婚活事業の闇~税金投入の効果と利害相反?


「官製婚活」

少子化対策のために国が交付金を出し、全国の自治体が婚活支援を行ってきたが、今、婚活事業が批判を受けている。
「2015年には北海道から沖縄までの全国47都道府県に及んでおり、その事業数は353」あったそうだ。

その批判の焦点は、第一に利害相反。国レベルでも「そもそも内閣府の少子化対策関連の審議会には、様々な審議会で委員を歴任する「政府お抱え」のような人物が存在する」などが指摘されている。さすがにここまであからさまな事例は自治体レベルでも少ないが、「婚活業界と婚活議連、全国知事会という政官財のトライアングルがあり、連携して政府や世論への働きかけを強めていたのである」といわれても仕方がない面もある。新しいことをやるとなると、どうしても先行して仕掛ける事業者の声を聞かざるをえない構造なのだ。

第二に、結婚に関する普及啓発事業の予算として、何千万円使用されていること。そして、巨額の税金投入の効果がそもそも検証されていないこと。

第三に、その「空気の押しつけ」である。自治体、企業などでは結婚をすることについて無意識的にプレッシャーを受けると感じる人もいるようだ。「上司から「まだ結婚しないのか」や「そろそろ結婚したら」という声かけをされると、人によってはそれだけで十分セクハラになるのではないか」といった指摘もある。

「地方創生」において、メインテーマとして、多くの自治体が婚活の取組を大なり小なり進めていた。筆者も内閣府の地方創生人材支援制度の派遣者だったので、その経験を含めて考えていきたい。

そもそも行政がやることだったのか

社会的に
・出会いの少ない若者に出会いの機会を
・出会いを増やし、結婚につなげてもらう
・結婚のイメージをよいものに変えてもらう
という思いは常識的には良いものだと思う。自然のことだ。

しかし、西村の師匠であるナインティナインの岡村隆史さんが出演するようなお笑い番組など民間が一杯やっている。民間事業者も多い。おせっかいおばさんも町にはいる。マッチングアプリなども非常にはやっている。

税金投入・行政の役割になったことへの目的妥当性に疑問が感じられる。つまり、行政がなぜかかわるのか?ということだ。「社会問題」でありとはどこまでいえるのか。

行政が介入する役割があるかが政策の争点とされ、色々議論されていた結果なら、その地域の住民の選択ということでよいかと思うが、そうした自治体がどれだけあったのだろうか。

また、有効性という意味では、これだけ「結婚しない選択」をもった若者の心を変えさせられることができるとは思えない。

結婚はそもそも難しい。

結婚観の変化はかなり変化している。以下政府、厚生労働省の資料からグラフを持ってきたが、古いデータだが、見てみてください。婚姻率は低下傾向を示している。

さらに、結婚についてどのように考えているのか。「結婚は個人の自由だから、結婚しなくてもどちらでもいい」という割合が若い世代、特に30-40代で高かったのも事実。

さらに、結婚という行為がいかに難しさを考えてみよう。以下筆者が作成した図だが、知り合いになるのがそもそも現代では大変。知り合っても、次のステップに行くまでに壁が多く、なかなか進まない。

【出典】筆者作成

それだけ結婚という行為が難しいか、難易度が非常に高いことがわかるだろう。

人口減少で別にいいじゃないの?

人間の人口は増えすぎると、地球環境への影響、食料不足を引き起こすとされている。多くのエネルギーは足りないし、サプライチェーンが大変なことになる。その意味で人口は増えない方がいい。

【出典】国連人口基金「世界人口の推移グラフ」

これは世界のデータが日本もたいしてかわらない。産業革命以降、人口が増えすぎたことへの反動かもしれない。

ピューリサーチセンターの世論調査で言われるように「自力で生きていけない人たちを国や政府は助けるべきだとは思わない」割合が38%という非常に高い数値を示す社会(アメリカ28%、中国5%)。自殺者が2万人もいて幸福度が低い社会。

不自由さ
しがらみの強さ
忖度
空気の支配
「中世」のようと世界的に評価される司法制度
スポーツ界でみられる「上意下達の息苦しい組織」が跋扈

こんな日本に絶望する人が増え、人口が減るというのは自然の摂理であり、自然だと思うのは私だけだろうか。人口がこれ以上増えても狭い国土に適正な人数と思えないし、人口減少が別に何が悪いのだと思うのだ、
植物・動物がしいたげられたわけで、人間はそれまでの王様の暮らしを反省する時なんだろうと思う。人間はやりたい放題しすぎたからだ。

結婚するに値する社会なのか?

私はいわゆる団塊ジュニア。ロストジェネレーション世代である。就職活動も百社以上受けてどうにか滑り込み、同世代も正社員が少ない。運がよく結婚でき、年収1000万円以上を稼ぐ金持ちの友達もいるが、そうしたいわば「勝ち組」「成功者」の友達の口から「子育てでお金が足りない」などの愚痴を聞くと、びっくりしてしまう。さらに、子どもを持つ必要を感じない人が増えているようにも思える。

この現状の根本にあるのは、子どもを産んでも多くの人たちが「お金がかかる」こと、「将来への不安」なのだ。そのことを考えると、婚活事業のような対処療法をしても問題解決には至らないだろうと思ってきた。

個人的には、婚活事業については事業の専門家として疑問を持ってきた。地方創生の予算で多額な事業費が投入されているが、その費用対効果が検証されていることは少ない。ライザップが伊那市で行う健康事業のように「成果がでたら」委託費をもらえるという取り組みが始まっている時代に、である。事業を担当する委託業者は、検証と説明責任が今後、必要だろう。

別に婚活事業が悪いのではない。個人的に結婚できない私が嫉妬や恨み、結婚できないことへの不満から言っているわけではない。そもそもの目的を考える意味で検証しようと言いたいだけだ。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、事業創造大学院大学 国際公共政策研究所 研究員・ディレクター、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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