デジハリ大学院では、財務諸表を読んだ次の授業でプログラムを書いていた


 

デジタルハリウッド大学院メディアサイエンス研究所、Creative Smash株式会社代表の川島京子です。これまで6回にわたり、「新しいものづくりがつくる産業の未来」というテーマで連載を書かせていただきました。

第1回、第2回では新しいものづくりの環境について、そしてIoTやデジタルファブリケーションについて書かせていただきました。第5回では、行政×IoTというテーマで、地域デザイン学会主催しデジタルハリウッド大学院で開催された「地域デザインフォーラム」をご紹介させていただきました。街の課題を解決する地域IoTについて、毛塚副市長からお話しがありました。そして第3回、第4回、第6回では、デジタルハリウッド大学院で学ばれたクリエイター、起業家の方々にお話をお伺いしました。世の中にないものを生み出し、世界を変えよう挑戦するお一人お一人の取り組みは、多くの人の課題を解決し希望をもたらしています。そして、これからまた、デジタルハリウッド(デジハリ)の方々を中心に、様々なジャンルで新しい取り組みをされる方々にインタビューをさせていただきます。

今年3月、私は2年間通ったデジタルハリウッド大学院を卒業しました。大学を卒業して数年、就職や独立を経て、社会人大学院生として学び直し、この2年間、多くの学びや貴重な経験がありました。
そこで今回の記事では、これまでインタビューをさせていただいたようなイノベーターを輩出するデジタルハリウッド大学院で学んで良かったこと、社会人の学び直しについて、お伝えしたいと思います。

社会人こそ、テクノロジーを学びたい

大学を卒業して働く中で、自分が勉強不足であったこと、そしてこれまで自分が学校で受けてきた教育の半分も仕事に活かせていないことを痛感する機会が多くありました。そこで、改めて自分の興味を持ったことを学び直し、しかも学んだことをすぐに仕事に活かせる環境がほしいと思っていたところ、デジタルハリウッド大学院にたどり着きました。仕事との両立にも多少の不安はありましたが、社会人も多く、授業も主に平日の夜に行われています。
入学すると、様々なバックグラウンドを持った方々が同級生になりました。

学校を出て働き始めると、どんな業界で働いていてもテクノロジーについて学ぶ必要性を感じる方が多いのではないかと思います。もちろん独学である程度の学びもできますが、現場で活躍する方々から生の情報を得たり、複数人のプロジェクトを経験するとなると難しい場合もあります。そして、意識して環境を作っていかなれば、勉強をする時間をとること自体も実はなかなか難しいです。

大学院の授業は、必修と選択授業があり、自分で自由に選択することができます。BCI(ビジネス、クリエイティブ、ICT)の分野で、様々な授業を選択し自分の興味関心や仕事に合わせて学びを深めることができます。それに加え、「ラボ」と言われる、大学でいうところのゼミのような授業もあります。

どの授業も、教壇に立つのは現役の経営者やクリエイター、エンジニア、専門家の方々でした。授業のカリキュラムの中だけでなく、授業内で先生がお話されたご自身のご経験に関するお話など、実践的な現場で役立つ生の情報を多く学べたことは仕事にも生きてきます。

個人的に特に面白かった授業は、プログラミングを学び授業内でサービスを開発するプロトタイピング系の授業、デジタルハリウッドの生みの親で、元MITメディア・ラボ客員研究員である杉山学長の授業などでした。また、弁護士の先生による著作権に関する授業、現役の経営者やコンサルタントの方々によるファイナンスやマーケティングの授業も魅力的で、財務諸表を読んだ次の授業でプログラムを書く、といったバランス感覚のあるカリキュラムに驚きました。授業によっては最終課題でビジネスプランを提出したりプレゼンテーションをする機会もあり、アイデアをブラッシュアップする機会を多く得られて刺激的です。そして学校だからこそ、現場ですぐに活かせる生の情報だけではなく、10年先、100年先のテクノロジーの発展、世の中の変化について考える機会もありました。授業後に同級生と飲みながら、自分が取り組みたいプロジェクトや、自分が感じている社会の課題など、色々と語り合ったのも良い思い出です。

デジハリでの出会いと刺激

本当に多様なバックグラウンドを持った人が集まっています。社会人も多いため20代から50代までと年齢層も幅広いです。同じ学生同士という立場で、自分が知らなかった同級生たちの専門分野について話を聞けるのは面白いです。デジハリ学部から進学をした人は特に、デザイナーやフォトグラファーなど、専門性を持ったクリエイターが多い印象でした。そのため、授業で一緒にプロジェクトに取り組むだけでなく、お仕事を依頼させていただいたり、逆にご相談をいただくこともあり、学校の枠を超えて様々なプロジェクトで関わることもできました。大学院のイベントには、在学生だけでなく卒業生が足を運ぶことも多いです。このような繋がり、新しい出会いに今後も期待しています。

大学院を卒業するには、授業の単位を取得することに加え、修了制作に取り組む必要があります。これまでインタビューさセていただいたファッションデザイナーのOlgaさん、O2を開発された神成さん、うんコレに加えGAIAに取り組む医師の石井さんもそれぞれ、インタビューでお伺いしたプロダクトを修了制作として取り組み、発表されています。
連載 第3回 Olgaさんインタビュー(https://theurbanfolks.com/824)
連載 第5回 神成さんインタビュー(https://theurbanfolks.com/1246)
連載 第6回 石井さんインタビュー(https://theurbanfolks.com/1712)

今後この連載では、このユニークな大学院で活躍する、未来を作る方々にインタビューをさせていただき、その取り組みをご紹介させていただきたいと思います。


川島京子
川島京子


1989年東京都生まれ。デジタルハリウッド大学院メディアサイエンス研究所リサーチアソシエイト。Creative Smash株式会社代表取締役。2008年、明治大学在学中に インターネット上の仮想世界「Second Life」にて音楽ユニットをプロデュースし、企業とタイアップしたバーチャルイベントを実施。メジャー音楽レーベルに勤務を経て、24歳で独立。国内最大級の3Dプリンタメディア等ものづくりやクリエイティブに関わる事業を展開。

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