西村健の「VS人工知能のキャリアデザイン~21世紀の仕事の未来」【第1回】


将来、人工知能によって今ある仕事の半分が奪われてしまう・・・・・そうだ。

野村総合研究所の調査では

「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に(中略)オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授およびカール・ベネディクト・フレイ博士*1との共同研究により、国内601種類の職業*2について、それぞれ人工知能やロボット等で代替される確率を試算しました。この結果、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能」

との発表がずいぶん前にあって、反響を呼んだ。

若者にとっては、将来仕事において、中国や東南アジアの若者との競争が一層激化されるのは必至、それにも加え、機械とも競争しないといけないとは!

不安を感じる方も多いことだろう。正直、私も一部の仕事に危機感を感じ、ここ数年、人工知能と脳科学の研究など「学びなおし」をしているほどだ。

しかし、人工知能に雇用を奪われる分野はパターン認識を中心とする特定の分野に限られるだろう。専門家の中では、それ以外は奪われるというより、お互いに不足する能力を相互に補足する、どちらかというと人間を補足する形になると思われている。先日ここでも書いたが、RPAにより、雑務から解放され、創造性のある仕事に時間をさけるようになるかもしれない。

未来が見えない中、キャリアをどう考えていくのか。この未来学者が皆さんのキャリアデザインを考えるヒントを紹介していきたい。

キャリアデザインの3つの考え方では不足

キャリアの定義をおさらいしてみよう。キャリアとは

職務経歴、仕事に対する自己イメージの2つの要素から構成される。

そして、キャリアを自分で作っていきましょうというのが、簡単に言えばキャリアデザインのことだ。会社がレールを引いた道なんか、もうないのだ、自分で考えていこう!ということである。

とはいえ日本社会は、一部の学校を除いて教育現場では「自由にやれ」という方針をとっているところも少ない。そのため、どうしても人々は悩む。

・自分に向いた仕事をするべきかな?
・好きな仕事をすればいいのかな?
・好きな仕事よりも条件の良い仕事かな?
・まずは食えなくては?安定最優先かな?
・私はいったい何がやりたかったの?
・・・・・

人々の悩みは尽きない。程度も様々であり、度合いも様々、色々なことを考えるだろう。そもそも我々は多くのことに影響を受ける。自分の内心の声、将来の見通し、可能性、親族・親や周りからの評判、メディアでの流行や注目、時代の流れ、金銭的欲求などなど。

特に、日本では「何をしたいか」よりも「何になりたいか」と大の大人が子供に聞くような社会である。メディアもそう。つまり、何をするかより、「職業」「肩書」優先の考え方が定着している。

私は子供の時に「何になりたいの?」という質問を知り合いのおじさん・おばさんから受け、「職業って永遠じゃねーだろ」「つくば万博でのロボットを見なかったのか?」と思いつつ、「政治家になって政治家を廃止する」とかテキトウなことを言っていた(笑)。結局、人を肩書や立場でしか見てない多くの人がたくさんいるこの国は本当に生きずらい(笑)。

日本の「肩書主義」「立場主義」は、キャリアデザインにあまりいい影響を及ぼさない。

【出典】ぱくたそ

大手メディアやビジネスに自分に惑わされず、死んだときに納得・後悔しないで満足できるかという観点から自由にキャリアをデザインしていくべきだというのが基本的な私の認識だ。

西村健が考えるキャリアデザイン

キャリアデザインの基本は3つ。キャリア研究の大家であるエドガー・H・シャインが主張するのは

①自分が得意なこと、できること
②自分がやりたいこと
③自分が価値や可能性を見出すこと

である。シャインはこの3つについて内省することこそ大事だと説いた。
ビジネスマン・ウーマンには、よく「できること」と「やりたいこと」のギャップに悩む人も多い。というか、最近は、やってみないうちに決めつけてしまう若者もいると聞く。

話を戻して私はこれに加えて

④自分の最終的な夢・目標
⑤プライドや自尊心

といったこともしっかり考えるべきだろうと思うのだ。特に⑤は変に思うだろうが、ぶっちゃけ大事だ。結局、何にプライドを持っているのか、自分を支える自尊心は何かを見えていないと結果的に不幸なことになりかねない。

⑤が周りからの称賛・評価の方もいるだろうけど、それはその人の人生だ。自分らしく生きるか、周りからの評価をもとに生きるかはその人の選択。じっくり考え、考えを重ねて欲しい。

求めるもの、向いているもの、生き方、成長曲線は十人十色であり、状況によって変化する。そもそもキャリアは偶然で変わるわけで、そんなに難しく考えず、ある程度運に天を任せるくらいの方がいいものだ。

人工知能さん仲良くやろうね~。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、事業創造大学院大学 国際公共政策研究所 研究員・ディレクター、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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