都議会は「東京都大増税」に対抗するビジョンを示せ


引用:『地方法人課税を巡る動向と東京都の主張~今こそ地方自治の原点に立ち返った議論を~』 東京都,平成26年9月

東京都議会の予算特別委員会の代表質問が行われたものの、相変わらず小池VS反小池の議論で呆れるばかりです。

東京都は昨年末に地方消費税配分見直しで1,000億円を収奪されており、更に森林環境税や出国税などの「東京都を狙い撃ちにした新税」の創設、その上23区に立地する大学定員の抑制など徹底した圧政を受けた状況となっています。現行の安倍政権は東京都民や都市部住民にとって明確な敵であることは明らかです。

都議会自民党は石原都政が東京をターゲットにした地方法人特別税が設置されたとき、その見返りとして羽田空港の拡張や五輪への協力などを勝ち取った話を自慢げにしています。そして、小池都知事の対国調整力の不足を揶揄してその足を引っ張るばかりの状況です。

しかし、都議会自民党が都知事候補者として祭り上げた増田寛也(現杉並区顧問)が作成した「地方交付税特別枠」が原因で7年間で1兆円以上の税収が失われたことを忘れたのでしょうか。

石原都政が行ったバーターとは都民の血税1兆円を失った上での話であり、都議会自民党が原因となった張本人を都知事に担いだ業は誤魔化しようがありません。彼らが言うように、都議会のマジョリティ・自民党+都知事・自民党推薦・地方創生推進派なら、都税収入が失われなかったというのは悪い冗談でしょう。小池知事が選ばれなかった場合、東京都知事が諸手を挙げて税収奪に賛成し、東京都には五輪に合わせた巨大公共建築づくりのバラマキが一部の利権がらみで行われただけなんじゃないかと邪推します。

増田氏が推進した地方創生によっていまや東京都から税金を取って地方にばらまく政策は大義名分を得てしまいました。その結果として、地方選出の国会議員らは日本全体の成長エンジンである東京都を尊重する精神を忘れてしまい、東京都からの様々な税金の収奪パターンを嬉々として検討しています。国政の流れに飲まれた都議会自民党が増田氏を都知事候補者にしようとするほど、東京都は政治的影響力・政策的な議論において完敗している状況です。

一方、東京都から財政移転を受ける地方側の有様は惨憺たる状況です。大半の地方自治体では「住民税総額=市役所職員給与総額」という驚くべき状況が蔓延し、自分たちの税金は公務員給与にした上で、その他の行政サービスの原資は地方交付税と国庫支出金などに依存して都市部に請求書を送りつけています。日本の地方自治体には自らの財政状況を真摯に鑑み、抜本的な行政改革の努力を行う姿勢はありません。地方の財政危機など欺瞞に過ぎません。

ただし、東京都民はどう頑張ってみても国会というゲームでは勝利することができません。国会での議席数は非都市部の国会議員数が圧倒的に多く、東京都選出議員は圧倒的な少数派です。この政治的なゲームを続けている限り、世界との競争を意識しない地方への利益誘導政治家たちによって、東京都は政治的に不利な立場に置かれ続けることになるでしょう。

したがって、小池か反小池かという不毛な議論を土台とするのではなく、オール東京として地方への財政移転を防ぐための理屈づくりを進める必要があるのです。誰がやっても政治力では劣っていることを認めた上で、政策議論では最低限の勝利を得るという割り切りが重要です。

小池都知事・東京都の発表によると、東京島は有識者会議を作って政府の東京増税の動きに対抗するとのことで大いに期待しています。都議会議員はそれぞれアイディアを出し合って一丸となって国と戦うべきしょう。


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

渡瀬 裕哉の記事一覧