THE-OTAKU議員・第1回「東京ビックサイト問題とは?」


東京ビッグサイト HPより引用
http://www.bigsight.jp/

はじめまして、大田区で区議会議員として仕事をしています、おぎの稔と申します。
こちらでは「THE OTAKU議員」というテーマでビックサイト問題を中心として、全6回いわゆる「オタク」やマンガ・アニメを巡る課題について、取り上げていきます。
どうか、お付き合いいただければ幸いです。

第1回 「ビッグサイト問題とは?」

第1回となる今回は、ビッグサイト問題となります。

お台場にある株式会社東京ビッグサイトが運営する首都圏最大のコンベンションセンター、展示場である「東京ビッグサイト」(東京国際展示場)が東京2020オリンピック・パラリンピック大会前後の期間に利用が制限、また不可能になる事をご存知でしょうか?
首都圏、いえ日本最大規模の会場である東京ビッグサイトは、見本市などの会場として日頃から使用されており、毎年300を超える見本市が開催、年間2兆円規模の経済活動が行われています。
車やロボットなどの見本市や物産展などの展示会の他、大規模な就活セミナー、交流会なども開催されており、東京ビッグサイトの報告によれば年間約13万社が出展、海外からも約3万社が出展しています。

お台場という好立地もあり、日本の見本市、展示会を語る上で欠かせない場となっており、ビッグサイトの利用が出来なくなることは、見本市、イベント運営、関連する中小企業に大きな影響を与えるだけでなく、就活や文化・技術的な展覧会、ポップカルチャーの発信、交流拠点でもある同人誌即売会にも大きな影響を与えます。

東京都の努力と迷走する会場問題

では、実際の利用制限について説明します。

こちらは東京ビッグサイトが出している利用制約状況です。黄色が利用可能期間となり、2019年4月から2020年11月までを示したものですが、最も大きな東展示棟はオリンピック用のメディアセンター利用とその準備のため、2019年4月から利用不可能。他の西展示棟や南展示棟にも利用制限が掛かります。

資料の中に短縮の文字が何度も書かれているように、東京都もこの間、利用制限期間短縮の努力を行ってきました。また、資料最下部の展示面積からも判るように、南展示棟の建設などもあり、2020年12月からは現在よりも使用面積も増えます。

そうした事情もあり、特に大型のイベントは時期をずらし、五輪後かその前に集約するように東京都も要請、交渉を重ねてきました。
しかし、冷静に考えて頂きたいのですが、使用制限期間は一年以上に及びます。大規模な展示会だけでなく、中小の見本市、交流展も含めた機会損失、経済的な損失を考えれば、とてもではありませんが看過できない期間です。

また、資料下部の「青海展示場」は、この問題に対応するために仮設で2019年から利用開始になる予定の施設ですが、大会本番の2020年7月からの期間は利用が出来ません。
これは、お台場周辺という地理的な問題もあるのですが、代替施設を利用できない区域に作るのは効果的なのでしょうか?そもそも、期間中に使えない事が代替足るのでしょうか?この問題における迷走がわかります。

・オリンピック・パラリンピックの安全とビッグサイト利用をどう天秤にかける?

もう一度、こちらの画像をご覧ください。

先も述べたとおり、利用制限期間は短縮されてきました。この事は東京都や今まで声を上げてきた皆様の努力の賜物でもあると思います。
ビッグサイトのある、お台場は、周辺警備などのセキリュティ強化の為に、オリンピック・パラリンピックが開催される、半年前から大規模イベントの自粛、要請されてきたのに関わらず、開催の2か月前まで、青海会場は直前まで利用制限付きとはいえ利用が可能となったことは、素直に評価すべきでしょう。

しかし、半年を切った段階で大規模イベントの自粛を呼び掛けているのは、警備やそのための準備、テロ対策と言ったオリンピック・パラリンピックを安全に実施する準備の為です。
これ以上、ビッグサイトの利用期間短縮について述べる事は、オリンピック・パラリンピックの成功、多くの人にとっての安全安心にも繋がる警備・テロ対策の話とも天秤にかける事になります。それで本当に良いのでしょうか?

五輪期間中に使用できない会場から、他の産業などとの協力や、都内やどうしても難しければ関東近郊を視野に、施設の活用にも目を向けるべきではないでしょうか?
この点については次回以降に取り上げいていきたいと思います。

コミケ問題解決では解決しない同人誌即売会への影響

同人誌即売会についても少し触れます。コミックマーケットを始めとした同人誌即売会もこのビッグサイト問題の影響を受ける事から、この間、関係者間で調整が行われてきましたが、コミックマーケットについて先日、下記のような報道が行われました。

コミケ 2020年の会場問題が決着 GWに前倒し開催へ
https://mainichi.jp/articles/20171223/dyo/00m/200/017000c

「コミケ」の名前を使い、ビッグサイト会場問題が解決したかのような報道には疑問がありますが、同人誌即売会を巡る問題はコミケだけの問題ではなく、解決はしていません。

コスプレなども大きく取り上げられることからご存知の方も多いと思いますが、同人誌即売会では、様々なクリエイターが同人誌、グッズ、または映像ソフトなどを作成し展示、有償での頒布などを行います。クリエイターだけでなく製造会社、イベント会社、印刷会社なども絡み、大きな経済効果を生み出しています。

企業なども出展する為、クリエイター同士、または企業、ファンとの交流の場にもなるのですが、コミックマーケット(コミケ)が前倒しになり、他のイベントの時期などとも被ってしまい、その機会が集約されてしまうと、結果的に経済活動、また作品発表、交流の場は少なくなってしまう事になります。オリンピックを盛り上げる一つのイベントをやってくれという事ではなく、出来るだけ、今まで通りに作品発表、交流の場を維持してきたいという事こそ、参加者の願いではないでしょうか?

これは同人誌即売会のようなイベントだけではなく、影響を受ける見本市や出展企業にも言えるのではないかと思います。

●ビッグサイトひいてはオリンピック・パラリンピック会場問題

・青海展示場(案)は複合的な仮設施設に

東京都はビッグサイト問題について、東京テレポート駅周辺に代替(?)の仮設施設として青海展示棟の建設を予定しています。
前述の通り、期間中は使えないという問題もあるのですが、東京ビッグサイトが発表している図面をもとに今度は青海展示棟(案)について、最後にお話をします。

まず、第一に遠い事が挙げられます。距離は約1.5キロ。実際に私も東京ビッグサイトから会場予定地まで歩いてみましたが約20分掛かりました。

もはや別会場です。

少なくとも、大規模イベントの代替会場としては機能しません。

第二に施設としてあっさりし過ぎている事が挙げられます。
ホール内に商談スペースや救護スペース、会議室はあるのでしょうか?
また、見本市と言えば多くのトラックやフォークリフトの搬入も考えられます。施設内外の誘導、待機、荷捌きスペースはどのように検討がされているのか、不明です。

第3に、見本市だけを考えた仮設施設ではいけないという事です。
ビッグサイトという展示場の代替え施設である本案に対してこのような事を言うのは矛盾しているかもしれませんが、そもそも、首都圏では見本市会場だけでなく音楽、スポーツ会場などで使える大規模施設は慢性的に不足しています。
幕張メッセのように見本市と音楽などのイベントが奪い合いのように使って来た施設もあります。
オリンピック・パラリンピック大会期間に、自治体や民間の持つ施設を、大会に関連して都が使用していく事は今からでも予想できることでもあり、この問題は首都圏におけるビッグサイト会場問題と、同人誌即売会や見本市の会場問題だけでなく、音楽・文化・スポーツの会場不足問題ととらえ、例えば、青海会場等も音響装置や防音装置などをつけるなどし、複合的に使用可能な施設する事が必要ではないでしょうか?

青海展示棟を複合施設とする事で、逆に余った別施設を見本市や即売会などのイベントに使用できる隙間が出来るかもしれません。
オリンピック・パラリンピックという国を挙げてのイベントを前に、大きなイベントを行う各業界が協力し合って、会場不足を乗り越えるべきだと考えますが皆様は如何お考えですか。

 

<The Urban Folks編集部からの追記>

荻野さんが冬のコミックマーケットで頒布した同人誌「地方議員の事情本」及び「地方議員の日常本」。この新刊・既刊はともに書店委託も始まっておりますので、当日、入手できなかった方はこちらからご覧ください。

メロンブックス様
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=326339

COMIC ZIN様
http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=35223


荻野稔
荻野稔

大田区議会議員
非正規雇用、NPO活動で障害者支援に携わりながら、都議会議員秘書を5年務め2015年より現職(1期目) 表現の自由を守る政治運動にも携わり、2010年、石原慎太郎元都知事の知事提案条例の否決に関わる。

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