「肥満税」?そんな名前の税金があるの?どんな税金?


【出典】フリー素材ぱくたそ

「税金」と聞くと、どんな種類の税金を思い浮かべますか?事業や投資をしている方は、所得税や法人税を思い浮かべるでしょうか?サラリーマンの方が思い浮かべるのは、消費税でしょうか?車を持っている方は、自動車税などが思い浮かぶのかもしれませんね。

昔、いくつかの地方自治体で課していた税に、「犬税」というのがありました。犬の飼い主に、飼っている犬1頭あたりいくら、という税率で、税を課していたようです。それを思い出して「犬税」で検索してみたら、ドイツをはじめ、いくつかの国では今も犬税があるようです。
最近知って「へー、こんなのがあるんだ」と思った税がありました。それは、「肥満税」。といっても、日本の中で、あるいは日本の自治体で課される税ではありません。「肥満税」は、メキシコで課されている税です。どういう理由で、何を対象にしている税なのでしょうか?

「肥満税」の仕組み

「肥満税」という名前から、体重などから計算される一定の数値が基準値を超えたら、その超えている値に税率をかけて計算される税金を払うのか、と思いきや、そうではありませんでした。
メキシコには、生産サービス特別税(IEPS)という税があります。特定の財の販売や関連するサービスを行う法人・個人に対して課される間接税、個別物品税です。酒、たばこ、ガソリン・ディーゼル燃料などを対象とした税で、近年では、電話・通信サービス、栄養ドリンク、その他の化石燃料、殺虫剤などが対象に加えられています。2014年から、高カロリー食品がこの税の対象に加えられました。これを「肥満税」と呼んでいるようです。

この税の対象となるのは、特定の非基礎食品のうち、100gあたり275キロカロリー以上の食品です。この基準を超える食品が高カロリー食品とされ、これに対して8%の税率で課税されます。
特定の非基礎食品の例としては、スナック類、菓子類、チョコレート、プディング、ドルセデレチェ(液体キャラメル)、アイスクリーム等が挙げられています。
また、肥満税と時期を同じくして、いわゆる「ジュース税」、砂糖入りの飲料に対しても、1リットルあたり1ペソ(約6円)の税が課されています。

「肥満税」「ジュース税」が導入された理由やその効果は

メキシコでこのような税が導入されたのは、文字どおり「肥満対策」。メキシコは、世界でも1、2位を争うほどの肥満大国なのだそうです。2013年に公表されたOECDの統計によると、メキシコは2012年の15歳以上の国民に占めるBMI値30以上の肥満者の割合が32.4%で、OECD加盟国中、アメリカに次ぐ2位となっているようです。
これらの税を導入した結果、ジュース等の消費が実際に落ち込んで、課税の効果があったとする研究結果が出ている、という報道もあったようです。しかし、2017年に公表されたOECDの統計では、2016年の15歳以上の肥満率は、33.3%とむしろ微増しており、OECD加盟国中の順位も、変わらずアメリカに次ぐ2位となっているようです。
税の種類によっては、その導入と効果がなかなか測りにくいものもありますが、これもそのひとつかもしれません。

この情報の出どころは?

メキシコにこんな税があることは、財務省が発行している「税制メールマガジン」に書かれていた「肥満税」に関する記述を見て、知りました。6月28日に発行された第108号に掲載されており(まだウェブサイトにはアップされていません)、財務省の若手の方、アジア太平洋地域の国々の税の制度の調査を担当している方が書かれたようです。
税制メールマガジンは、発行の頻度はそんなに高くないようですが、税に興味をお持ちの方は、読んでみるのもよいかもしれません。もちろん料金はかかりません。
税制メールマガジン以外にも、財務省のホームページでは、税制に関する広報として、「もっと知りたい税のこと」というパンフレットを掲載したり、「身近な税」としてQ&A形式による税の解説をしています。

新たな税の仕組みを考えるときに

地方創生、地方の活性化が言われて久しい昨今。そのためには、各地方自治体で異なる特色を利用して、それぞれの自治体にふさわしい税の仕組みを考えることも必要になってくるでしょう。このthe urban folksの記事などでも、地方自治体による自主財源、独自の財源を考えるべし、との論調が垣間見えます。
地方自治体で税金を課すときにはどういう制度がいいのか。これを考えるときには、世の中にはどんな種類の税があるのか、あったのかを知るために、過去を遡ってみたり、他の国の制度を見てみたりするのもいいかもしれません。


平山 哲二


仮想通貨マニア。三度の飯よりも仮想通貨を考えることが好き。10年ほど前から金融商品や海外投資に興味を持ち、リサーチしていたところ、3年前にビットコインに出会う。それ以来、ビットコインやその他の仮想通貨に強く興味を持ち、税務などの観点から仮想通貨を研究している。

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