航空機の都心低空飛行問題・第2回 東京の成長にもマイナス!都民が知らぬ間に飛ぶ?


引用:ホウドウキョク

都心低空飛行問題の第2回目です。

第1回は、新飛行ルートの概要と騒音、落下物、墜落の危険性、そして資産価値下落についてお話をさせて頂きました。つまり、都民の身体、生命、財産が脅かされるということについてお話をさせて頂きましたが、第2回は、東京都という自治体の成長にとってもマイナスである、また、都民への説明があまりにも不十分であるということについてお話をさせて頂きます。

引用:『世界の都市総合力ランキング2017』森記念財団 都市戦略研究所

東京の国際金融都市化や世界都市ランキングの向上にもマイナス!

訪日外国人がビジネスや観光の目的でいざ東京に来た時に、低い上空で航空機が爆音を立てて飛び交っていたら、どう感じるでしょうか?
小池都知事は国際金融都市・東京を目指し、外資系企業の誘致などを進める考えです。しかし、せっかく誘致した外資系企業のオフィスにも頻繁に騒音が襲ってくるということで、そこの職場環境は最悪なものとなるでしょう。外資系企業が進出を躊躇するかもしれません。国際金融都市を目指すならば、それにふさわしい静謐な職場環境を作る必要があり、航空機の騒音はそれを阻害するものでしかありません。
また、東京観光をせっかく楽しんでいる時に航空機の騒音が頻繁に起きていては、大変、興ざめなうえ、肉体的及び精神的な苦痛です。繰り返しますが、航空機のお腹を下から見えて楽しめる気分は、最初の数回で終わるでしょう。70~80dBの音は相当なものです。

そして、これに関連して、都市ランキングを引き下げる恐れもあります。これは森記念財団・都市戦略研究所が毎年出している『世界の都市総合力ランキング』というもので、「経済」、「研究・開発」、「文化・交流」、「居住」、「環境」、「交通・アクセス」の6分野の分野別ランキング(上図参照)で、いくつかの指標をもとに分野別にスコアをつけ、最後にそれらを合わせて総合評価をするものです。小池都知事は2017年度の現在3位の順位を、1位に伸ばすとの目標を立てています。

たしかに、新飛行ルートは国際交通ネットワークの向上につながり、前記ランキングの「交通・アクセス」分野のスコアは上がると思われます。このスコアを上げたい狙いです。
しかし、住宅が騒音や落下物等にさらされることにより、安全安心や生活良好性などを指標とする「居住」や「環境」のスコアが大きく下がってしまうと思われます。
また、オフィスも騒音や落下物等の危険に晒されることになるため、日本人はもちろん先程述べたようにビジネス系訪日外国人の職場環境にとって大きなマイナスです。
また、商店街にとっても、飛行時間帯の15時から19時までの時間は「お買い物時間のゴールデンタイム」ですので、そこでの騒音はお買い物の妨害でしかなりません。ビジネス環境等が指標の「経済」が下がることでしょう。

加えて、先程述べたように東京観光が騒音等で台無しになりますし、テレビ、ドラマ、アーティストの撮影・活動等の創作環境が著しく阻害され、文化観光等が指標の「文化・交流」も下がると思われます。
このように、「交通・アクセス」のスコアが上がっても、他の「居住」、「経済」といったスコアが下がるので、結果的に、総合評価は現在の3位から下がる恐れがあります。
そして、すでに2017年度のランキングで「交通・アクセス」のスコアは上昇しており(上図の右端欄)、今述べたような他分野のスコア減少のリスクを取ってまで、新飛行ルートを実現する必要性は全くないと思われます。

新飛行ルートは、東京の成長にもマイナスだといえます。

引用:日本盲人会連合

視覚障害者の日常生活に支障。東京パラリンピックにふさわしくない!

これは新しい問題です。

昨年に、品川区内の視覚障害者の方々からご相談を受けました。「視覚障害者は単独歩行で外出する場合、周辺の音に頼って歩くなど街の生活音が重要な情報源である。新飛行ルートが実現してしまったら、大井町(品川区)では約80デシベルの騒音が起きてしまうので、その大切な音が騒音でかき消されてしまう。視覚障害者への影響は甚大であり、区として視覚障害者が安全・安心に外出できる対策を取ることを求めて欲しい。」とのことでした。また、同内容の「視覚障害者の外出の安全・安心を確保するための対策を講じるよう求める請願」を出されて、品川区議会での採択を求めてこられました。
私は終始一貫して新飛行ルートに反対してきましたので、当然、採択に賛成しまして、区議会で採択されました。

このように、新飛行ルートは視覚障害者の日常生活に重大な支障をきたすものです。当然、これは品川区内の視覚障害者の方だけではありません。東京都内の全ての視覚障害者にとって大変深刻な問題です。視覚障害者の方達の日常生活を破壊してまで、新飛行ルートを通す必要があるのでしょうか。

そして、このような視覚障害者の方達への対策はどうするのかについて、国交省は盲点なのか何ら示していません。無責任極まりなく、まさに視覚障害者の方達への暴挙ではないでしょうか。

そして、視覚障害者に関連して、東京では障害者スポーツの祭典としてパラリンピックが行われますが、その一競技として、ブラインドサッカーがあります。このブラインドサッカーは、本来、品川区にある大井ふ頭中央海浜公園内の大井ホッケー場で開催されるはずでした。ところが、ブラインドサッカーは目が見えない代わりに、ボールに入れ込んである鈴などの音が非常に重要という競技の性質上、新飛行ルートによる騒音では鈴の音等が聴こえず競技が困難ということで、競技会場を江東区青海に移転を余儀なくされました。品川区は唯一のパラリンピック「開催競技」として事前に一生懸命準備していましたが、結局、何故か江東区開催の競技を応援するという、ちょっと無理矢理感のある「応援競技」ということになってしまいました。品川区の開催競技を一つ奪ったことになります。このように競技会場の変更までさせるというのは障害者スポーツに対する冒涜であるといえます。パラリンピック競技に悪影響を及ぼすような新飛行ルートは、パラリンピック開催都市である東京に全くふさわしくないものと言えます。

なお、下記報道の通り、オリンピック競技で品川区の大井ホッケー場で開催されるホッケーにおいても新飛行ルートによる騒音が、競技と放送に影響があるとして懸念されているということです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201711/CK2017110502000115.html
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて増便しようとしている結果、そのオリンピック・パラリンピックに悪影響や懸念を与えているというのは、まさに「本末転倒」の話ではないでしょうか。

引用:国土交通省『羽田空港のこれから』

都民に説明と周知があまりにも不十分!試験飛行もナシ

さて、ここまで問題点をお話してきましたが、多くの都民の方は、この私の記事を読んで、「はじめてこの都心低空飛行問題を知った」、「もっと早く言って欲しかった」という方もおられるのではないでしょうか。
それもそのはずで、上記図の国交省設定の説明期間である第1~4のフェーズごとに、首都圏の関係自治体にたった1回くらいしか説明を行っていません。しかも、説明会を平日の昼間に開催するなど、一般的な平日にお勤めの方には行くことが困難な日時に開催してしまっています。そのせいか、その貴重な1回に概ね数百名の人数しか集まっていません。下記の第3フェーズの結果概要のように、30名しか集まっていない説明会場もありました。
http://www.mlit.go.jp/koku/haneda/news/i/20171101_4.pdf
結果概要が出ている第1~第3フェーズまでに、合計約1万3500人しか集まっていません。東京都のみの説明会会場に絞ったら、都民の数は当然もっと少なくなります。

そして、なんと、下記のように、すでに「最後」の第4フェーズの説明会は2月17日に終了してしまっています。

http://www.mlit.go.jp/koku/haneda/news/i/20170920_2.pdf

引き続きの情報提供は行う、と国交省は述べていますが、「フェーズ」という概念としては終わったということです。

第4フェーズの結果概要は発表されておりませんが、仮に約3000人来た結果になったとしても、第1~4フェーズの説明会来場者数は合計2万人にもいかないことになります。
一方、低空飛行される品川区や港区などの特別区は各人口約20~30万人です。この人口と比較して、この説明会の合計来場者数は、あまりにも少ないと思います。要は、ほとんどの人が知らないという事実状態を推定できます。

また、国交省は説明会の手法として、一度に大人数に説明できる「教室型」の説明会ではなく、担当者が個別や少人数向けの「オープンハウス型」の説明会を行っています。しかし、教室型の方が今述べた通り、一度に大人数に説明が可能となり、多くの人が知ることができます。また、参加者の問題認識の発見・共有ができます。録画・録音にも適しており、これが元でさらに広い周知ができると考えます。
住民の多くがこの利点のため、教室型説明会を求めていますが、国交省は大人数向けにすると何か不都合があるのか、なかなか行おうとしません。

しかし、これまで述べてきた新飛行ルートの問題点は住民にとって非常に懸念・不安視されているものです。国交省は、このような説明の方法と姿勢で住民の不安を払拭して理解と同意を得る気が本当にあるのか、疑問を感じざるを得ません。

また、私が大手の不動産・ホテル業界の方達からヒアリングを行った結果、全く説明を受けていないとのことでした。新飛行ルートは不動産業や観光業にも大きなマイナスを与えうるものです。こういった業界にも説明していないというのは驚きを禁じ得ません。

著しい被害を受けうる住民・業界に対し、説明するという最低限の誠意があまりにも無いと言えます。
このまま説明不十分なまま、新飛行ルートを実施すれば、住民の怒りと訴訟の乱発により、東京が不穏な空気に包まれるのは必至でしょう。東京が沖縄のようになってしまいます。
また、「試験飛行はやってくれないのか」という住民のお声を頂戴します。しかし、国交省は施設整備や管制官の訓練不十分であり、フル稼働している羽田空港運用を一定時間停止することになるので、試験飛行は難しい、とのことです。

しかし、「訓練不十分」ならば、あと2年足らずしかない「本番」での飛行は大丈夫か、という気がします。また、試験飛行こそ住民にとって一体どのようなことになるのかが体感できる解りやすいものであるので、是非とも行うべきだと考えます。

安倍首相は、所信表明演説で新飛行ルートの実現は「地元の理解を得て」という条件をつけています。しかし、そもそも、説明した=理解を得た、わけではないうえ、このような説明不十分の状況で地元の理解など到底得られないでしょう。どのような状況になったら理解を得たことになるのでしょうか?強引に「理解を得た」として、なし崩し的に都民が知らぬ間に突然、航空機を飛ばすのは絶対に許されないことだと思います。

引用:成田空港 環境こみゅにてぃ


筒井ようすけ
筒井ようすけ

品川区議会議員(都民ファーストの会所属)
貿易会社役員、太陽光発電アドバイザー。衆院選、都議選にも出馬歴あり。 都政と区政の連携を行い、「品川の成長と改革!」を政策主眼に据えて改革派のモノ言う区議として活動中。民間感覚を取り入れた、納税者目線の政治を心掛けている。 本人のウェブサイト www.tsutsui-yosuke.jp

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