多摩に関する3つの誤解・第2回 東京23区を1つで括る不自然さ


さて、第1回寄稿で、東京都における多摩地区のポジション、少しおわかりいただけたでしょうか。

1.都民1200万人の三分の一は区民ではなく、多摩地区の町田や調布、青梅などの「市民」であるということ。
2.複数の鉄道が乗り入れる吉祥寺や立川、八王子、多摩センターといったターミナル駅も「多摩地区」であり、人口400万人。静岡県や四国4県の人口、ニュージーランドの総人口(380万人)を上回る強大な経済圏である、と鼻息荒く語ってきました。

レッテル貼りが好きなマスコミは多摩ニュータウンの高齢化を叫びますが、高齢化率は26%とまだ全国平均より低い上に、空き家も8%程度と極端に少ない。そもそも多摩ニュータウンを構成する多摩市や稲城市の人口は増えつづけており、多摩センターや若葉台の駅前は子ども連れファミリーがいたるところに見られます。開発に1兆円を超える税金を投入しただけあって下水道や鉄道インフラが異常に整っている世界的実験都市なのです。

もっとも私も引っ越すまではあまり意識しなかったエリアでもあり、関東においてですら存在をアピールできていません。多摩エリアの魅力とイメージアップを、本寄稿によって徐々にはかっていければと思います。

東京23区というわけ方は正しいのか

むしろ多摩市に住む私から見ると「東京23区」という括りかたのほうがおかしいですね。失礼ながらいわゆる地方から見たわかりやすい東京なのでしょう。わかりやすいけれども、実態としては23区で区切ってもほとんど意味がありません。みなとみらい地区だけみて横浜市を語るくらいズレています。
荒川、練馬、世田谷、中央、千代田…共通しているのは同じ特別区であるということぐらいで、財政力も街の性格も、まるで違います。
多摩に引っ越すまで長らく中野区に住んでいた私から見てザクッとカテゴリわけしてみると…

・第1グループは都心4区。千代田、中央、港、渋谷。ここがいわゆるオフィスが集まる大都会東京です。イメージ通りの高層ビルが並ぶ都心ゾーン。そもそも住宅が少ない。千代田区なんて5万人くらいしか住んでいません。

・第2グループはいわゆる職住ミックスのターミナル区。新宿、豊島(池袋はココ)、目黒、品川など世界的な主要駅が並びます。新宿駅は乗降客数340万人で世界一。池袋駅も270万人と世界3位。たくさんの通勤通学客が日々殺到しています。駅付近は西武百貨店や小田急百貨店など鉄道系デパートが林立していますが、駅をちょっと離れるとマンション型住宅がひしめいています。

・第3グループは西側郊外の杉並、中野、練馬、世田谷といった住宅地ゾーンで、このへんはやたらと人口が多い。山手線の西外周で西荻窪や下北沢など個性的な居酒屋や古着屋で人気のゾーン。住宅価格は少し下がるものの新築戸建ては狭くても6000万円からとか、まだまだ夢の世界。世田谷区は1つの自治体で90万人も住んでおり、一区だけで鳥取県や島根県を上回っています。

・あとは「葛飾、台東、荒川、隅田、江戸川、足立」などの下町ゾーンでしょうか。下町といっても実際は木造密集住宅とマンションだらけですが、ここも人口ボリュームゾーン。都営住宅など公営住宅や公園も多く、前述の世田谷と比べると実は丸の内が目と鼻の先。

全ての区をこの4分類に当てはめるのは難しいかもしれませんが、だいたいこんな感じになるでしょうか。
https://mobile.twitter.com/taiden_japan/status/428477908726710272
※たいでんさんが作成した「よくわかる東京都」が傑作なので引用させていただきます。

ちなみにちょっと細かい議論ですが、特別区は市町村よりも自治権限がありません。例えば港区の企業が納める税金(法人住民税など)は一度東京都に吸い上げられて、東京都が自分の取り分を取った後で経済的に厳しい区に分配します。これを財政調整制度と言います。豊かな区からみると、自分たちの収益を自分たちで使えないということになります。
大都市東京独特の制度で、23区のなかでの仕送り制度みたいなもの。地方交付税を想像するとわかりやすいかも。23区内にも小さな日本があるみたいですね。
ですが一方で豊かな千代田区などは区長が「自分たちの税収を自分たちで使える千代田市に移行したい」と発言しており、なかなか一体でまとまりきっていません。そもそも区長を直接選べるようになったのは1975年から。それまでは区を都の内部組織とみなし、区長選任には東京都知事の同意が必要だったのです。毎年東京都と23区で財政調整金の割合を巡ってバトルが繰り広げられています。

「多摩に関する3つの誤解」連載シリーズ

第1回「多摩市について」
第2回「東京23区を1つで括る不自然さ」


遠藤 ちひろ
遠藤 ちひろ

多摩市議会議員
①1976年 茨城県生まれの42歳。早稲田大学政治経済学部卒業。 在学中に学生ベンチャーを設立。9年間の経営者生活を経て、2010年に多摩市長選挙に出馬。19,429票を頂くも次点(惜敗率93%)。2011年多摩市議会議員選挙に過去最高得票でトップ当選。現在2期目。聖蹟桜ヶ丘にて妻とルンバと三人暮らし。 ②著作と講演; 「市議会議員に転職しました」(共著 小学館2014年)Http://bit.ly/1lBXTL6 、デジタル社会と客観の罠(長野県起業家協議会優秀賞)など多数。  ③議会の役職; 予算・決算特別委員長/議会運営委員長など  本人のウェブサイト www.e-chihiro.com

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