世界都市ランキングが示す「本当の都市間競争力」とは


世界の都市には様々なランキングの「順位」がついています。

一般的に世界の都市ランキングと言えば、都市戦略研究所(一般財団法人森記念財団)が2008年から発表している「世界の都市総合力ランキング」を思い浮かべる人が多いでしょう。新聞や経済誌に取り上げられるのが非常に多いのもこのランキングです。都市戦略研究所はこのランキングを以下のように位置付けています。

世界的な都市間競争の下で、より魅力的でクリエイティブな人々や企業を世界中から惹きつける、いわば都市の磁力こそが「都市の総合力」であるとの観点に立ち、世界の主要都市の総合力を評価し、順位付けしたものである。

として、さらにこのランキングは、

6分野(経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセス)それぞれにおいて、主要な要素を表す「指標グループ」を設定し、さらにそれらを構成する指標を70選定した。各指標をスコア化した上で、指標グループのスコアを合算し、分野別ランキングを作成した。分野別総合ランキングは、それらを合計して作成した。

としています。
引用:都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング』Global Power City Index 2017 GPCI 10周年特集号

つまり、このランキングは都市の磁力(魅力)こそが都市の総合力であるとし、それを可視化したものであるとも言えるでしょう。ちなみにこの総合ランキングでは、1位が「ロンドン」、2位が「ニューヨーク」、3位が「東京」となっています。この分野別詳細を見ると、各都市の強みや弱み、課題も明らかになっています。

しかし、このランキングが都市間競争力の「すべて」を示す絶対的な都市ランキングとは言えません。

例えば英国の経済誌「The Economist」の調査部門である「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が作成した報告書によると、世界60都市を対象として分析した結果、「都市の安全性総合ランキング」の1位は東京です。
出典「Safe Cities Index 2017」 The Economist Intelligence economy

もちろんこれは相対的安全性を評価の対象としたものなので東京の絶対的安全性を示したものではありませんが、都市間競争力を考える上で「都市の相対的安全性」はとても重要な指標のひとつになることは間違いありません。

これ以外にも「多様な機関」が「多岐に渡る分野」の「世界の都市ランキング」を調査・公表していますが、おそらく絶対的な都市競争力ランキングは生み出せないでしょう。ちなみにスイスの国際経営開発研究所(IMD)が主要63カ国・地域を対象に「世界競争力ランキング」を発表していますが、そこで言う「競争力」とは、企業がどの国で活動すれば競争力を発揮できるかという視点に基づく順位とされています。※ここでの日本の順位は26位

都市が競争力を増していくためには様々な分野の指標を「自他問わず」スコア化し、その都市の課題を明確化していくことが必要なのではないでしょうか。そして、その様な指標のスコア化は、各都市が自らの競争力を高めるため活用すると同時に、その「都市を活用」する我々にも当然有用です。ただ、そのアナウンス(都市ランキングの公表等)が所謂「バンドワゴン効果」や「アンダードッグ効果」につながらないようにしっかり「評価する目」こそが本当の都市間競争力にとって肝要であることも忘れてはなりません。


高幡 和也


1969年生まれ。28年に渡り不動産業に服務し各種企業の事業用地売買や未利用地の有効活用、個人用住宅地のデベロップメントなど幅広い数多くの業務を担当。不動産取引の専門士としての視点で、人口減少時代において派生する土地・住宅問題に対して様々な論考と提言を発信。

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