海外教育コラム・第3回 海外大学進学は今がチャンス!


第1回では、海外大学進学について、また、第2回では、幼少期から英語を第一言語とする教育について、それぞれ有用性が一層高まっていることを述べた。今年も高校大学の出願、合格発表の時期を迎え、例年以上に多くの友人、知人の子女が海外校に合格した知らせを耳にし、ますます海外での教育が身近になっていることを実感する。読者の周りにそういう知人がいなければそう感じないかもしれない。

日本では東京大学や京都大学の合格者数ランキングが毎年発表され、今年も進学校の栄枯盛衰が話題になっている。学校の教育方針は数年後に合格実績として表れ、その方針を継続する限り、優秀な学生を集め、その数年後にさらに大きな成果が生まれる。最近の日経によれば京都にある中国人専用の中高一貫校からは東大、京大に多数の合格者を出しているらしい。日本のトップ大学のグローバル化が進むという意味では望ましいことだろう。

進学校の栄枯盛衰の裏で

ただ、その裏で東大や京大にすら関心を持たず海外大学に直接進学する優秀な学生が増えていて、この傾向はさらに強まる。日本のアメリカンスクールであるASIJ、軽井沢に新設され世界的なUnited World Collegeのグループ入りしたISAKなどのインターナショナルスクールだけでなく、開成、灘、渋谷幕張学園など、東大にも多数の合格者を出す進学校、大阪府立箕面、公文国際、関東国際といった海外進学クラスを持つユニークな高校、帰国子女クラスを有する高校などからの海外大学合格者が増えている。これにはSAPIX、Z会、ベネッセ、駿台など海外進学をサポートする予備校の増加や柳井財団など手厚い奨学金の拡充も貢献していると思われる。

また、海外には、慶応ニューヨーク、スイス公文、帝京ロンドン、立教英国、早稲田渋谷シンガポールなど、日本の高校卒業資格を取りながら英語で教育する高校も存在する。Auckland International Schoolのように日本の会社がニュージーランドのオークランドに設立した海外校で、東大を含め世界のトップ大学に多数の合格者を出している高校も存在する。

加えて、文科省は国内に国際バカロレア(IB)認可校を200校出す目標を掲げ、これまでのインターナショナル校以外に現在20校以上のIB校が存在する。IBを取得すれば、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの多くの国で大学出願要件を満たすことができるので今後米国以外の国への日本人大学進学者がさらに増えていくことだろう。

英語で学べる英米の大学は、世界中の優秀な学生からの入学希望が殺到している。特に奨学制度が充実し、制度上より広く門戸が開かれている米国の大学は特に競争が激しく入学が困難だ。例えば最も入学が困難と言われるスタンフォード大学の合格率は5%を切っており、多くのアイビーリーグの大学やMIT、一部の人気リベラルアーツカレッジの合格率も10%を切っている。さらにシカゴ大学や名門州立大学などアイビーリーグ以外の名門校の合格率も年々下がっている。

世界の人口が増えつつける中、スマホやパソコンの普及に安価で良質なオンライン教育の発展で、新興国の意欲的な学生が今後さらに米国の大学を目指すようになる。今後米国大学の学歴の価値が下がることはそうはないだろう。スタンフォードオンラインスクールというオンライン上で教育が完結する高校からの米国トップ大学の合格実績はすでにアメリカの全高校のトップクラスにある。また、韓国にある私立高校から数年前にアイビーリーグに合格した生徒数が米国の有名校混じってランクインしたことが驚きを持ってニュースとされた。

海外の高校へ進学するという考え方

米国の大学は多様性を重視して、性別、出身国、人種などできるだけバックグラウンドが異なる学生を入学させようとしているのは事実だ。それでも、米国のトップ大学の外国人留学比率は10%台で、圧倒的に多いのは国内からの入学者だ。そして、トップ大学に多くの卒業生を送り込んでいるのは東部及びカリフォルニアに多くある私立のプレップスクール並びにトップ公立高だ。そうすると米国のトップ大学を目指すにはこういった学校に入学するのが近道ということになる。

ただ、子女を通学させるには親が米国に在住してる必要があるので、米国のグリーンカードでも持っていない限り、たまたま米国で親が駐在しているか、米国で親が起業しないとできない。米国に親類や友人などのガーディアン(保護者)がいてホームステイという道もあるのかもしれないが、そういう例を目にしたことはない。

いずれにしてもかなりハードルは高いので、外国人に比較的よく見られるのは全寮制のボーディングスクールに入れる例だ。筆者の世代の日本人でボーディングスクール出身者にほとんどお目にかかったことはないが、外資系企業勤務時には一世代下の後輩に複数見られた。多くは父親の駐在後に現地に留まるため入学したというものだった。ただ、筆者の子供世代では、10年くらい前から入学する知人の子女がちらほら出てきた。

最近はSAPIXなどでボーディングスクール紹介のセミナーをやったりしているし、ボーディングスクール自ら生徒募集のイベントを日本でも行ったりしている。それでも日本人のボーディングスクール入学希望者はまだまだ少ない。現状はアジアからは中国、韓国が圧倒的に多く、他にも台湾、香港、タイその他東南アジア諸国からも来る。前述のように学校側は多様な生徒を求めているので日本人は韓国人や中国人に比べると競争が少なく今のところ有利だと言えそうだ。

米国大学を例として述べたが、英語で教育する大学の圧倒的多数はイギリス、カナダ、オーストラリア、シンガポール、香港など旧英領にあり、これらの大学の入学難易度は今後年々高まるだろう。幸いなことに国際的な大学評価ランキングの重要な指標には生徒の多様性や国際性というものがあり、これらの大学は留学生を積極的に受け入れる。

また、アジアの中でも圧倒的に留学生が少ない日本人の入学には当面は積極的と思われる。これから大学に入学する日本の子供たちにとって大学から入学するにしても、また、米国の高校から入学するにしても海外進学はまだまだ非常にチャンスと言える。周りと同じことをやっては熾烈な競争に巻き込まれる。周りの日本人がまだまだ躊躇している今だからこそ将来成功する確率は高いと言える。


玄君先
玄君先


神戸市出身。私立灘高校,東京大学法学部、UC Berkeley LLM,三井安田法律事務所,西村あさひ法律事務所,モルガン・スタンレー証券,メリルリンチ日本証券、リーマン・ブラザーズ証券を経て弁護士法人港国際法律事務所代表、シンガポールにてEntrehub Serviced Officeを運営。シリコンバレーにてMicro Venture CapitalのTaimatsu Venturesを設立し、スタートアップ企業に投資中。

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