<後編>新春対談・福田峰之・内閣府元副大臣×喜多埜裕明・元ヤフーCOO


<福田峰之・元内閣府副大臣>

<前編から>

福田
役所が分からないことをやる場合、政治家はリスクが取れますからね。当然うまくいかないこともあるわけだけども、役所の人は大変なことになるし、個人の出世も止まっちゃうわけだし。ハイリスクなことを実行していくのは政治家です。

喜多埜
うまくいくのが見えてくると役所は後からついてくるイメージですね。

福田
一度法律が出来上がった後に役所からの依頼を受けて内容を修正することもありますね。サイバーセキュリティ基本法施行後、国の監視・監督・調査の対象範囲を拡大してほしいという話が来ましたね。だから、昔も今も企業と政治家が引っ張ってきている状況もありますね。最近だと役所が大分議論についてこれるようになってきましたね。そうすると、役所は縄張り合戦を始めるんですよ、うちに予算よこせって感じで。同じような事業を複数の役所がバラバラにやるのは良くないですよね(笑)

喜多埜
政府の電子書籍に関する委員をやっていたときもそうでしたね。総務省、経産省、文科省の3省が並んでいましたね。これは相当珍しいことらしいですね。電子書籍も段々出てくるようになると・・・

福田
訳が分からないときは皆関わりたくないから逃げるんですよ。ビットコインも時もそうでした。「うちは関係ありません」「それはお金っぽいから金融庁じゃないですか」「いや、これはモノだから経産省じゃないですか」「これは通信だから総務省じゃないですか」って感じで。だから、自民党でガイドライン作ってまず事業者にやらせてみて、次に法で定めることにしたんですよ。そのうち、ビットコインの最初の頃の話もぜひこの連載の特集でやりたいですね。ところで、喜多埜さんは企業のガバナンスにも色々な形で影響を与えることをされましたよね。

喜多埜
ヤフーは上場するときにはあまり有名ではなくて「ヤッホーさんですか」って電話がかかってきてたんですよ。とにかく話題を作ろうと思って、日本に上場時のリスク情報をしっかり書く文化は無かった中でリスクを大量に書いて出してみたりとか、四半期決算をやる企業がほぼ存在しない中でアナリストの人たちを呼んで説明会をやったりとか。ね。最初に大量の個人情報漏れを起こしたときに補償の相場を決めたりとか・・・。それにあらゆるサービスを出すにしても、一応原価計算をやるんですが、最初はエイヤで決めることが大きいですね。

福田
プロセス期では多少乱暴かもしれないけれども、「グレーならやってみよう」っていうのが無いと新しいビジネスなんて起きないですよね。最初の段階であまり役所が関与せずに、政治と企業で進めたことがIT政策にとっては大事なことだったのかもしれない。その意味で現在のブロックチェーンは第二のITだと思っていて、まさに移行期の段階にありますね。

<喜多埜裕明元ヤフー株式会社COO>

喜多埜
世の中ではブロックチェーンは仮想通貨やビットコインを知っている人がまだ一握りですよね。

福田
知っているとすると、金融商品として有名になってしまっているわけですが、ブロックチェーンにとって仮想通貨はその一部でしかなくて、本質を見ることができない状況になってしまっているのは残念ですよね。たとえば、ブロックチェーンが普及するとデータベースの価格自体が安くなります。現在、爆発的に増えている公共投資はシステム投資であり、現在その値段の適正さが分かる政治家がほとんどいない状況です。こういうのも変わっていくでしょうね。インターネットは既に水のようなものになっていて、その上に第二・第三のインフラが出来つつあるということですね
ITが行き着く先はどうなってしまうのでしょうか。

喜多埜
とにかく便利になるでしょうねぇ。これからも想像もしなかったことがいっぱい起こりますよ。だって、みんながバラバラのところで「もしもし」ってやっているなんて想像つかなかったじゃないですか。でもそれが当たり前になっている。それに、今では話しかける対象が人だけでなくて家電にもなってきているよね、「暖房つけといて」みたいに。IOTは進んでいきます。5年後や10年後、ソファに座る時に何にも言わなくてもお尻の形や温度を合わせてくれるようになったりしますよ。ソファだけじゃなく全てのものがね。

福田
IT無しで生活できなくなっているからこそ、だからこそ最後は人とのコミュニケーションが大事になってくると思うんですよ。生活が便利になればなるほど、時間をヒューマンなところに使うようになってくる。

喜多埜
だから、LINEなどでも、あるところまで話したら、誤解が生まれないように直接会って話そうってなったりするんですよ。

福田
人間が想像するものは全て現実になるわけですよね。だから、コンピュータに仕事を奪われるんじゃなくて、役所であれば窓口業務はコンピュータに任せられるところは任せて、児童虐待対策等の本来、人がやらなくてはいけないことを徹底的に人間がやっていくことが重要ですね。

喜多埜
一方、シンギュラリティ、2045年には人工知能が人類の知能を上回ると思います。その時に人々がどうなっているか、法律がどうコントロールしているかは重要になると思います。

福田
先日、ネットフリックスで改めて「攻殻機動隊」を見ていたんですけれども、日本の未来を想像できますね。社会を動かすのはシステムそのものなんだと。

喜多埜
ロボットに反逆されないように法律は作っておいた方がいいですね(笑)倫理の問題も問題になってくるでしょうね。

福田
人間とは何かというのも今後のテーマになりますよね。昔みたいに政治家、宗教家、思想家、医者が一緒になっている世界に帰っていくかもしれないね。政治家と思想家が分裂してしまうと社会のあり方に対する調整ができなくなってしまうかもしれないから。IT社会の行き着く先はアナログを大切にする社会で、心、精神、家族を尊重するんです。

<前編に戻る>


福田峰之
福田峰之

前衆議院議員
1964年生まれ、目黒サレジオ幼稚園、東京学芸大学附属世田谷小・中学校、神奈川県立白山高校、立教大学社会学部卒業。衆議院議員秘書、横浜市会議員(2期)、衆議院議員(3期)。内閣府大臣補佐官、内閣府副大臣を歴任。多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授。2017年「希望の党」から東京5区(目黒区・世田谷区、一部除く)で立候補するが落選。

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