ライブコマースの創る未来の小売・第1回 小売×ライブコマース=無限大


2017年はライブコマースのサービス開始が相次いだ1年でした。その意味で昨年は「ライブコマース元年」と言えるのではないでしょうか。本連載では、ライブコマースの現状と私の考えるライブコマースのこれからについて書いていきたいと思います。

本連載を読んでいただくことで、ライブコマースの現状を知っていただき、より多くの方にライブコマースを活用していただけることを願っています。

ライブコマースとは

ライブコマース・サービスとして最も有名なのは株式会社メルカリが運営するフリマアプリ「メルカリ」内に展開する「メルカリチャンネル」です。「メルカリチャンネル」では、主に一般人がライブ動画で商品を紹介・販売しています。また、次に有名なのが、株式会社Candeeが展開する「LiveShop!」です。「LiveShop!」では、知名度の高いインフルエンサー(インターネット上の有名人)がライブ動画で商品を紹介・販売しています。

ライブコマースの定義は「インターネット上で生放送の動画を配信し、動画中で商品を紹介・販売すること」です。「メルカリチャンネル」のように一般人が動画配信するものから、「LiveShip!」のようにインフルエンサーが動画配信するものまで様々なサービス形態があります。多様なサービス形態があるため、表面的な形態の違いに注目してしまいがちですが、ライブコマースの本質は、ECにおけるコミュニケーションがリッチ化(テキスト→画像→ライブ動画)したことです。別の言い方をすれば、「ECにおけるコミュニケーションがより実店舗に近づいた」とも言えます。

Amazonや楽天をはじめとするこれまでのECは、小売の実店舗を「中抜き」して、生産者と消費者をインターネットでダイレクトに結びつけました。これにより、実店舗の売上は年々減少しています。しかし、実店舗にはECにはない良さがあります。それは、消費者が実店舗での接客・サービスを通じて販売員の商品に対する情熱やこだわりに直接触れることができることです。

ライブコマースは「コミュニケーションがより実店舗に近づいた」ECの形態です。ライブコマースをうまく活用すれば、小売業者が実店舗でのサービスをそのままECで提供することが可能になります。したがって、ライブコマースは、実店舗を「中抜き」するのではなく、実店舗での接客・サービスをインターネットの拡散力でより多くの消費者に提供し、実店舗の小売の価値を最大化することができます。

サービス増加をもたらした2つの要因

このようにメリットの大きいライブコマースですが、サービス数が急激に増えたのは2017年です。近年のサービス増加には2つの要因が影響しています。1つ目は、通信環境が改善したこと。2つ目は、ライブストリーミング・コンテンツが一般消費者に受け入れられ始めたことからです。

1つ目の要因は通信環境の改善です。総務省が発行する平成29年版 情報通信白書が参考になるので紹介したいと思います。まず、現在のインターネットの利用時間をみると、圧倒的にモバイルネット(主にスマホ)の利用時間がPCネットに比べて多いため、サービスの普及要因を語る上で最も重要なのは移動系超高速ブロードバンドの通信環境です。


平成29年版情報通信白書 パソコンのネット利用時間とモバイルのネット利用時間の推移(場所別)

移動系超高速ブロードバンドの契約数は、2016年末時点でLTEが1億219万、BWAが4,789万であり、2010年とは比較にならないほど普及しています。


移動系超高速ブロードバンド契約数の推移

このように、スマートフォンの通信環境が劇的に改善したことが、サービス数の急増の要因と言えるでしょう。

2つ目の要因はライブストリーミング・コンテンツが消費者に受け入れられ始めたことです。象徴的な出来事は、株式会社サイバーエージェントが運営する「AbemaTV」で、ライブストリーミング放送された元SMAPのメンバー3人が出演したオリジナル番組「72時間ホンネテレビ」の累計視聴者数が3日間で7400万人を突破したことです。ライブストリーミング・サービスは、元祖ライブストリーミング・サービスのニコニコ生放送から始まり、現在人気のLINE LIVEやAbemaTVに至りますが、これらのサービスに共通するのは、筋書きのない「だらだら」したコンテンツという点です。「72時間ホンネテレビ」の成功は、ライブストリーミング・コンテンツ特有の筋書きのない「だらだら」感が一般消費者に受け入れられ始めたことを意味すると考えます。

ライブコマースの未来

先に述べたような要因の影響によりライブコマース・サービスの数が急増しており、今後ますますライブコマースの活用が広がることが予想されます。筆者はタイトルにあるように「小売×ライブコマース」は無限大の可能性があると感じており、ライブコマースが一過性のブームではなく、テクノロジーの力で実店舗の小売の価値を最大化するサービスになるように一ライブコマース事業者として行動していきたいと考えています。

今後、本連載では、ライブコマースの現状を私の考えを交えながらご紹介していきます。それによって、ライブコマースが次の時代の小売の新しい形としてメインストリームになるためには、どのようにサービスを提供し、活用すべきかを考えていきたいと思います。

「ライブコマースの創る未来の小売」連載シリーズ

第1回「小売×ライブコマース=無限大」
第2回 「コンバージョン」
第3回「”人”が中心のライブコマース」


藤次一嘉
藤次一嘉

株式会社Moffly 代表取締役社長
Google に入社し、広告代理店営業部門に所属した後、コンシューマー・マーケティング部門にて、市場調査やマーケティング・プランの策定を行う。 現在、株式会社Moffly にて展開しているライブコマース事業によって、「21世紀の小売業と販売員の再定義」を目指す。

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