「Edtech連載第1回」21世紀に必要な、Edtechネイティブを活かす教育


新宿区議会議員の伊藤陽平です。本連載「Edtechがもたらす、教育革命」では全6回を通して、Edtech関連企業の取材等を実施し、教育の未来を解き明かします。

一億総Edtech社会へ

Edtechとは、Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。教育とテクノロジーを活用するEdtechでイノベーションを巻き起こそうという動きが、国内外で巻き起こっています。

まず、Edtechと聞くと、学校で提供されているeラーニングのようなシステムが頭に浮かぶかもしれません。しかし、eラーニングは教育に特化したサービスだけではありませんし、子どもに限ったものではありません。

この記事をお読みの方で、検索エンジンを利用されていない方はいらっしゃらないと思いますが、インターネットの登場自体が学びに大きな影響を与え、従来であれば多額のお金を注ぎ込まなければ手に入らないような膨大な情報へ瞬時に無料でアクセスできるようにしました。
私自身も大学受験をしていた頃に、わからないことがあれば検索エンジンで調べていました。そして今では、動画共有サイトで科目などキーワードを入力するだけで、質の高い授業を無料で受けることもできます。

誰もがインターネットを活用したコンテンツを作成できるようになり質と量が向上したこと、さらにビッグデータや機械学習等のテクノロジーによって、利便性は日々向上しています。検索エンジンに限らず、テクノロジーの進歩は人が担っていた仕事をコンピュータで効率化し、新たな形へと進化を遂げてきました。
そして今、誰もがテクノロジーを活用して、学び、教える1億総Edtech社会へと向かっています。

20年前から垣間見えていたEdtechの可能性

私は小学校に通っていた頃にはEdtechという単語もありませんが、それでも身近なところで教育にテクノロジーが活用されていました。
今から約20年前、Windows98が大ブームとなりました。私が通っていた小学校でもパソコン室が設置され、授業でもコンピュータが活用されるようになりました。社会の授業では、歴史上の登場人物がアニメになっていてクリックすると様々なセリフを発する、というコンテンツで学習した記憶があります。ペリーが日本へやってきたシーンは特に印象的で、カタコトの日本語でセリフを話していたことを今でも思い出せます。

中学生の頃には、英単語を学べるプレイステーションのソフトを購入したことがあります。紙の参考書で学習するのとは違い、発音の確認も可能で、コントローラを使って気軽に取り組めるという点からゲームで学習することにしました。正解するとバスケットボールで得点が得られるというシンプルなゲームでしたが、脳の報酬系が刺激されたのか、楽しく勉強することができました。

そして、私が高校生になった時、15年ほど前には、テクノロジーは補助教材ではなく、学びの中心へと変わっていました。何よりも象徴的だったのが、有名講師の講義をDVDというデジタルな媒体で複製することで、質の高い授業をいつでも受講できるようにした予備校でした。私も一時期入塾しましたが、ただDVDが置いてあるだけではサボってしまいます。そこで、チューターが進捗やモチベーションの管理がするなど工夫が施されていました。

更に勉強の効率を上げようと予備校を辞めて独自に始めたのが、コンピュータ学習です。教材は数万円ほどで購入できましたが、これは塾よりも安いです。この教材はセンター試験対策によほど自信があったのか、センター試験の得点が8割未満の場合に返金するという制度を設けており、両親に頼み込んで購入しました。

ソフトの内容は非常にシンプルで、解説を読んで、問題を解いていくというもので、参考書と問題集がセットになったような学習スタイルです。しかし、紙と決定的に異なるのは、4回正解するまで何度でも同じ問題が出題されることでした。コンピュータが苦手な問題を分析することで、忘れないよう最適化された出題となります。そして、忘れた頃に出題されるため、自然と覚えることができました。特に暗記科目との相性は抜群です。当初は世界史の偏差値が40台で苦手科目でしたが、3ヶ月程度で偏差値70を超え、センター試験でも9割以上の得点ができました。最終的に世界史で学年トップの成績を取ることができたことに、自分でも驚きました。あくまで私の場合ですが、学校よりもコンピュータを学びに活用することの方が価値を感じるようになりました。

市場として成立したEdtechスタートアップ

現在は国内でもEdtechスタートアップがイノベーションを巻き起こそうと奔走しています。
2010年以降、教育領域のスタートアップもベンチャーキャピタルによる活発な投資の対象となり、すでにイグジットを達成した事例もあります。
例えば、2017年12月、プロ講師からライブ授業が受けられるスマホ学習塾の「アオイゼミ」をZ会が買収したことが話題となりました。人気予備校のような質の高い授業がインターネットで受講できることに加え、リアルタイムのチャット機能を活用することで、受講生同士が楽しみながらモチベーションを維持することを可能としました。インターネットやスマートフォンを活用することで、従来の予備校のような仕組みをさらに効率化したと言えます。月額900円からと安価なことに加え、ライブ動画は無料で閲覧できるフリーミアムモデルが採用されています。経済的に困窮する家庭であっても、スマホさえあれば無料でサービスを利用することが可能です。

そして、eラーニングも新たな局面を迎えることになります。世界初の人工知能型教材「Qubena」では、機械学習を取り入れることで個別最適化した学びを行うことが可能となりました。通常の授業では、その教科が苦手な子どもにとってはただ座っているだけの時間になってしまう可能性があります。個別最適化することで、時間を効率的に活用することができるようになります。そして特筆すべきは、圧倒的な成果です。中学校1年生の数学が、一般の授業と比べた7倍のスピードで終了するという成果が出ています。今後も機械学習により、パーソナライズされた学習環境が整備され、さらに指導者も学習状況をシステム上で管理できるようになり、学習効率が向上することになるでしょう。

Edtechネイティブ時代の教育

民間では社会の実態に対応し、Edtechスタートアップが新たな教育を生み出してきましたが、残念ながらテクノロジーと対極にある場所が学校です。今の小学校は、私が通っていた頃からほとんど変化はありません。このままでは学校と社会の実態との乖離が激しくなり、高い価値を提供することができなくなります。

一方で、画一的な教育では才能を発揮することが難しかった発達障害の子どもたちの教育に特化したEdtechスタートアップも登場しています。学校だけが教育の選択肢ではありませんし、Edtechネイティブである子どもたちが多様な学びにアクセスできる力を身につけることの方が大切です。


伊藤陽平
伊藤陽平

新宿区議会議員
30歳最年少の新宿区議会議員。立教大学経済学部経済政策学科卒業。大学在学中にIT企業を設立し、代表取締役に就任。Webアプリケーションの開発やWebマーケティング事業を展開。 ブロガー議員として365日年中無休でブログを更新し、多数のメディアへ寄稿する。また、日本初のAI議員として機械学習を議会活動で活用している。

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