【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その9)


「おそロシア」・・・ロシアが無敵艦隊スペインを破る
「新スター誕生」・・・メッシ率いるアルゼンチンを若きムバッペを中心とするフランスが轟沈

熱戦が続くサッカー、ワールドカップ。
決勝トーナメント進出した日本代表、ついにベルギーとの試合を迎える。

とはいえ、ベルギー代表を見て、ベルギー人のイメージちゃうわと思うことが多いと思う。多様な民族構成なのだが、それは移民国家であることが理由だ。

これまで、アザールさん、ヤヌザイさん、フェライニさんなどのルーツをここでも探ってきた(【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その4)

今回は、ベルギーの移民問題を考えたい。

外国にルーツを持つ人が多いベルギー代表

今回のベルギー代表メンバーは以下の通り。

【GK】
13 コーエン・カスティールス(ボルフスブルク)
1 ティボー・クルトワ(チェルシー)
12 シモン・ミニョレ(リバプール)

【DF】
2 トビー・アルデルワイレルト(トッテナム)
3 トマス・ベルメーレン(バルセロナ)
5 ヤン・フェルトンヘン(トッテナム)
4 ビンセント・コンパニ(マンチェスター・C):コンゴ系

【出典】コンパ二―、筆者撮影

15 トーマス・ムニエ(パリSG)
20 デドリック・ボヤタ(セルティック):コンゴ系
23 レアンデル・デンドンケル(アンデルレヒト)

【MF】
6 アクセル・ビツェル(天津権健):父がフランス領マルティニーク(西インド諸島)

【出典】ビツェルさん、筆者撮影

7 ケビン・デ・ブルイネ(マンチェスター・C)
8 マルアン・フェライニ(マンチェスター・U):モロッコ系
11 ヤニック・フェレイラ・カラスコ(大連一方):スペイン・ポルトガルにルーツ
16 トルガン・アザール(ボルシアMG):アルジェリア系
17 ユーリ・ティーレマンス(モナコ):コンゴ系
19 ムサ・デンベレ(トッテナム):マリ系
22 ナセル・シャドリ(WBA):モロッコ系

【FW】
9 ロメル・ルカク(マンチェスター・U):コンゴ系

ルカクさん、【出典】筆者撮影

10 エデン・アザール(チェルシー):アルジェリア系
14 ドリース・メルテンス(ナポリ)
18 アドナン・ヤヌザイ(ソシエダ):コソボ
21 ミヒー・バチュアイ(ドルトムント):コンゴ系

【注意】
アザールさん、デブライネさん、メルテンスさんをもっと知りたい人はこちら

これだけ、外国にルーツを持っている選手がいるのである。
まさに「ダーバーシティ」。

おさらい

ベルギーの歴史は近代に限定すると以下のようになる。

【ベルギーの歴史】
・1830年にオランダから独立
・第2次世界大戦以前、南部のワロンが工業地帯として栄え、この経済力を背景に、当時の憲法はフランス語だけで書かれるなど、人口で40パーセント前後のワロン人が事実上ベルギーを支配
・アントワープなど港湾都市を抱える北部のフランドルが英米系企業の投資で発展
・経済面での逆転を背景に地域間の対立が激化
・1993年:ベルギーは連邦制を導入、各州の自治権を大幅に高める(それぞれ一定の政治的、経済的自治を認めることによって民族共存の途を探った)
・2010年の総選挙で北部の分離独立を訴える「新フランドル同盟」(N-VA)が第一党に躍進、連立ができない事態が1年半、他の六党による連立政権(首班はワロン社会党のエリオ・ディ・ルポ)が成立
【出典】【特別企画】UrbanFolks流、サッカーワールドカップ観戦ガイド(その4)

さらに、植民地として、コンゴ、ルワンダ、天津租界を支配していた。王様の私領であったり、植民地支配といえない委任統治領のケースもあったが、ゴム輸出やウラン鉱石の販売で収益をあげた。

こうした歴史のため、外国にルーツのある移民が必然的に多くなる。しかも、移民に寛容な国として知られ、自由放任が原則で、同化政策を取らないのだ。

相互理解のためのバディ制度

しかし、自由放任をしていると問題も発生する。第4回で触れたように、ブリュッセル郊外のモレンベーク地区(モロッコ系やトルコ系移民の大きなイスラムコミュニティー)は、パリ同時テロの実行犯グループが潜んでいて、「過激派の温床」とまで言われ、いろんな問題が山積。

こうした中、素晴らしい制度が地域から取組が行われている。それが「バディ制度」。メヘレンという町で実施され、話題を呼んでいる。バディは「相棒」を意味し、移民と住民がペアになって仲良く交流するという取り組みだ。気の合う相手をマッチングし、料理をしたり、スポーツをしたり、お互いが一緒に暮らす中で、お互いの違いを認識し、理解を深めていく。最初に偏見を持っていても、そのうち理解が進み、仲間という意識が芽生えてくるという仕掛け。

移民と折り合うための工夫としては素晴らしい。日本だとまあできないよね、地域のチカラは凄いなあと思う。

こうした取組みが功を奏したのか、かってのフランス代表のように(イスラム教徒の選手が着替え室で祈祷用絨毯を敷くこと、ハラールの食べ物などの要求を原因とした)チーム内での不協和音は聞こえてこない。

だからこそ難敵である。

さあ、ベスト8にいけるのか?

今夜、決勝トーナメント1回戦で、ベルギー代表と日本代表が対戦する。

ベルギー代表が喜ぶのか?
それとも日本中が大騒ぎになるのか?

個人的には、香川真司さんと乾貴士さんが活躍し、大島僚太選手も出場し、最終的には長岡京市が生んだスター☆宇佐美貴史さんが世界に大々的にデビューして欲しいものであるが。

答えはもうすぐ出る。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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