中1でも中3数学が解ける。世界初人工知能型教材Qubenaの圧倒的成果


Edtech特集の第六弾は、世界初の人工知能型教材Qubena(キュビナ)を開発されている、株式会社COMPASS代表取締役 神野元基さんとの対談記事です。新中学1年生を対象とした効果測定によると、Qubenaを用い他場合、7倍のスピードで学習が可能という圧倒的な学習効果が注目されています。

伊藤
まず、人工知能型教材Qubenaについて教えてください。

神野
人工知能を用いてアダプティブラーニングを実現する教材を開発・販売しています。
アダプティブラーニングとは、子どもたち1人ひとりに、最も適正な教育を行うことです。
タブレット上でデータを取ることで、どのようなことを書いているか、解説を何秒読んでいるか、どのくらい正解しているかなどを分析をし、適切な学習を提供することができます。
生徒の間違え方や解き方などの習熟度を人工知能が分析し、その子が最も弱点とするポイント、その子が最もやるべき難易度など、適した学習を進めていくことができます。

伊藤
Qubenaでは算数・数学からスタートされていますが、理由はありますか。

神野
理科や社会はわからなくなっても単元が切り替わると何とかなりますが、数学や英語は一度わからなくなると、その先が理解できない学問です。まず、これらの課題を解決しなければならないと考えましたが、その上で算数・数学を選んだ理由は、一気に世界展開ができるからです。社内では次に英語をつくるという話もありますし、今後も教科を増やします。

伊藤
機械が教育の一部を担うことで、教員のあり方も変わってくると思います。人間の役割はどのようにお考えですか。

神野
ティーチャーからジェネレータへ、というのが大きな流れです。黒板にチョークで何か教えなければならない一方通行的なティーチャーから、インタラクティブに対話をし、教育体験を促進するジェネレータへと変わっていきます。生徒が先生になっても良いです。間違いなくICT化との相性が良いです

伊藤
中1の数学では7倍の学習効果が出たそうですが、なぜ驚異的な成果を出すことができるのでしょうか。

神野
集団指導の場合、1時間授業を行っても6分程度しか効率的に学習できる時間がないことに起因しています。授業がわかっている場合、わからない場合など、集団授業には無駄が多くありました。
究極のアダプティブラーニングを追求すれば、10倍程度の学習効果が出るのではないかと考えています。Qubenaで学習している生徒は、中1の場合、冬までに多くの子どもが中3の数学まで終わります。

伊藤
義務教育とは異なりますが、大学入試でも高1の段階で3年分学習し、残りの2年間で受験勉強を場合もあります。中1の段階で中3まで進んだ後、その後は何を学ぶのでしょうか。

神野
圧縮した時間で受験に向かわせてしまっていることもありますが、未来を生き抜く力を身につけて欲しいと考えています。やりたいをできるに変えるということを大切なテーマに、未来を生き抜くためのワークショップを開催しています。
例えば、ドローンで花火を空中から撮影するワークショップを行いました。子どもたちのやりたい気持ちを引き出すことが大切ですが、先端技術との相性は非常に良く、ドローンだけでもたくさんのやりたいことが出てきます。
さらに、先端技術を用いると、保護者や先生など大人もびっくりするような成果を子どもたちが出ていきます。最終的に社会まで還元していこうとする気持ちを育てることを、一つのコンセプトにしています。

伊藤
未来に向けての教育は公教育が苦手とするところです。どのように未来のコンテンツをお考えになられているのでしょうか。

神野
ソリューション、問題発見、理想という三角形を回せる人間を育てることを目指しています。そのために、小中学校では先端技術のようなソリューションを勉強するべきです。そして、高校生以降は、貧困問題など社会問題の現場に行くべきです。小中学校でソリューションを身につけると、どのように問題を解決するか理想が浮かび、実装したくなります。
ソリューション、問題発見、理想という三角形に、それぞれのSTEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マスマティクス)があります。三角形のどこにSTEMをラベリングすることが、未来教育の方針です。この方針に基づいて、アイデア出しをしながらカリキュラムをつくっています。

伊藤
STEM教育が注目されていますが、何のために学ぶのかという視点が現場では欠けています。公教育のあり方についてはどのようにお考えでしょうか。

神野
Qubenaのような新たな教材を導入するべきだと考えていますが、先生からすると自分たちを否定することになりかねませんし、心理的ハードルはあるでしょう。そこで、すべての公教育の現場で、2045年を一緒に考えることが大切です。
公教育の現場でも、一人ひとりの先生は子どもたちに真摯に向き合っています。私たちも未来教育を考えて環境をつくりましたが、先生たちの間で未来教育に関する議論が進むほど、世界観が共通してくると思います。

また、未来も大切ですが、明日やれることも大切です。
丸つけなどの作業を自動化したり、名札にマイクとGPSをつけて、出席管理、発言量、あるいは発達度合いを計測し、可視化することなどは今できることです。民間が取り組んでいる未来を見据えた教育を導入させていただくという流れができれば、Edtechの発達とともにプロダクトが学校現場に導入されていきます。

伊藤
未来と今の組み合わせは必要ですね。公教育でEdtechが浸透してきた段階で、Qubenaを活用することはできないでしょうか。

神野
すでに公教育の現場で授業に導入された事例もあります。例えば、新しい単元に入った時に、最初の10分程度をQubenaで学習し、その後に先生が説明を行います。しかし、Qubenaで学習した後に先生の授業を受けても、それほど変わりません。また、演習でQubenaを活用いただく場合もあります。学力をあげることには繋がりますが、前に進むことができるわけではないため20%くらいしか力が出せていません。実は、子どもたちがびっくりするくらいのインパクトを出すのは、学習指導要領を無視した時です(笑)
小学校以降、何年生の時にこの単元を学習するなど、コンテンツに対する制限が入ってきます。不登校や保健室登校の子どもたちとも相性が良いと考えています。勉強が遅れてしまいがちですが、大きなインパクトを出すことができます。

伊藤
学習指導要領は、子どもの成長を制限している側面はありますね。

神野
私たちは、線形代数やフーリエ解析を小学生のうちからやっても良い世界を目指しています。「中学生の段階で大学の数学が終わっているのに、なぜ受験勉強しないといけないんだろう?」という状況をつくり、この社会に問いかけたいです。

伊藤
私自身が、以前取材させていただいたキカガクさんで、中学数学から線形代数まで二日で学習し、機械学習を実装した経験があります。効果的な学びは世の中に存在します。
数学とコンピュータがあれば、様々な行動ができる時代に、自分は何がやりたいのか考える力が必要になりますね。
本日はありがとうございました。

神野
ありがとうございました。


伊藤陽平
伊藤陽平

新宿区議会議員
30歳最年少の新宿区議会議員。立教大学経済学部経済政策学科卒業。大学在学中にIT企業を設立し、代表取締役に就任。Webアプリケーションの開発やWebマーケティング事業を展開。 ブロガー議員として365日年中無休でブログを更新し、多数のメディアへ寄稿する。また、日本初のAI議員として機械学習を議会活動で活用している。

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