がいるんだけれども、その時の許可の内容は何か言うと、一般的には全ての減税の財源を起債で充てると言うことはいかんでしょうよということ。名古屋だったら110億ですけど、それをちゃんと真水で行政改革によって出しなさい、ということ。毎年、総務大臣の許可申請をして許可状を貰う。許可状の内容は「起債の許可についてはそれを上回る行政改革に取り組まれており、したがって起債を許可します」と。なかなか難しい、馬鹿げたもんだけども。

Q.アメリカだと自治体で税率が違うのは当たり前ですもんね。

河村市長:アメリカには元々地方税法がないでしょう。まあ、スーパーで大根を値下げするのに経済産業大臣の許可は要らないでしょう。地方自治体はそれだけ信用されてないということよ。ろくでもない地方議員と首長に任せたら借金して減税して破綻すると。しかし、本当は逆で税金は下げると破綻せんようになるんだけど。

Q.税金を下げると、結果として地方自治体もスリム化されていくということですか。

河村市長:地方の場合は、許可がいるんだから特にそう。地方の減税は、まず初めに財源をつくらないかんから良いですよ。国はそうなってませんから、地方なんて日本中やらないかん。まあ、こう言うとすぐ反論される。名古屋はええんだと、トヨタ自動車もあって税収が豊かだと。よう言うけど、地方の町村は公務員の給料高いんですよ。計算してみると面白いですよ。

Q.公務員の給与を計算ですか?

公務員の給料をちょっと辛抱すればええの。地方自治体で住民税5%や10%を減らした分だけ、公務員の給与を下げる額なんて直ぐに計算できる。わしが市長になった時、東京を除いて名古屋市は公務員の給料日本一高かったんです。それを70万円下げて、今は14位です。そうして180億円のキャッシュを作って、うち110億円を減税、あと70億で、2年連続ワースト一位だった待機児童も日本一の4年連続ゼロになりましたよ。だけど、これが一番できんの。なぜ出来ないかと言ったら、議員が家業になっとるからということにつながる。公務員の給料下げる言うのは最大の悪ですから。名古屋はそれをやってきたもんで、わしもなかなか雰囲気悪いわけだ(笑)。

Q.減税すると税収が減るという批判についてはどのようにお考えですか

個人市民税をはじめ10%、その後5%減税したときに最初はドンと減ったんだけども、その後は税収が増加を続けているわけよ。300億円くらい税収が増えて国に100億円取られてしまったけれども、実は減税すると税収は伸びるということ。

(名古屋市HPから編集部引用)

Q.地方創生には税金を下げるのが良いと思いますか?

河村市長:、口で言わんけど、スーパー行くときにどういう行動か言ったら、安いとこ行くわけでしょう。税金も一円でも下げてみなさいと言えばいいの、資本主義ってそういうことよ。安くするとサービスが悪くなると言うけれど、それは分かってない。それだとお客さんはゼロになりますから。サービスを維持して安くしないと、それは安くしたうちにならんもん。減税をやると色々なところの無駄が減って行革が進むわけよ。

 

記事は、日本政策学校インターン、渡邉萌捺です。河村市長と一緒に写真撮影。


政策 太郎
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