地方創生予算よりも自動車税・ガソリン税の1兆円減税を


内閣府は、平成30年度地方創生関連予算等として、1兆7,844億円の予算を計上しています。地方創生とは、東京への一極集中を是正し、地方への定住促進のための政策を補助するものです。
しかし、現実には東京への一極集中は確実に進んでいます。大都市への人口流出は製造業からサービス業へ産業構造の変化という歴史的転換の中での現象であり、政治の力で押しとどめようとしても限界があります。
製造業は大規模な設備と用地が必要になるので、地価の安い地方に拠点を設け、多くの労働者を雇用します。一方、サービス業は人口が集中している都市そのものが顧客であり、当然都市に向かって産業が集中していくことになります。
全世界的に製造業のグローバル化が進展する中、国内の製造業の流出はある程度はやむを得ない現象であり、全体としてサービス業社会へ向かっていくことには抗えません。こうした変化の中、都市に産業と人口が集中していくのは自然の流れであり、どんなに素晴らしい試みでも、行政が補助金を使って社会変動に抗おうとする政策の対費用効果は限定的と言わざるを得ません。

では、地方の衰退をどうすれば食い止められるでしょうか。
先述の通り、補助金や税制は、行政の意図に関わらず、実際の経済活動の流れに対する障害物のような性質をもちます。では、地方への定住促進に障害となっている税金を軽減することが、衰退を食い止める有効な政策となりえるのではないでしょうか。
そこで筆者が提案したいのが、自動車税、ガソリン税(揮発油税)減税です。
地方を生活面から考えると、行政・商業サービスへのアクセスが悪くなる反面、生活費特に居住費を下げることが可能になります。つまり不便にはなるが、生活費を安くすることができるというのが地方移住のメリットであるはずです。
しかし、そのメリットを阻んでいるのが自家用車の保有・利用コストです。地方生活者にとって、生活を維持するために自家用車は必需品であり、保有台数、使用頻度も増える分、自動車購入費やガソリン代は家計の中で大きなウエイトを占めています。
この負担を減税で軽減することで地方移住のメリットをさらに引き出すことができます。

かつて自動車税、自動車重量税、揮発油税は道路特定財源とされて交通インフラの整備に使われたので、インフラのユーザーである自動車保有者が負担すべきといった説明がされてきました。特定財源は廃止されましたが、自動車保有者のみ多くの税を負担している構造となっており、減税を訴えるのは十分合理性があります。

自動車税や揮発油税は地方税として大事な財源となっているため、行政は自分たちの財源を切り崩す政策を自ら提案することはできません。行政が用意できる地方創生案は、性質上、予算や補助金を消化することによって行われる政策になりがちです。もちろん行政も地方創生の担い手の一つではありますが、その発想にとらわれる必要はありません。真の主人公は住民であり、街の魅力をどうやって活かしていくのか、自分たちで考え実行していくことが必要になっていくでしょう。

【出典】2016年国土交通省調べ


保坂康平
保坂康平


早稲田大学社会科学部社会科学科卒業。在学中から地方議員へのインターンシップや選挙ボランティア、自治体からの委託業務に携わり、地方行政の現場を経験。卒業後はシークス株式会社(一部上場大手EMS商社)に入社。グローバルに展開されていく最先端のビジネスに携わる。一児の父、共働き家庭として、会社員生活の中で改めて感じた地方行政と市民との意識のずれを問題意識に提言を続けている。

保坂康平の記事一覧