「仮想通貨の取引と消費税」の関係を知ってますか?


前回の記事では、仮想通貨を手に入れたり手放したりするそれぞれのときに、税との関係が生じることを説明しました。

普段、モノを売ったり買ったり、またサービスをしたり受けたり、そしてそれに対してお金をもらったり払ったりするとき、そのほとんどにかかってくるのが消費税です。そして、仮想通貨を手に入れたり手放したりした場合も、消費税がかかるのかどうかを考えなくてはなりません。そこで、今回は仮想通貨と消費税の関係を見ていきます。

仮想通貨の取引に対して消費税はかからない

いま、仮想通貨の取引に対しては、消費税はかからないことになっています。具体的には、資金決済法で「仮想通貨」と定められたものを譲渡したときには、消費税が非課税になります。
平成28年6月に資金決済法が定められて、実際にこれが施行されたのは29年4月でした。そして、資金決済法が定められて施行されるまでの間に、仮想通貨の譲渡に対して消費税がかからないようにする、と決められました。これが決められたのは、平成28年12月です。いつも、毎年の12月に、その翌年以降の税制改正の内容が発表されており、この時も、自民党・公明党の「平成29年度税制改正の大綱」で、「資金決済に関する法律の改正により仮想通貨が支払いの手段として位置づけられることや、諸外国における課税関係等を踏まえ、仮想通貨の取引について、消費税を非課税とする」とされました。
仮想通貨の取引に対して消費税がかからないことになると、事業として仮想通貨の取引を行っている企業は、仕入れた仮想通貨にも消費税がかかっていないので、それを消費税の納税額の計算の際に控除できないように、あわせて定められました。

消費税は何に対してかかるのか

消費税の仕組みは、国によって違います。VAT (Value Added Tax) と呼ばれる付加価値税の方式をとっている国が多く、日本も同様です。そして、日本の消費税は、「国内において事業者が行った資産の譲渡等」に対して課税されます(消費税法)。もう少し詳しくいうと、消費税が課税されるかどうかは、①「国内において」行われたかどうか(その行為の場所)、②「事業者が行った」かどうか(その行為の主体)③「資産の譲渡等」に該当するか(その行為の態様)により判定されることになります。
一方で、消費税には広くうすく課税するというポリシーがあるものの、いくつかの取引は、消費税の性格や政策的配慮などから、消費税がかからないようになっています。土地の取引などもそうです。そして、国内取引として行われる資産の譲渡等のうち、有価証券・支払手段等の譲渡、物品切手等(商品券・プリペイドカード等)の譲渡などは、その性質上消費税になじまないとの理由から、消費税がかかりません。
仮想通貨も、支払手段としての機能がこれらに類似するという判断で、消費税が非課税になる仲間に加えられたものと思われます。

消費税が非課税になる対象は

消費税法が非課税の対象としているのは、資金決済法に定める仮想通貨です。平成28年に資金決済法が改正され、その中で仮想通貨の用語の意義が定められたので、まずこれで形式的には仮想通貨の取引の消費税を非課税とする条件のひとつができたとも言えるでしょう。税法が独自で仮想通貨の範囲を決めるというのはなかなか難しいですからね。
また、これは消費税法の性質から非課税とされた例ですが、その他の政策税制を定める場合は特に、国の政策の一環になっていないと税の軽減や非課税の対象となりにくい面があるように思われます。これは、税制独自で政策を制定することは難しいと考えているからでしょう。この点は、いずれ仮想通貨の利益に対する所得税の解説の中でお伝えします。

仮想通貨のマイニングと消費税

仮想通貨の取引は消費税が非課税になりましたが、仮想通貨のマイニングにより得た報酬(リワード)に消費税はかかるのでしょうか。なかなかこれについて書かれたものはあまり見当たりませんが、税務大学校の論文「仮想通貨の税務上の取扱い」(安河内誠教育官)では、消費税はかからないと書かれています。つまり、マイニングはネットワークを維持するための役務提供であって、その対価として報酬(リワード)がもらえるのであるから、役務の提供に課税する消費税の対象になるべきとも考えられるものの、役務の提供の反対給付ととらえるのは、対価を支払う者が特定できないことなどから疑問があり、消費税はかからない、と主張しています。この点は、議論があるところでしょう。法人税と消費税で対象を変える必要はないという考えもあるでしょうし、また実務的にこれを消費税の対象としたとして取引を捕捉できるのかという意見もあるでしょう。もっとも後者は消費税に限った話ではありません。

ということで、今回は仮想通貨と消費税について解説しました。ほかの国でも、仮想通貨の取引に対して付加価値税がかかるかどうかは様々です。先日は、ドイツでも消費税がかからないように国内法を改正するといったニュースもあったかと思います。また、簡単に国境を越えて仮想通貨の取引が行われますから、消費税や付加価値税の扱いは、国際的にも一貫していたほうが望ましいです。ただ、アメリカのように連邦レベルでは消費税がない国もあるので、このあたりの調整はまだまだ時間がかかると思います。


平山 哲二


仮想通貨マニア。三度の飯よりも仮想通貨を考えることが好き。10年ほど前から金融商品や海外投資に興味を持ち、リサーチしていたところ、3年前にビットコインに出会う。それ以来、ビットコインやその他の仮想通貨に強く興味を持ち、税務などの観点から仮想通貨を研究している。

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