【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その7)


わしのポーズ。

サッカー、ワールドカップのスイス代表のシャキリとシャカの2選手がセルビア戦でそうしたポーズを自身のゴール後に行ったとして話題になっています。
そのポーズは、アルバニアの国旗に描かれている「双頭の鷲」を意味するものです。

【出典】アルバニア大使館より

アルバニア、コソボ、

この2人ともアルバニア系。シャキリはコソボ出身、シャカはコソボ出身の移民2世。アルバニアにルーツを持つこと、コソボ紛争については第4回で紹介しましたが、まさにそのバックグランドを持った人たちです。

復習しましょう。

1989年:アルバニア系住民とセルビア系住民の対立が深まる中,セルビアはコソボの自治権を大幅に縮小
1990年:アルバニア系住民が「コソボ共和国」の樹立とセルビアからの独立を宣言。セルビアは自治州議会及び政府の機能停止,直接統治へ。アルバニア系住民は武装組織「コソボ解放軍」(KLA)を組織化,武力闘争開始。
1999年2月:フランスのランブイエにて国際社会の仲介で和平交渉が開始、しかし、セルビアがNATO軍のコソボ展開を受け入れず決裂。同年3月末,NATOは,コソボにおける人道的危機が深まったとしてコソボを含むセルビア全域の軍事目標及び経済インフラに対し空爆による攻撃。これに対し,セルビアがKLA掃討作戦を強化し,数十万のアルバニア系住民がコソボから流出し難民化。

これがコソボ紛争の概略です。難民の数の規模といい、実際の凄惨さなどは言葉では言い表せない、想像もつかないですね、、、、

サッカーと政治

過去にも、セルビア対アルバニアの試合で乱闘騒ぎがおきて没収試合になったり、旧ユーゴ系の試合は荒れることが多いものです。サッカーをきっかけに戦争になったことすらあります。1969年7月、エルサルバドルとホンジュラスとの間で行われた戦争です。

内戦、隣国との緊張関係などがサッカーに影響することは仕方ないことで、そのため国際サッカー連盟(FIFA)は政治介入を認めていません。

他方、サッカーは国威発揚の場面でもあるのが事実です。それは良い悪いにもかわらず。

今回もしハリルホジッチさんが就任したままで、セルビアやクロアチアと対戦することになったら色々あったかと思います。

日本の中でも考えてみてください。祖父母が原爆にあったとか、沖縄戦にあったとか、東京大空襲(死者11万人)にあったとかで人生を狂わされた人は多かったわけで、その影響を受けて小さいころに苦しかった、親を失った、弟を失った、自身が怪我を負った、家が焼けた・・・・という経験がある人にとっては、戦争や敵国を許せないと思うのは仕方ないことでしょう。多くをなくした人がそういった感情になるのは人間的な振る舞いです。

話を戻して、政治介入を認めないことはルールとして正しいですが、人々の感情が反映されがちなので、なかなか徹底できない面もあるということです。

スポーツに政治を持ち込むというより、正確に言えば、政治的な行為が自然的に持ち込まれてしまうという表現のほうが正確でしょう。

だからそうした感情に蓋をしないと大変なことになりますし、政治的な行為を規制するわけです。

最新の動向

政治的ゴールパフォーマンスは処分の可能性が取りざたされています。もちろん、選手はそのことを覚悟していたでしょう。

どうしても表現したいわけで、表現の自由的には認めてあげたいことです。しかし、スポーツは戦争の場でも、国威発揚の場でもないので、スポーツマンとしてはルールを守ってもらいたいものです。

とはいえ、政治がサッカーに影響を及ぼす例はまだ至る国で見られます。敗北したら強制労働させられる国も、人事に介入する国もまだ世界的にはあります。
最後に、元日本代表監督のオシムさんの言葉を紹介して終えたいと思います。

サッカーは戦争ではない。政治がスポーツに悪影響を及ぼさないことを、強く願う

ワールドカップ特別企画

第1回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その1)」
第2回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その2)」
第3回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その3)」
第4回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その4)」
第5回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その5)」
第6回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その6)」
第7回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その7)」
第8回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その8)」
第9回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その9)」
第10回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その10)」
第11回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その11)」
第12回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その12)」
第13回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その13)」
第14回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その14)」
第15回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その15)」
第16回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その16)」
第17回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その17)」
第18回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その18)」
第19回 「【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その19)」


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、事業創造大学院大学 国際公共政策研究所 研究員・ディレクター、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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