トランプ大統領が米朝会談後に持ってくる「北朝鮮支援のための請求書」を断るべきだ


(ロイターから引用)

トランプ大統領の北朝鮮との取引内容が明らかに

トランプ大統・米国側が北朝鮮に体制保証と経済支援を行う旨を提示していることが明らかになったようです。

米、北朝鮮に体制保証の用意提示 完全非核化が条件

トランプ大統領は一応検証可能な「非核化」が条件として挙げられているものの、北朝鮮との間で手打ちをする方向で話を進めています。筆者が再三主張してきたシナリオ通りになりつつあり、最悪の事態として「非核化」も中途半端な状況に終わる可能性が出てきています。(南北首脳会談による雪解けの後に残るもの

さて、そのように考えると、シンガポールでの米朝首脳会談後にトランプ大統領が日本に立ち寄る趣旨は明らかだと思います。つまり、米朝首脳会談で決定した「非核化」と「経済支援」のうちの「経済支援」の請求書を持って日本に来日するということです。もしかしたら、日本の意向に配慮して拉致問題で何らかの進展があり得るかもしれませんが、それにしても北朝鮮への支援費用については、日本を中心としたアジア勢に応分の負担が求められることになるでしょう。日本政府側はシンガポールからの来日日程を決めた段階で、トランプ大統領から同請求書を突きつけられることをは予め了承しているものとして考えるべきだと思います。

米朝会談後の訪日を蚊帳の内だと喜ぶべきではありません

仮に日本を狙う短中距離ミサイルが残る形で中途半端な非核化が行われた場合、日本はトランプ大統領からの北朝鮮支援の請求書を受け入れるべきではありません。それは拉致被害者の問題が何らか進む可能性があるとしても、です。拉致問題は日本側が身代金費用を払って解決する問題ではなく、あくまでも北朝鮮の犯罪行為であって北朝鮮側が日本に賠償金を支払うべきものだからです。強盗に報奨金を渡すようなふざけた話を一切受け入れるべきではないでしょう。

北朝鮮が朝鮮半島において本当に平和的な発展を目指すことになるのであれば、閉鎖された独裁国家である北朝鮮であったとしても、いずれは人の往来が自由化されていくことになります。つまり、国民の人権状態が相応に保証された国になることが北朝鮮への経済支援の前提になるのであって、そうであれば拉致被害者についても自ら返還することが当たり前だからです。そのための経済支援費用を日本が提供する必要はなく、不確かな「非核化」を了承した米中韓が支払いに応じるべきです。

日本の現状の強硬姿勢は北朝鮮への経済支援を断る理由になるため、安倍政権がこの瞬間のために強硬姿勢を継続していたのであれば見事だと思います。逆にトランプ大統領に言われて北朝鮮への経済支援を飲むようなことがあった場合、相応の批判を受けることを免れることはできないでしょう。

北朝鮮への経済支援を断り、北朝鮮に「拉致被害者への賠償金」を支払わせるべきだ

北朝鮮への経済支援を求められた場合、日本は「検証可能」「不可逆的」な「非核化」を実現し、「日本を射程におさめる短中距離ミサイルを放棄」し、なおかつ「拉致被害者返還」及び「拉致被害者に対する人権侵害への損害賠償」が行われない限り一切応じるべきではありません。米国都合の「非核化」ではなく、日本としての「非核化」「安全保障」「人権問題」とは何か、ということを主張し続けていくことが大事です。ここで折れることがあれば国際的に日本は永続的に舐められたままになるでしょう。安倍首相にはトランプ大統領に対して毅然とした対応を行うことが求められます。

 

 

 


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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