スティーブ・バノン前首席戦略官の政治生命は終わった


(2018年・1月6日発売プレジデント)

雑誌「プレジデント」の新年1発冊目にスティーブ・バノン前首席戦略官に関する取材記事及び論稿を掲載させて頂いた。詳細は同誌を読んで頂きたいわけですが、バノン氏とトランプ氏の関係は同一のスポンサーによる支援を受けていた元々金銭的な関係であり、両者の思想的に繋がっているという根拠は全く存在していません。

むしろ、両者の明暗は2017年ではっきりと分かれており、その政治的路線も異なるものになりつつあります。トランプ大統領は、その都度自らにとって都合が良い選択肢及び人材を採用し、就任1年目に保守的なアジェンダ設定をこなしつつ、12月にはレーガン大統領以来の歴史的な減税と失敗したオバマケア見直しのリカバリーを実現しました。一方、バノン氏は入国禁止の大統領令に始まり、政権内で様々な問題を引き起こし、そしてシャーロッツビルの事件の引責で辞任した上、年末の自らが主導した上院補欠選挙では敗北した。トランプ大統領にとっては素晴らしい1年、バノンにとっては散々な1年だったといえます。

おまけにバノン自身の発言を含む暴露本が出版されることになり、トランプ大統領とは仲違い状況となった上、トランプ大統領は「バノンはおかしくなった」「バノンの支持者は自分の支持基盤ではない」とも明言されてしまいました。つまり、政策遂行や選挙活動の役にも立たないバノン氏は用済みであり、トランプ大統領しか政治的後ろ盾を持たないバノン氏の政治的影響力は潰えたと考えて良いでしょう。

プレジデントの記事はバノン氏が12月に来日したときの記者会見で気が付いたこと(笑)も掲載されているので、気になる読者はプレジデント本誌も読んでみてください。なぜバノンがCNNなどをフェイクニュースとして叩くのか、その理由の一端が分かると思う。もちろん、筆者は左派系・リベラル系のメディアは日米ともに酷い有様だと思っているが、現場で感じた空気感から、それとは少し違う理由が分かると思います。

政局には昨年1年間で「バノン氏は終わった」と考えるべきであり、今後の米国政界においては主要なプレーヤーと看做す必要は無くなるでしょう。


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渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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