<東京大改革の今:第9回> アレルギー・花粉症対策こそ働き方改革!


東京都は「東京都アレルギー疾患対策推進計画」を初めて策定した。
これは、平成27年に、「アレルギー疾患対策基本法が国で施行され、平成29年には「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針が厚生労働省で策定。これを受けて東京都アレルギー疾患対策推進計画を策定するに至った形。

大きな柱は3つ。

施策の柱1 適切な自己管理や生活環境の改善のための取組の推進
施策の柱2 患者の状態に応じた適切な医療やケアを提供する体制の整備
施策の柱3 生活の質の維持・向上を支援する環境づくり

ということで、全国に先駆けて東京は対策を進めている。

アレルギーとは何か

アレルギーとは何か。

私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに体内に「抗体」がつくられ、これら外敵をやっつけようとする「免疫」というしくみがそなわっています。ところが、この免疫のしくみが、食べ物や花粉など私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害な物質だ!」と過剰に反応して、攻撃をし過ぎる結果、逆にマイナスの症状を引き起こしてしまうこと。

【出典】「アレルギーってなあに?」

具体的に言うと、卵、牛乳、小麦などの食品、ダニ、ハウスダスト、タバコの煙、スギ・ヒノキ等の花粉、大気汚染の原因物質などなど、様々な因子で症状が誘発され、アレルゲンや増悪因子が引き金となり、急激な重症化やぜん息発作、アナフィラキシー(発症後、極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応)を起こすことを言う。
こうしたことが「生活の質(以下「QOL」という。)に影響を及ぼす場合が多い疾患」(p3)とされている。
東京都民はどうなっているのかを見てみると以下の図のようになる。

【出典】東京都アレルギー疾患対策推進計画 p28


喘息がここ数年増加しているのが特徴である。

花粉症の現状

私も色々なところで度々書いていて、最近は「花粉症対策こそ働き方改革」と言っている花粉症。

現状はというとあまりにも全国的な調査がされておらず大変問題なのだ。
筆者の問題意識は以下図にまとめているし、著作を見ていただければありがたい(アゴラ)(政治山)。

こんなに被害者がいるのに、対策はなかなか進まない。

しかし、東京都はしっかりと調査を行っている。これは他の自治体にはほとんどなく、筆者が様々な場所で力説しているように、「見える化」されていない中、大変素晴らしいものである。

花粉症患者実態調査を見てみよう。調査地区はあきる野市、調布市、大田区のそれぞれ一部の地区(過去3回の調査と同様)なのだが、継続して調査をしている。

しかし、その結果は悪化の一途をたどっている。以下の図が示している。

【出典】東京都アレルギー疾患対策推進計画 p38


年々増加、倍近い増加である。結構深刻だ。

細かく見ていこう。全ての年齢区分でみても、前回調査よりスギ花粉症推定有病率が上昇。「年齢区分別のスギ花粉症推定有病率は、0~14歳で40.3%、15~29歳で61.6%、30~44歳で 57.0%、45~59歳で47.9%、60歳以上で37.4%」とのこと。

さらに言うと、都内3区市を対象としたアンケート調査と花粉症検診の結果から推計した都内(島しょ地域除)のスギ花粉症推定有病率は48.8%であったそうだ。

いかに花粉症が問題なのかがわかる。こうして「見える化」されることの必要性を痛感する。

平成26年度に都が実施した「アレルギー疾患に関する3歳児全都調査」

そのほかの面でも、東京都はかなり先行している。

平成26年度に都が実施した「アレルギー疾患に関する3歳児全都調査」では3歳までに何らかのアレルギー疾患であると診断された子供は約 4 割という結果が明らかになった。

【出典】東京都アレルギー疾患対策推進計画 p3

10年前の2倍。今後、この子たちは、その生活においてどういった支障がでるのだろうか。

このようにアレルギーの問題への都の取組みは地方自治体の中でも先行しているように思える。どこかで小池都知事は「花粉症ゼロ」を言ったようだから、その取組みを強力に推進させて貰いたい。

「働き方改革」「子育て推進」のベースにあるのは、こうした対策になるだろう。人として活動するのに支障があるわけで、その支障を取り除かなければ実現しない。地道な取り組みを期待したい。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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