航空機の都心低空飛行問題・第1回 あなたの家の資産価値が下がる!?


はじめまして。東京都品川区で品川区議会議員を務めております、筒井ようすけと申します。

今回から3回に分けて、羽田空港国際線増便のために東京都心を航空機が低空で通過するという新飛行ルート案が出され、それに起因する騒音等の発生が危惧されているという「都心低空飛行問題」について取り上げて参ります。
私はこの問題を追及し、新飛行ルート案に一貫して反対してきました。そうした甲斐あってか、この問題について最近、ようやくテレビや雑誌でも取り上げられるようになってきました。しかし、まだまだ知らないという人も多いと思われるので、僭越ながら、この問題の概要をお話させて頂きます。

概要と言っても、基礎から最近の問題点まで、ほぼ網羅していますので、この3回の連載を読めば、都心低空飛行問題の全容が解ると思います。何卒お付き合いのほどよろしくお願いします。

引用:毎日新聞

都心低空飛行問題とは?

国土交通省が、2015年頃より、首都圏の国際競争力強化や東京オリンピック・パラリンピックや観光等による訪日外国人を呼び込みたい、ということで羽田空港国際線増便を行うために新しい飛行ルート案を公表しました。この示された新飛行ルートが、航空機が東京都心を低空で飛行通過するというもので、それを起因とする騒音や落下物等の危険が住民から不安視されている問題です。

国交省は2020年を目途に、この新飛行ルートによる低空飛行を始めたい考えです。

この新飛行ルート案の概略は、航空機が埼玉県南部上空から東京上空に入り、練馬・板橋⇒中野⇒新宿⇒渋谷⇒目黒・港⇒品川⇒大田と、東京の都心にある各区の上空を、高度を下げながら飛行通過し、羽田空港に着陸するというものです。そして、このルートで、南風時に15時から19時の間、1時間44回(羽田空港のAとCの滑走路を使う近接した並行の2ルートであり、Aルート(上記図の左)の14回とBルート(上記図の右)の30回の合計44回)、つまり約1分半おきに飛行通過するというものです。

ここで注意して頂きたいのは、平日だけのことではありません。ご家庭でくつろぐことも多い土日祝日には飛行しない、ということではありません。日は問わず、あくまでも南風時には上記のように飛行するということです。

引用:国土交通省『羽田空港のこれから』

騒音、落下物、墜落が都心を襲う!

国交省は、『羽田空港のこれから』という特設ページを作成し、羽田増便、都心低空飛行の必要性ばかりを強調し、騒音、落下物、資産価値下落等の問題も対処できる旨を述べていますが、これらが下記のように不十分なものが多く、ツッコミどころ満載なのです。

まず、この新飛行ルートで航空機が都心上空を通過する度に、騒音が発生するというのが、大きな問題です。

騒音の音は、その通過地域の高度によりますが、大井町で約80dB(デシベル)、麻布・恵比寿・渋谷で約74dB、新宿で約70dB、の音の大きさとなるとされています。
dBは数字だけではイメージしにくいですが、例えば、80dBはパチンコ店内や地下鉄車内、幹線道路沿いと同じくらいの音の大きさと言われております。これが、通過する度の1分半おきに発生するとなると普通の人では耐えられないことでしょう。様々な物理的・精神的な病気や障害の原因となると言われております。

航空機のお腹が下から見えて面白くなる、などと言っている人もいますが、連続的に発生する強烈な騒音で、とてもそのような呑気なことを言っている余裕は最初の数回で無くなるでしょう。
なお、現行法制上、羽田空港近接地域でないと防音措置などの補償は受けられません。このため事実上、全ての住宅は適用外で、国の防音工事等の補償は一切ナシということになっています。

また、飛行中、飛行機から排水された水が上空で凍ってできた氷塊や、何らかの原因で外れた航空機の部品が、そのまま地上に落下するという落下物の危険があります。実際、部品の落下物は大きなものとして、昨年2017年の9月7日に全日空機から約3キロの重さのパネルが茨城県の工場敷地内に落下しましたし、同年9月23日にはKLMオランダ航空機から約4.3キロの重さの胴体パネルが落下して大阪市内の走行中の乗用車に衝突、損傷したという事件が発生しています。このような重さの落下物が、もしタイミング悪く高速走行中に衝突したら玉突きなど起きて大事故になっていたかもしれません。当然、人に衝突すれば、最悪、死亡する可能性もあります。また、今年に入って、最近、ユナイテッド航空サンフランシスコ~ホノルル便で飛行中にエンジンカバーが、はがれ落ちるという事件が発生しました。
このような落下物の発生をゼロにすることは現在、事実上不可能です。国交省もゼロにできるとは明言できていません。

さらに、テロ・ハイジャックや部品の故障、整備不良等で、航空機が都心に墜落するという危険もあります。
従来のルートであれば都心上空に航空機が向かえば、テロ・ハイジャックの可能性を察知でき警戒態勢を取れますが、新ルートでは、最初からそもそも都心上空を通るものなのでテロ・ハイジャックということを察知することは非常に困難です。また、そうした事態が起きた時、阻止するための撃墜などの防衛・警護体制はどうするのかも全く整備されていません。テロ行為は、航空機の空中での爆破や、都庁、首相官邸、または「9.11」のようにビジネス系タワーなどシンボリックな重要施設・建物への突入はもちろん想定されます。また、無差別に大量の人を殺害するという目的だけなら、航空機を単純に「落とすだけ」でよく、降下する操作だけで簡単に人口が密集している都心の地上に墜落させることができるのです。

下記報道のように、防衛アナリストの部谷直亮氏からの警鐘もならされております。
PRESIDENT 2016年10月3日号
新飛行ルートの開始目標としている2020年東京オリンピック・パラリンピックは、世界中の人々が注目しているということの裏返しに、テロリストや日本を敵対視する国の工作員にとっては、世界に向けて自分達の活動成果を示す格好のアピールの場であり、ここでの派手な墜落・爆破を虎視眈々と狙っていると思われます。
新飛行ルートはテロリスト・工作員の犯行を容易にするもので、わざわざの危険の引き込みであると言えます。
また、テロ以外でも、最近、ヘリコプターが部品の故障で住宅地などに墜落している事件も発生していますが、旅客機も例外ではなく、単純に部品の故障等のトラブルで墜落する可能性もあります。

国交省は事前の点検・検査をするので問題ないと言いますが、テロリスト・工作員はそれらをかいくぐって積極的にテロ行為を行おうとしているプロの破壊集団であり、全てを完璧に防ぐのは困難だと思われます。また、発見できない故障もあるのは上記の事故からいって明らかです。
墜落発生の可能性もゼロでは全くないのです。

引用:TIME

都民の資産価値の下落!都民にとってプラスよりマイナスの方が大きい

騒音などが起きても東京の経済効果があれば我慢しよう、という都民の方もいるかもしれません。実際、国交省は6503億円の経済効果があると試算しました。

しかし、これはあくまでも日本全国に与えるもので、東京への経済効果ではありません。国交省は、東京のみの経済効果は試算しておりません。しかも何故か、「地方空港の警備・清掃業務の売上」までカウントされているものです。無理矢理のどんぶり勘定と言えます。また、それだったら最初から地方空港を使えば良いではないかと思うくらいです。

また、訪日外国人は東京に来ても、銀座や浅草など東京の著名な一部観光地域でしか消費しないのが、ほとんどです。東京全体に経済効果が及ぶのか疑問です。さらにまた、経済産業省は、訪日外国人の消費額が近年伸び悩んでいると言っており、訪日外国人による経済効果が新ルート飛行時にそこまであるのか疑問です。極めて眉唾ものの試算と言えるでしょう。
これに対して、深刻で重要なのは、先述の新飛行ルート実現による騒音により、飛行通過地域の不動産価格が30%も下落する恐れがあるということです。不動産コンサルタントの長嶋修氏のご意見が出てきました。下記報道の通りです。

テレビ朝日モーニングショー『そもそも総研』

騒音でこの状態ですから、さらに落下物や墜落という事故が発生すれば、さらに不動産価格を押し下げることでしょう。

先述の通過各区の住宅やオフィスの平均不動産価格が全て30%下がるとなると莫大な経済損失(マイナス)となります。先程の国交省の経済効果(プラス)と比べて、経済損失の方が上回るとみています。しかも国交省の経済効果を東京のみに限った場合(国交省はこれを算定すらしていない)は、経済損失の方がはるかに上回るでしょう。

しかも、直下となる主要駅で言えば、中野、新宿、渋谷、恵比寿、広尾、目黒、品川、五反田、大崎、大井町であり、東京全体に与えるインパクトは極めて大きいものと言えます。直接、飛行通過を免れる地域も全体として、「東京はうるさくて危ない街」というマイナス評価の影響を受け、不動産価格の下落の可能性もあるでしょう。

これに対し、国交省は「一般的な不動産価値は、周辺の騒音等の地域要因だけではなく、社会的要因、経済的要因、行政的要因、様々な要素が絡み合い決定されるので、航空機の飛行経路と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を見出すことは難しい」などと意味不明瞭で、自分達は無関係の他人事のようなことを述べています。

しかし、不動産価格を決めるのはあくまでも民間市場であり、民間の普通の感覚からいって、今述べてきたような騒音・落下物等が不動産価値下落の直接の大きな因果関係として判断されることでしょう。不動産価格にとり、大きなマイナス評価として査定されるでしょう。

以上、都民にとって、新飛行ルートは騒音・落下物等の被害を受けるにも関わらず、経済効果は差し引きマイナス。つまり、経済効果(プラス)より経済損失(マイナス)の方が上回るものとなります。まさに、「危険で割に合わない」ものと言えるのです。

引用:テレビ朝日モーニングショー「そもそも総研」

第2回に続きます-


筒井ようすけ
筒井ようすけ

品川区議会議員(都民ファーストの会所属)
貿易会社役員、太陽光発電アドバイザー。衆院選、都議選にも出馬歴あり。 都政と区政の連携を行い、「品川の成長と改革!」を政策主眼に据えて改革派のモノ言う区議として活動中。民間感覚を取り入れた、納税者目線の政治を心掛けている。 本人のウェブサイト www.tsutsui-yosuke.jp

筒井ようすけの記事一覧