【都民ファーストの会の都議会議員が語るシリーズ・第3回】栗下善行さん


都民ファーストの会の議員さんというと、率直に言って「都議選でせっかく投票したのに、今は何をしているんだろう」という印象をお持ちの方も多いと思います。

そこで、「都民ファーストの会都議会議員が語るシリーズ・第3回」では、都民ファーストのオタク議員と噂される栗下善行議員に「都民からは見えづらい議会活動」について編集部がお伺いしました。

Q.多くの都民ファーストの会の議員さんと異なり、既に都議会議員としての議会歴をお持ちですね。栗下さんから見て現在の都民ファーストの会はどのように見えますか?

都議会ではこれまで殆ど無かった議員提案条例を成立させたり、委員会質疑のネット配信を進めたり、既に形になってきている改革もありますが、都ファが他の政党と違うのは、それらを進めながらこの間も大きく成長しているということです。メンバーには民間企業の第一線で働かれた方々も多いのですが、そのポテンシャルを議会ルールの下で最大限に活かすには一定の時間も必要だと思います。

我々が提出した「子どもを受動喫煙から守る条例」は、数年前に成立した省エネ条例を除けば、約30年ぶりの議員提案条例として成立しました。これまで議員が条例を作ってこなかった都議会の常識を変えた大きな出来事でした。このように私たちの大きな使命は議会の在り方そのものを変えていくことですが、一方でこれまでの議会のあり方をよく知らない限りは、それらもなかなか前に進んでいきません。理想と現実の間にあるギャップの核心にはどういった過去の経緯があったのか、自分の経験もメンバーに共有しながら前進していければと。

Q.栗下さんは大学から海外留学というご経歴をお持ちですね。そこから、政治家を志された理由をお教えください。

実家が100年近く続くタオルの卸売なのですが、ゆくゆくは海外展開などもできたらという思いが有り、大学はアメリカのテネシー大学で国際経営学を勉強しました。
卒業後は米国のソフトウェア会社日本法人で営業を担当することに。
3年務めたときに、2009年政権交代前夜の都議会議員選挙に挑戦しました。
私の子どもの頃にから続いてきた日本の閉塞感「失われた○○年」に終止符を打つ大きなチャンスだという思いで会社も辞めましたが、今思えば大分無茶しましたね。

Q.経済・港湾委員会に所属されてコンテンツ産業に関する質問について力を入れておられますね。一部にはオタク議員なんじゃないかと言われるほどに(笑)それはなぜでしょうか。

私のかつての秘書で今は区議会議員の荻野稔さんというのがいるのですが、彼の力の入れ具合からするとまだまだだと思いますね(笑)
東京都の産業振興は経済港湾委員会の重要なテーマで、世界的な競争力も有るコンテンツ産業の活用には非常に注目しています。それもあるけど個人的にもマンガが好きで。もう10年近く前になりますがマンガの入った都議会レポートをつくったのは、たぶん自分が最初じゃないかな。

サブカル、アニメ・マンガのポテンシャルを引き出していくために何ができるか、東京都は既に様々な取り組み進めていますが、ダイナミズムにはやや欠けてきたのではないかというのが正直な実感です。行政目線の企画に、いわゆるオタクの方々が注目し熱狂してくれたことがこれまであっただろうかと。行政施策の原資は基本的に税金ですから、真面目な、無難なものになっていく傾向があります。それ全体がまちがっているというつもりは無いけれど、このジャンルにはあまりなじまないのではないかと。カタにはめようとしても経済に寄与するような大きな効果を出すのは中々難しいと思いますね。

Q.では、具体的にはどのようなことに力を入れて取り組んでいくべきだと思いますか?

この間も都議会で取り上げたのですが、アニメ「君の名は」のヒットで岐阜県飛騨市への観光客は例年の10%以上伸びたとのことでした。特に舞台になった図書館の入館者数が大変なことになっていたそうで。東京都が舞台になっているヒット作品も沢山あると思うのですが、そういった場所が人を新たに呼び込むようにサポートするとか。
「聖地巡礼」と呼ばれていますが、これまでよりもう一歩踏み込んで新しい聖地と人の流れをつくりだしていきたいですね。できれば大田区内に(笑)
大切なのは行政の押し付けではなくて、盛り上げに徹するということだと思いますね。

Q オリンピック開催に伴うビックサイト問題もご関心をお持ちですね

そもそも日本全体で見ても、展示会場のキャパは他の先進国と比較して圧倒的に不足していると思いますが、大会の準備期間も含めて、国内最大の展示会場であるビッグサイトの利用可能な面積が大幅に減ってしまうというのは、日本の国際競争力にも影響を及ぼしかねません。出来る限りビッグサイトの会場を効率的に使えるよう利用日程の調整等の努力を行ってきているのですが、19年は例年に比べどれくらいの歩留まりになるのか、もうすぐ数値が出てくると思います。
また青海に建設中の仮設展示場についても、より利用者にとって使いやすいものになるよう都議会でも提案しています。開場前の人がたまるスペースは屋外になる予定なのですが、夏の暑さ対策、冬の寒さ対策、資材搬入のトラックが滞りなく巡回できるための配慮、コミケなどビッグサイト全体を利用する大きなイベントの時は会場間の移動にシャトルバスの整備すべきなど、既に提案していますが、引き続き利用者の方からも具体的な要望を聞き取り、可能な限り実現に結び付けていきたいと思います。

将来的には、新しい展示会場も増やしていくことができたらいいですね。
個人的には羽田空港跡地なんていいと思うのですが、実現性が高まるようにMICE施設とは切っても切れない交通網の整備とか、1年や2年で叶うものではありませんが、未来のビジョンに向けて複合的に政策を進めていくことも重要だと思います

*取材:The Urban Folks事務局


栗下善行
栗下善行

東京都議会議員(大田区選出)
1983年3月9日生まれ。東京神田出身。35歳。青山学院高等部・米テネシー大卒業後、日本オラクル(株)で法人営業担当。09年都議会初当選。17年都議会議員二期目当選

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