東京都「公文書管理条例」を皮切りに23区でも公文書管理徹底を!


引用:東京都公文書館HP

財務省による組織的な公文書改ざんが行われている現状がある中、東京都では小池百合子都知事によって「東京都公文書の管理に関する条例」が2017年7月1日に施行されました。

東京都は「文書管理規則」を既に設けていたものの、豊洲の盛り土問題における会議議事録などが存在していないことが発覚し、規則を改正した上で条例を制定し、公文書の作成・管理・保存の在り方を見直しを行いました。既に国法では公文書管理に関する法律が存在しているのに対し、地方自治体では公文書管理に関する扱いは規則のみで法対応されていることが多く、議会によるオーソライズを得た条例という形になることはまだ少数派という状態となっています。

同条例は情報公開条例と車の両輪となるものであることから、情報公開を一丁目一番地と位置付ける小池都政としては都政改革を一歩進めた状態となっています。一般会計で7兆円、特別会計まで入れると13兆円にも及ぶ一国の予算に匹敵する東京都が公文書管理条例を持つことは当たり前のことだったと言えます。

ただし、東京都の公文書管理条例は、公文書館の条例への不明記(東京都の公文書館は条例でオーソライズされた公の施設ではないという実態)、歴史公文書の扱いの不明記、文書破棄等の第三者機関によるチェックの欠落など、小池都知事の意向を軽視し、石原都政下で染みついた情報公開に前向きでない東京都らしい欠陥が多い条例となっています。

公的な歴史文書を真摯に残そうとも公開しようともしない似非保守を排し、歴史記録の重要性を理解する勢力にしっかりしてほしいものと思います。公文書館は2019年に国立市に移転することとなっており、それに伴い条例案の再改正も議題になるものと想定されるため、都民ファーストの会や生活者ネットワークなどの知事与党はもちろん、野党等にも都議会において活発な議論を継続することを期待します。

さて、一方の都内地方自治体も同様に公文書管理条例を持っていない地方自治体ばかりです。23区も千代田区などの一部を除いて一般会計の予算規模が1000億円を超えており、世界の小国の一般会計予算を誇っています。したがって、23区も公文書管理を徹底することは当然であり、1つの区だけで運用が難しい場合は23区合同で公文書館を設置・運営することが望まれます。既に公文書館を設置している板橋区のように廃校となった学校施設などを利用して、地域の歴史資料をしっかりと保存していく工夫が行われるべきでしょう。

森友学園問題を巡る財務省による公文書改ざんはメディアの中で起きている遠い話ではなく、私たちが住んでいる地域の地方自治体でも平然と起こり得る問題です。むしろ、大手メディアの目が届かない地域の政治・行政にこそしっかりとした公文書管理体制の構築が必要だと言えるでしょう。


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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