YDPA「デジ憲」レポート


日本政策学校インターンの渡邉萌捺です。
先日ユースデモクラシー推進機構さん主催の【デジ憲2】に参加させていただきました。

なんと今回の開催場所は、マハラジャ六本木!!
普段とは違った解放的な空間で、幅広い年代の方と交流することができました。
中でも反響の大きかった、イベント内のトークセッション部分を共有したいと思います。

以下

パネラー
市ノ澤充さん ㈱VOTE FOR代表取締役
原田謙介さん NPO法人YouthCreate代表
伊藤和真さん ㈱PoliPoli代表取締役

オブザーバー
中谷元さん 衆議院議員
細野豪志さん 衆議院議員

ファシリテーター
仁木崇嗣さん 一般社団法人ユースデモクラシー推進機構代表

によるトークセッションの要約です。


真剣ながらも誰よりワクワク感が伝わってくる ファシリテーター 仁木さん

仁木さん:今回のテーマは、大きく2つです。「現実世界の民主主義をネット投票がどう変えるのか」「デジタル世界の民主主義をトークンエコノミーがどう変えるのか」これを、それぞれの専門分野の方々に話題提供していただきつつ議論していきます。最後にオブザーバーの先生方にコメントをいただきたいと思います。

では早速、市ノ澤さんからお願いいたします。


専門的視点からの冷静な意見をわかりやすく共有する パネラー 市ノ澤さん

市ノ澤さん:ネット投票に関して、一番大きなことは自由に投票できる環境を提供することで平等が実現することだと思います。

現在、地方自治体選挙は条例化すれば電子投票できますが、日本の行政には集計が上手くいかなかった過去があるのでそこに戻るのは得策でないと思っています。その苦い経験を越えて再び…というのはなかなか難しいので、一足飛びにネット投票というビジョンを描いてそのステップとして投票所内の投票(電子投票)があるんじゃないかと思います。

平等というところで言うと、在外邦人が130万人ほどいる内18歳以上の方が100万人ちょっといますが、そのうち昨年の衆議院選で投票したのはたった2万人しかいません。まず登録をしている人自体が10万人くらいなんですが、実際にその人達が投票できる環境を作りたいですね。また、離島に住んでいる人や島嶼部、山間部の方など、そういった人たちにもネット投票という投票環境を提供することは憲法が定めている平等を実現するためにも絶対に必要だと考えて取り組んでいます。

仁木さん:平等性が大事だと。若者のためだけでなくて、お年寄りや離島の人なども含めて平等に投票できるようになるのがネット投票ということですね、素晴らしいです。

では原田さん、ネット投票すると投票率が上がって選挙結果が変わるということにもなるんですかね。若者の立場から見た時、参加する人は増えるんでしょうか?

政治の必要性と共にまさに現代の若者が持つ感覚を理解している パネラー 原田さん

原田さん:ネット投票ができるようになれば若者に限らず投票率は上がると思います。ただ、投票結果がどうなるかはわかりませんね。

しかし、少なくとも日本の特殊な環境である、大学生あるいは一人暮らしの若者が住民票を移していなくて投票に行けないといった問題は整備していけるかと思います。総務省の調べによると、住民票を移していない一人暮らしの大学生は半数以上います。これは法律違反なんですが、当たり前になってしまっているのでなんとか変えていかなければいけないと思います。

ネット投票によって投票率が上がるだけで社会が変わるわけではないことを例えると、僕が応援している愛媛FCというJ2のクラブがあるんですが、皆さんが今日そこの監督になれるとします。「あなたが一軍を11人選んで下さい」と急に言われたとしたら絶対に選べないんです。なぜなら、各選手の情報を知らないから。「ユースの選手からも選んでいいよ」なんてことになればさらに。

要は、いきなり「選挙に行けるよ、投票できるよ」と言われても、現職の政治家の方がなにをしているかを知るすべがなかなか無い。さらにユースの選手のような新人議員候補者なども出てくる、というような状況なんですね。

なので、ネット投票ができることと合わせて僕らがどれだけの情報を知ることができるか、それは単に位置情報だけでなくて、どの情報が良い悪い、自分に合う合わない、そういったことをもっと知ることができればネット投票によって社会は大きく変わってくると思います。日本、早くネット投票やりたいですね~!

仁木さん:両輪で言う片方がネット投票、片方が情報との接触ということですね。

おっしゃる通りで、エストニアの例を話させていただくと、ネット投票と紙投票を平行して行っていますが、結果は変わらないそうです。ネット投票した人たちが誰に投票したかという割合は紙投票と一緒だった。ただ、アンケートを取ると「ネット投票がなくなったら投票に行かなくなる人」が14~16%いるんです。つまり、いまの日本はすでにそれだけの人が投票していないのかもしれないということですね。

その辺りが、原田さんの活動やどういう風に政治との接触をつくっていくかというところで重要になってくると思います。

では伊藤くん、いまお話があった「政治家の情報との接触」これはPoliPoliのサービスでつくれるようになるんでしょうか。

大学生ならではの近代的な考えと斬新なアイディアを兼ね備える パネラー 伊藤さん

伊藤さん:もちろんです。良いことを言ったらお金がもらえるような仕組みで、エンターテインにするというのが僕らの感性です。

ネット投票は、やるやらないというよりやらないことが逆におかしいと思っています。

僕らの世代は、タイムバンクなどで一秒をすぐお金に換えることができます。自分の価値などを一秒いくらと換金するような時代にいます。そういった環境の中で「時間をかけて投票に行く」こと自体がナンセンスに感じます。

僕らはまだベンチャーでマーケティングをずっとやったりしているんですが、マーケティングポイントは若者・女性層・ネット世代をピンポイントで狙っていくとおじさん世代にも広がると考えています。ですが、若者に届けたいのであればユーチューバーなどインフルエンサーにお金を払えばインプレッション・視聴数はすごく効率的に上がると、僕は軽く考えたりしていますね~。

仁木さん:年代によって、見ている世界観が違うというのも今日楽しんでいただきたいポイントですね~(笑)

中谷先生、この議論をどう思われましたでしょうか。

変化に厳しい現実を語りながらも常に和やかな空気をつくる オブザーバー 中谷さん

中谷さん:現実とのギャップをとても感じますね。今日憲法の審査会で国民投票改正の議論をしましたが、認知症の方たちが投票に行けないので郵便投票をしようじゃないかというものでした。

みんなが携帯を持っていて使えるわけではないので、ネット投票となると越えなければいけない様々なギャップがあると思います。指紋や顔認証ができるようになれば実現しますが、なかなか難しい問題ですね。私たちも真剣に考えていかなければいけないと感じました。

新しい考えを取り入れようという姿勢で積極的に参加する オブザーバー 細野さん

細野さん:何に困っているかって、一番はお金で。無所属になると政党助成金が入らないんです。

いま政治家はTwitterのフォロワーやFacebookのいいねの数を争っているけど、トークンになるの良いと思うね!一生懸命考えて良い発言をすれば、それがバリューで返ってきて、それによってなにか新しいことができるというのは素晴らしいですね。

いまはどっちかというと、一生懸命活動すればするほど政治家はお金がなくなるという繰り返しをしているので、一番世代の遠い伊藤さんのアイディアは面白いな!と思いました。

仁木さん:ネット投票については、こうやって多世代で議論を前に進めていくということが大事だと思いました。ぜひ現実にしていきましょう!

では、ここからは「デジタル世界の民主主義をトークンエコノミーがどう変えるのか」を伊藤くんからお願いいたします。

伊藤さん:正直に言うと、PoliPoliのサービスのような政治家の方や行政の情報発信は行政がやるべきだと思っています。僕は「こういうサービスないのかな」と探したところ見当たらなかったので、スタートアップでつくろうと考えました。

総務省の方とお話する機会がよくありますが、3年間で一つのアプリを作って、そのレポート作成に逆に時間がかかってしまっているような状況です。ステークホルダーが多すぎて仕方ないことなので、僕らのような学生スタートアップがそこを担っていければと思っています。

皆さん高尚な議論とかするんですけど、僕はテクノロジーこそが政治も含めて根本から変えていけるものだと思います。

仁木さん:アイディアを実装することがすごいことですよね。「実際にものとしてつくって、市場に出してみる、そしてどういうレスポンスが返ってくるか試す」ということをどんどん始めていくべきですね。

PoliPoliは実際に選挙で使ったんでしたっけ?

伊藤さん:11月の市川市長選挙で実際に使いました。投票に行った人の1%弱の若者世代がサービスを利用してくれて、新聞にも取り上げていただきました。案外需要があるなと感じることができたので、ここから全国に広げていこうかなと活動中です。

仁木さん:PoliPoliでは、市民側も含めて一人ひとりの発言や活動が見える化されるということですよね。

学生さんの前で話をする時に、よく言われることがあるんです。「自分の選挙区の政治家さんの政策がすごくよかったので投票したらその政党が全然違うことしていてなんだこれは」となったと。それが見えてくるということですよね。

伊藤さん:そうですね。良い政治家さんが本当に評価される世の中になると思います。個人のエンパワーメントの時代になっていくと僕個人は思います。それをPoliPoliで実現していきたいです。

政治家さんの「過去の発言の一致率」とかをAIで出せるので、それを信頼スコアとして出せたら面白いなと思ったんですが、これはすごい議論になりそうだと思ったのでまだ進めていません(笑)


どんな意見も本当に楽しそうにシェアするパネラーの皆さん

仁木さん:面白いですね~。こういうのがワクワクしますよね。

原田さん、いまの話を聞いて現実性とかどう思いますか?

原田さん:上の世代に言うと怒られる話があるんですが、「時間をかけて投票に行ってもなにが変わるのかわからないので行きません」という若者がいるんです。ちょっとイラっとするけど、同時にその気持ちもわかる。

「投票に行くって大事だよね」って気持ちで行くのもありだけど、「民主主義を守る人をみんなで助けよう、ちゃんと社会としていいねと言おう」そういうイメージで伊藤さんの話を聞いていました。

憲法で言うと12条ですね。
「不断の努力の中で民主主義を守っていかないといけない」
これを気持ちだけでなく、実際の利益の部分なども合わせて守っていこうというのはすごく良いと思っていました。

日本では2013年にインターネット選挙運動が解禁されました。僕も解禁に関わる色んな活動をしていたんですが、結果どうなったかと言うと、選挙中に各政党あるいは各候補者のFacebookの投稿は増えました。

ただ、そのほとんどが活動報告だと僕は読んでます。
「○○の駅で立ってました。」
いやいや、なにを話したのか教えてくれよと(笑)やっぱりこの「立ってました」にいいねは押したくないんですよね。

「若者政策について話しました。その詳細はこちらです。」と一言載せてくれるだけで、僕たちは得る情報が一気に増えて、投票に行くことにも繋がってくるので、まさにトークンエコノミーで「ただ投稿すればいい」ではなくて「中身のあることを投稿してよ」ということがつくというのも、これまたすごいなと思っています。

仁木さん:12条を意識して憲法議論をするというのは結構重要ですよね。いつもその発言を聞くと「あ~そうだよな」と思います。


緊張感が解けつつ、さらに白熱していく議論

市ノ澤さん、いまの流れでいくとトークンエコノミーは確かに世の中を変えそうだな~という雰囲気は出たんですが、とは言っても現実問題の制度の面はどうでしょうか。

民主主義の制度というものがあって、その大きな岩盤もあるでしょう。そこってネット投票やいまの選挙制度を変えていくって両輪でやっていかないといけないと思うんです。

それが若者の熱意でトークンエコノミーが先に変わっていった場合、ネット投票はどういうスケジュールで変えていくべきなんですかね?

市ノ澤さん:選挙はたぶん一番規制が厳しくて、変わるのに一番時間がかかると思います。

だから、選挙以外のところで色んなトライアルをしたら良いと思っています。政策サンドボックスではないですが、「規制ありきのところでどう実現しようか」ではなくて「規制のないところでとにかく勝負していく」というのはありかなと思います。

例えばふるさと納税だと、自分たちと関係のない自治体に自分たちの想いをお金で払えるじゃないですか。トークンエコノミー的なものでも実際に応援したい自治体に、投票でも投げ銭でも良いんですが、そういったことができるようにしても全然良いと思います。

トークン化されると、例えば自分の地元の高知県の自治体に0.5票、いま住んでいる東京都港区に0.5票入れようとかってことも可能性はあるんです。選挙でやろうとするとすごく大変なので、例えば港区で決める今度の街づくりの優先順位を決めよう、政策コンテストをしましょう、ふるさと納税のお礼の品を考えましょうとか、そういったところから関係人口を増やしていくことで魅力的な街をつくる。かつ、トークンエコノミーを通じて自分たちが行政や街づくりにアクションしていく経験をしてもらうことがこの第一歩になるんじゃないかと思っています。

仁木さん:ありがとうございます。ネット投票とトークンエコノミーが両立する世界を早くつくっていきたいなと思います。

オブザーバーの細野先生、いろいろな意見が出てきましたが、なにか思うところございますでしょうか?

細野さん:原田さんの言った12条の話ね、有権者側の責任みたいな話って、なかなか政治側は言えないんですよね。それをどう具体的にするかと。例えばオーストラリアやニュージーランドでは罰金を取っているのでほぼ100%だけど、まあそれは日本には合わないだろうと。じゃ、どう責任を果たしたことに対して有権者にかえすのが良いのか、具体的なアイディアがあれば欲しいなと思いました。

市ノ澤さんがおっしゃった若者が投票権を奪われている住民票の問題は、とても大きいので本当に早く解決したいですね。その一方で、若い人が投票に行ったときにどのようなかえし方をすればみんな行くんだろうか。これもアイディアが聞きたいですね。

なんといっても会場は『マハラジャ』トークセッション中もBGMを流す フロアDJ

原田さん:一つ日本がこれまでやってこなかった若い人に対する責任の果たし方としては、教育をやってこなかった。2年前に選挙権年齢が18歳以上に引き下がったときに合わせてやっと、学校の中で主権者教育と呼ばれる政治・選挙に関する教育は始まったんです。

ここにいらっしゃるほとんどの世代の方は、政治・選挙から遠ざけられて、20歳になったら投票に来いと言われたんです。「そうだ、京都にいこう」と言われたら、京都は知ってるからいけるけど「そうだ、投票にいこう」と言われても難しいんですよね。

若い世代は「正解を求めに行く」し「間違いを恐れる」。
となると、情報がよくわからぬまま投票に行くことはしないんですよね。自分である程度納得をして投票に行きたいので、「う~ん、とりあえずあの人よく駅に立っているから投票に行こうかな」とはなかなかなりずらい。情報を発信してくださると若い世代の投票率も高まるんじゃないかなと思います。

果たし方としては、トークンのようなプラス要素を与えると同時に教育の中で、必要性あるいはそもそも参加の仕方やどうやったら情報を取れるのかをしっかり伝えていくことがやれることの一つだと思います。

細野さん:せっかくネットが解禁されたのに、それを有効に生かして手ごたえを持って、そして政治家としてブレイクしてる人ってあんまりいないので。次の段階に行かなければいけないなと思います。

中谷さん:私も毎日Facebookやりますけど「どうせ長い文章書いても読んでくれないから写真で~」とやってましたけど、やはり読んでくれているんですね。これからは真剣に文章を書いていきたいと思います(笑)

伊藤さんのPoliPoliは政治家の言動などを評価するということですが、やはり権威のある評価団体があれば良いですね。

例えば音楽だとオリコンとか。やはり一位はなんだろうと見ますよね。

そういう権威のある政治家ランキング表なんかがあればみんな一生懸命やりますよ。
評価方法の基準はあるんでしょうか?

伊藤さん:ゆくゆくはAIなどをいれてやりたいんですけど、現実的に、サービス内でしっかり活動した人にPolinが集まって、そのPolinの数でランキングをつけようかなと思っています。

仁木さん:権威性を持った人がなにかをやるんではなく、自然とそこに市場原理が働くというような感じですね。

では最後に、今後の行動宣言をお願いしたいと思います。
これは観客の皆さんも、今日なにか気づいたこと・感じたことがあれば、すぐになにかしらの行動に移すことをお願いしたいです。

市ノ澤さんからお願いします。

市ノ澤さん:年内にマイナンバーカードかつブロックチェーンを使って投票システムを作ってある場所で提供します。

原田さん:僕の強みは人と人であって、教育の現場やイベントで政治に関わる必要性などをいかに楽しく伝えるかというところです。伊藤さんのサービスのようなものを学校やいろんな場を通じて広げていくところも改めて頑張っていきたいです。

伊藤さん:もう来週なんですが、日本初なんじゃないかと思うんですけど、政治×ITのスタートアップとしてベンチャーキャピタルから資金調達を終えまして、そのプレスリリースをスタートアップ界隈に打ちます。新聞とかにも載ると思うので、ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです。

仁木さん:素晴らしいですね。このワクワク感がデジ憲ですよね、次につながる感じがしますよね。デジ憲3では、これやってどうだったかという話が聞けるはず!

ということで、1年間かけてこの国をさらにアップデートさせていきましょう!
今日からまた再スタートです。
ご登壇いただいた皆さん、オブザーバーのお二方、ありがとうございました。

☟他にも盛りだくさんなイベント全体の開催概要はこちら(主催団体公式サイト)☟

【開催報告】デジタル憲法フォーラム2(デジ憲2)


㈱PoliPoliのサービス内容や当日の素敵なダイジェストムービなども見れちゃいます!


政策 太郎
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