カンボジア民主主義の危機、政治弾圧を行う政権に「投票箱」を送る理念なき外務省は猛省せよ!


2018年2月23日 (金)衆議院予算委員会第三分科会にて、源馬謙太郎衆議院議員が地味だけれども非常に良い質問をされたので紹介したいと思います。それはカンボジア政府の強権的な対応による民主主義の危機と外務省の理念なき税金によるバラマキ支援に関するものです。

カンボジアは昨年に最大野党のカンボジア救国党の党首が逮捕されており、その後カンボジアの最大野党が解党を命じられる状況となっています。また、政府批判を行っていたメディアが継続不能の状況に追い込まれており、政治活動の自由だけでなく言論の自由も失われた状況となっています。これらの暴挙には一昨年の地方選挙において野党が躍進したことを背景としており、本年に行われる国政選挙において事実上の独裁体制に移行する懸念すら存在しています。

カンボジアの現状に対して欧米諸国は厳しく批判、今年の選挙に対する支援を取りやめるとともに、政治的反対勢力への弾圧に加担した疑惑がある人物については入国制限措置を実施するなどの強いメッセージを出しました。

一方、源馬議員のカンボジアの状況に対する日本の対応に関する質問に対して、河野外務大臣は「カンボジアの状況について懸念を持って見ているが、アセアンとの関係性は欧米と距離感が違う。支援するところを支援しながらカンボジアが民主化を路線を歩み続けることが大事。」と回答しています。

日本は厳しい批判と対応を行った欧米とは異なって「カンボジアのトンデモ事態が発生した後の今年2月に8億円も血税をかけて投票箱を送る」ということを決定したわけです。しかも、その8億円は大枠だけで費用が余ったら他のものに使えるという類の資金供与でした。

つまり、カンボジアの民主主義を冒涜する行為に対して、自由と民主主義を重んじるはずの日本からのメッセージは、「最大野党を政治的に解党させた現政権に予算を流用できる形で選挙支援の名目で新品の投票箱を送る」というシュールなものになっているのです。そもそも8億円もかけて投票箱を送ることもナンセンスだと思いますが、理念と言葉を重んじるべき外交行為として最低最悪のものだと言えるでしょう。

カンボジアはアセアンの中でも親中国家であり、アセアンの会合などでも「南シナ海での問題」でも中国寄り国家です。そして、中国は一路一帯政策の一環で民主主義を踏みにじるカンボジア政府の暴虐を無視して巨額の資金提供を行っています。河野大臣が言う欧米と事情が違うという話は日本と中国との援助競争も含まれる話だとは思いますいますが、中国と同じ土俵に立って理念なきバラマキ支援を行うようなことで良いのでしょうか。懸念を持って見ているだけで良いのでしょうか?

日本政府は開発途上国に対する支援に条件を設定し、国民・納税者に分かる形で明確に指標化して公表するべきです。外務省が理念なきバラマキを行って海外で良い顔をするために国民は税金を支払っているわけではありません。河野太郎大臣、そして外務省には猛省を促したいと思います。

*同じ質問の中に含まれる蔡英文総統削除問題は別途取り上げたいと思います!こっちの答弁も最低すぎて日本大丈夫か?と率直に思います。


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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