<東京大改革の今:第10回>小池さんの情報公開の成果と本質


【出典】東京都庁(筆者撮影)

森友学園・加計学園問題、自衛隊スーダン・イラク日報問題・・・・。

大臣や省庁の幹部が「無い」と断言したものが、後になって「発見」。しまいには「改ざんの可能性」さらに他行政機関(県庁)の「議事録」が出てきて・・・・

国の方は公文書や情報公開をめぐって大騒動になっている。「記憶」と「記録」が交差する劇場は1年たっても続いていることに、国民も若干食傷気味になっているかもしれない。しかし、この民主主義社会においては「情報公開」がいかに権力をチェックするうえで重要なものだということを改めて理解する契機となったことだろう。

政治について議論することはここでは行わないが、情報公開は、後でその政策が正しかったのか検証するために必要。その意味で民主主義の根幹だ。公文書を改ざんすることは論外ではあるが、(財務省の肩を持つわけではないが)後でばれるリスクと政治的圧力を考えた苦渋の決断かもしれないし、相当の事情もあったものと推察される。

「政策の一丁目一番地」とされた情報公開。

さて、東京都。

情報公開の徹底という小池都政の中心施策について、今回は見ていくこととする。これまで2年間東京都の改革を進めてきた都政改革本部も成果を出したということだろう。顧問の上山信一さんたちが抜けた今後は、「副知事らを中心とする職員主体の体制とし、引き続き不断の改革に取り組む」(小池知事談)そうである。

情報公開の活動はこれまで都政を見てきたものとして、「やはりトップが変わればこうも変わるのか」と思われるほどの変化が客観的に見られた。専門家としての立場で見ると正直言って問題も多いが、過去の経緯や都庁の体質、職員のスキルや考え方を見ると、情報公開はこの2年間で大きな成果があったとみるべきだろう。

私のようなライターとしては素人に毛が生えたレベルの人間が都政改革本部も取材でき、欠席した場合は映像も見ることができた。そして、こうして文章を書けているから「成果があった」というわけではもちろんない。

侮れない「取組み」

まず、情報公開の取組みを見てみよう

(1)29年7月:情報公開条例を改正

    ①閲覧手数料を廃止
    ②写しの交付手数料を減額:モノクロ1枚 20円 ⇒ 10円、カラー1枚 100円 ⇒ 20円
    ③積極的な行政情報の公表・提供:都民の関心が高い情報であっても請求を受けてから情報公開→複数回開示請求を受けた公文書の公表や積極的な公表

(2)29年12月:「東京都公式ホームページデザインに係るガイドライン」策定

    ①ページの横幅や背景色を統一
    ②ヘッダー・フッター、グローバルナビゲーションの色やサイズ、フォント等を統一

【出典】「情報公開の取組について (30年度の取組と29年度の成果)」

特に(1)①閲覧手数料。そもそも、都道府県で閲覧手数料を徴収してたのは都を含めて3自治体しかなかったのだ。そして②写しの交付手数料の減額。開示に係る写し交付手数料が割高であったわけだ。カラーで出力が100円・・・という(信じられない)価格設定であった。

(2)は私が説明することもないだろう。下の画像を見ていただければその変化が理解できるだろう。

【出典】「情報公開の取組について (30年度の取組と29年度の成果)」


「(参考)デザインガイドライン対応例」

そして成果を見てみよう。都庁は

□28年度の成果:非開示判断の厳格化、開示請求によらない積極的な情報公開
□29年度の成果:情報公開条例の改正、公文書情報提供サービスの開始

と主張する。「成果」というより「取組」だろうというツッコミは置いておいて(厳格化することでどういったことが可能になったかが成果)、これだけの活動をしてきたという意味で、成果があったことを推察することはできる。

利用者から見た成果とは?

公聴についても見てみよう。どのような「都民の声」が寄せられ、都政に活かされたのかという点で見ると公表件数の拡充が明らかだ。

【27年度 対応事例公表件数】 全庁計 75件 (総合窓口65件・各局窓口10件)
【28年度 対応事例公表件数】 全庁計 662件(総合窓口167件・各局窓口495件)
【29年度 対応事例公表件数】 全庁計 1044件(総合窓口248件・各局窓口796件※)※速報値

また、審議会の公開度合いを見てみよう。以下の図の通り28年4月時点と30年4月時点で比較すると、公開の割合が15%以上増大している。

「まだまだ」という声もある。しかし、個人・企業等情報保護や法令、公正な行政執行の確保が理由なので非公開の理由も納得がいく。逆を言えば、いままでなんでこんなにも「非公開」にしていたのかと疑問も多い。中世の都市国家レベルであったのかもしれない・・・。

今後に期待!

「ブラックボックス」「パンドラの箱」なのかよくわからないが、オープンの度合いはさておき、結果として、情報公開が進んだことは確実なことは誰も否定はできない。

ただし、成果といっても、自治体として当たり前のことができなかったレベルからの脱却という意味では非常に効果があっただけで。正直のところ、専門家としては指摘したいことは山のようにある。
あと、都政情報ルームを使っているものから一言。PCの使用ができなかったので改めてもらいたいものだ。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

西村健の記事一覧