TOKIO山口「メンバー→さん」騒動報道に見るメディアのあり方



【出典】ジャニーズ事務所の所在地、乃木坂付近(筆者撮影)

TOKIOの山口達也メンバーが未成年の女子高生に対する強制わいせつ罪で書類送検、そして1日起訴猶予となったことが明らかになった。5月2日、TOKIOのメンバー4人が会見に臨んで謝罪をした。事件の詳細はここには書かないが、無期限の謹慎となった。

辞表提出、TOKIOの今後の方向性(解散の可能性?)、強制わいせつ事件の顛末・その内容、「容疑者」ではない「メンバー」という呼称、番組共演者とのトラブル、被害者へのバッシング、NHKが報じた背景、過去の無免許運転、ジャニーズ事務所所属のタレントまでの謝罪発言・コメント等々様々な面で話題になっている。

山口達也さんはジャニーズ事務所所属、「TOKIO」のメンバー。ベース担当。音楽活動、テレビドラマ、テレビでキャスター・司会などで活躍する一流のタレントである。いい兄貴分キャラで、サーフィンなどを好み、DASH村での農作業でも器用ぶりを見せる、肉体派。埼玉県草加市出身、弟は格闘家でもある。

そもそもはお酒・・・その理由は?

本人の記者会見で明らかになったのは、1月25日からお酒の関係で調子を崩して入院していたこと。そして、2月12日に退院し、部屋で酒を飲んだことからこの事件に至る。
本人はアルコール依存症であることを否定していたが、後輩からお酒にまじわるエピソードがあったり(「代わりに殴らせろ」と後輩に発言したなど)、眼帯姿で番組に出たこともあったりとアルコールとの付き合い方は深刻な状況だと思える。

芸能・ジャーニーズ関係を長らくウオッチしていたものにとっては、たしかにTOKIOでは、ドラマの主役を張る長瀬さん、しゃべりが達者な松岡さん、キャスターの国分さん、リーダーとして愛されキャラの城島さんと違って、あまりチャンスを与えられていないようにも思えた。

全体的な能力の高さの一方で、「これ」といった特徴、個性の強さが目立たない。そのため何にしても器用にこなすけど「そこそこの活躍」であり、そのポテンシャルを最大限にいかした、強烈に輝く場所が見つけられていない感はあった。

リーダーの城島茂さんが作詞したTOKIOの曲「Baby blue」で山口さんに歌を頼んだという逸話があるように、ベースだけではなく、その声もボーカルでも十分やっていけるだけの能力がある。コーラスで聞く、その声は心を揺さぶるものだ。

そのことが、山口さんがお酒にはまった理由としてささやかれている面もある。1994年、22歳の時にTOKIOでデビューしたが(入所から6年)、年下の中居正広さん、木村拓哉さんはそのころには大ブレイクしていたわけで、SMAPが開拓者として切り開いた「アイドルがバラエティで活躍する道」の後塵を拝していた。TOKIOにおいても当初は長瀬さん、松岡さんがドラマの主演を張るなど目立っていて、色々悩みながらのスタートであろうことは推察できる。

しかし、問題はそこではない

降板など今回多方面にわたって、テレビ局、スポンサーなどにも大変な迷惑がかかっただろう。中でも、朝の日本テレビ系「ZIP」を降板することになった。番組担当者は大変だと思う。ファンもつらいだろう。被害者やその家族もだ。

話を戻して、そもそも芸能人がキャスターやメインパーソナリティーをやること自体が問題ではないのかと思う。

第一に、利害相反の問題。タレントがニュースを読んだり、コメントしたりということ自体、倫理的、公共性としてどうなのか。企業のCM契約があるなど広告塔を担当する場合、企業を応援したりするコメントをあからさまにしないだろうが、無意識的に企業の得になる発言をすることにするかもしれない。

第二に、「報道しない自由」が見られたこと。メインパーソナリティーを務める番組では、ニュースとして山口達也メンバーの書類送検を報道していた。単なる1つの「不祥事」という報道のされ方であった。「なかったこと」のようにしたいのはわかるが、自分たちの番組のメインパーソナリティーであったことを直視していない。あえて、自分たちのことについても不利であっても、それはきちんと報道する必要はないのか。自分たちが行った行為に対して「説明責任」を果たせなかったことは、他の報道や番組自体の価値を棄損してしまう。別に謝罪しなくてもいいけど、番組プロデューサーが出てきて、山口さんをメインパーソナリティーに選んだこと、その評価などを視聴者に説明し、正面から向き合う姿勢を見せないのは残念であった。厳しい言い方だが番組を愛するが故の苦言である。

他の番組ではTOKIOの他のメンバーが過剰なほど謝罪感を出した番組が報道されていた事実と対比すると非常に印象深い。

ジャニーズのアイドルなのに、とてもきさくで、等身大、汗をたらしながら頑張る、人柄がにじみでる身近な存在である稀有な存在であるTOKIO。今後も活躍してほしいと思う一方、今回の騒動の裏に大手メディアの問題をそこに見る。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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