大学改革~日大でさえ必要?(その1)


【出典】アメフトグランド、筆者撮影

日本大学が数多くの集中砲火を浴びている。
そもそも発端は、アメリカンフットボール部の選手が関西学院大学の同部の選手に悪質なタックルをして、怪我をさせたこと。それがネットにて公開され、一気に広がった。

・あのような怪我をさせてしまったことへの関学選手への同情
・生徒の悪質なプレーへの批判
・「ぶっつぶしてこい」解釈をめぐる疑問
・垣間見られる日本の体育会系の伝統である「命令服従」関係
・監督とコーチの理不尽な命令・上の言うことは絶対主義への時代錯誤感
・会見までして顔出しする日大選手の勇気
・日大選手の潔さと本来選手を守るべき大学の会見、その落差
・次々出てくるキャラクター、大学広報のなんともいえない対応
・不祥事を起こした政治家のように病院に雲隠れする監督
・明らかになった内田氏のキャリア、田中理事長の側近としての権力者としての凄さ
・職員組合なども声をあげ、カオスに
・日大のえらいさんのとっても悪そうな顔(失礼)と反省しなさ
・阿佐ヶ谷ちゃんこ屋に日参しないと出世できない日大の出世システムへの違和感
・私学助成金もらっている大学としての社会的責任が見られないことへの疑問
・教育機関というにはお粗末な生徒や保護者への対応
・相撲・レスリング・・・スポーツ業界の一連の連続不祥事との既視感

こうした要素が複雑に絡み合って人々はあたかもそこにいるかのように感情移入してしまった。

【出典】アメフトグランド、筆者撮影

①【皆の感情移入先】関学選手「あの悪質なプレーはあり得ない、わざとだ」
②【皆の感情移入先】日大選手「真摯に会見して素直に謝罪して偉い、大学は嘘をついているのでは?」
③【皆の感情移入先】日大選手「コーチや監督がおかしい」「守られなくてかわいそう」
④【皆の感情移入先】親「大学がおかしい」

燃料が投下され、火に油が注がれる形となり、ちらちら日大の利権闘争も垣間見れ、政治、日本文化、「昭和的なもの」と時代・年代ギャップにまで話を広げられるまで膨張。

怒り、同情、称賛、憐憫、不満溢れる壮大な「劇場」。

国民の感情が沸点に達して、日体大にクレームを入れるあほな人まで多数出てしまう始末。誰もがいろんな立場で物事を語ることのできる、まさに「社会問題という名のネタ」になってしまった。

アメフトの試合内容以上に白熱した「ネタ」というのは皮肉なことだ。

【出典】アメフトグランド、筆者撮影

すごーい、日本大学のポテンシャル

日大の広報・危機管理を批判する人がいる。組織の「古い」体質、守りたい利権があること、メディアは質問は1問なのにルールを守らない事も多い(正義感丸出し)などからするとどっちもどっちだし、そんな批判してもな~と感じてしまった。

そもそも、危機管理学部(警察官僚の方など天下り先との評価も)を笑うのもどうかと思う。学ぶ機関であるし、今回「危機」なのかは解釈がわかれるところだろう。

なんていったって、日本最大級のマンモス大学、しかも学部が福島~都内~三島まで分かれて統一感が薄い一方、利権の大きさも莫大という特殊な組織だからだ。

世界の大学の学生数のランキングでみると・・・・

◆Anadolu University Turkey 1,824,383人
◆Cairo University Egypt 252,095人
◆University of South Africa South Africa 184,432人
◆National Polytechnic University (IPN) Mexico 173,868人
◆Alexandria University Egypt 166,350人
◆National Autonomous University of Mexico Mexico 145,024人
◆Sapienza University of Rome Italy 111,453人

【出典】World University Ranking

といったところが世界での「マンモス大学」である。日本大学は73266人これらには及ばないものの、日本では最大数を誇る。

大学入学年齢である18歳人口の推移では、1992年の205万人→2014年には118万人まで減り、私立の大学・短大では今後、60~100校の経営破綻が予想されている。恐ろしいほどの競争が強いられている中、その点は心配することもない。

理事の不祥事や違法行為は、私学助成の不交付もしくは減額の要因。不交付なら年間80億円吹っ飛ぶと言われていても、盤石の態勢だ。

どれくらいかって?

という物凄い巨大企業だ。

株式会社日本大学事業部って? 

大学経営をこれから考えて行くのだが、今回「株式会社日本大学事業部」に注目が集まっている。

【出典】株式会社日本大学事業部、筆者撮影

この組織は、常務理事という大学のナンバー2で、人事権を握る内田さん、今回の井上コーチなどがかかわっていた会社である。

業務は「2010年に設立され、保険代理業、人材サービス、キャンパス整備、学生生活支援などを事業として行っているが、不明朗な金の流れがあるとの疑いで、14年8月には東京国税局の係官が査察に入ったこともある」だそうだ。

こんな組織があるのだ。別に組織はあるのはいいのだが、今回の事件が明らかにした人脈ネットワークや関係者を一つにする「何か」がそこにはある。何を守りたいのか。宝である学生よりも重視するものがどうやらあるらしい。

しかし、今回の不祥事は大学経営にボディブローのように効くことだろう。相撲協会、レスリング協会と同じとみなされ、受験者数などにも大きく影響がするだろう。

最近「絶対的な組織や権力が腐敗する」事例を我々は多く目の当たりにする。権力側も腐敗しないように自己を律しないと、裸の王様になってしまうことを注意して経営をしなくてはいけないだろう。

つまり、改革は不断に求められるということだ。日大の改革に期待したい。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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