【第1回・ポリテック最前線】子ども・若者が直面する終わりなき搾取の構造と解決策


新宿区議会議員の伊藤陽平です。これから全6回にわたり、行財政改革、議会改革についての連載をさせていただきます。

改革とは、既存の制度等を改善することです。社会は変化し続けているため、政治も自動的に古いものへと変化します。特に昨今はICT化やグローバル化により急速に社会が変化しています。そのため、党派に問わず常に改革は必要だと考えています。

改革とは、既存の制度等を改善することです。社会は変化し続けているため、政治も新しいものへと変化する必要があります。特に昨今、ICT化やグローバル化により急速に社会が変化しています。そのため、党派に問わず常に改革は必要だと考えています。

今回は、子ども・若者の視点で改革の必要性についてお伝えします。未来を生きる彼らの立場を考えることで、古い政治を変えるために必要な改革が明らかになります。

現在、すべての政党が子ども・若者を対象にした政策を打ち出しています。奨学金や子育て支援など、18歳選挙権以降は若者の政治参加など様々な政策を掲げています。他にも「チルドレンファースト」をというキャッチフレーズを打ち出して選挙に立候補する方も珍しくありません。

しかし、選挙でどれだけ子ども・若者を優遇するように見える政策を掲げても、最終的に彼らへ負担を強いる政治を行なっているのが実態です。前提として、子ども・若者は選挙で意思表示をすることはなく、過去に行われた政策を強制的に引き継がされることになります。
投票に行かない若者が悪いというお考えの方もいらっしゃるかもしれません。確かに、選挙を通じて課題解決を行うことも大切で、若者の投票率向上、あるいは主権者教育などは政策としても大切です。

一方で、国民負担率は増加傾向にあり、その過程で子ども・若者は意思表示することなく、膨大な負担を受け入れなければなりません。自由経済研究所によると、平均的な日本人は税を払うために元旦から6月5日まで働くことになります。さらに今年度の政府支出を全部負担支払うことを前提にすると、6月27日まで働かなければなりません。

このまま、改革が行われなければどのような未来がやってくるのでしょうか。
今のこの時代に行われている若者政策も、納税者の負担が必要なことに変わりはありません。すでに政府の予算は採算が取れていない状況で、若者政策を行うことは将来世代の負担増へとつながっているため、今の若い世代が少し年を取ってから、若者たちが政治に無関心だから負担が増えた、と同じことを将来世代に言ってしまうかもしれません。

見逃される自治体で行われる未来からの搾取

借金を重ねる国家財政についての議論は、活発に行われているかもしれません。一方で、財政に関して、健全化判断比率などの指標を満たしている自治体等では問題が起きても見逃されてしまいがちです。
これらの基準を満たしたところで、既存事業が自動的に意思表示をしていない子ども・若者へと引き継がれ、税負担を強いられることに変わりはありません。
そこで、本当に予算が必要なものかを精査しなければなりません。例えば新宿区では、60歳以上銭湯を無料にする事業へ約2億円1,000万円、また、70歳以上に祝い金を支給する事業で約8,000万円の予算が計上されました。

現在は、ほとんどのご自宅にお風呂がありますし、銭湯を無料にすることに緊急性がないことは明らかです。加えて、健康増進という目的であってもなぜ銭湯が選ばれるのかという合理的な理由はありません。
また、祝い金事業についても、合理的な根拠はありません。厚生労働省によると、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳です。祝い金事業の廃止または縮小を行う自治体が増えています。
多くの社会的課題が解決しない中で必要な予算もあると思います。そのためにも、本当に必要な予算が何か優先順位をつけて政策を実現することが必要です。

すべての子ども・若者に向き合うことで搾取のスパイラルから脱却を

ことぶき祝い金、ふれあい入浴について、区民へ電話調査を実施しました。
まず、ことぶき祝い金について、
「新宿区では、70歳を迎えた方に5,000円、96歳を迎えた方に3万円を「祝い金」としてお送りしており、合計で6600万円が区の予算から支払われています。あなたはこの祝い金の制度に賛成ですか?反対ですか?」
という質問をしました。賛成43.7%、反対18.1%、どちらとも言えない33.7%、わからない4.5%と、賛成の傾向にありました。

次にふれあい入浴に関して、
「新宿区では60歳以上の方に月4回まで、無料で銭湯に入れる入浴証を発行しており、合計で約2億1000万円が区の予算から支払われています。あなたはこの制度に賛成ですか?反対ですか?」
という質問をしました。
賛成34%、反対32%、どちらとも言えない29%、わからない4.0%と賛否は拮抗しています。望まれている政策であると言えます。

一方で回答者の年齢構成を見ると、18歳以上または20代0.6%、30代0.6%、40代1.5%、50代7.3%と現役世代が少なく、60代19.6%、70代37.5%、80代以上33%と回答者が高齢者に偏っていたことにも特徴がありました。
例えば、ことぶき祝金に対する反対の数を年齢ごとに確認すると、18歳以上または20代33%、30代33%、40代37.5%、50代28.2%、60代26.9%、70代11.6%、80代以上16.6%という結果で、ふれあい入浴に関する反対は、18歳以上または20代0%、30代66.7%、40代50%、50代41%、60代31.7%、70代33.2%、80代以上28%という結果になりました。
年齢が若くなると、事業に反対する傾向があり、受益者と負担者のニーズが一致していないと読み取ることができます。こうした声に耳を傾けることが、改革を行う上でも大切です。

新宿区でも意識調査が行われています。より効果的なものにするためにも、若い世代に対して事業にかかるコストを提示し、負担をする意思があるのか意思の確認することまで踏み込むべきです。

そもそも、投票率に関わらず、これらの事業が選挙の争点にならなければ、意思表示をする機会さえもありません。だからこそ、すべての子ども・若者が不利益を被らないよう、彼らの未来を考えた政策を実現するための環境を整えていくことが大切です。