AI詐欺に気をつけろ!うっかり騙されないための3箇条


AI(人口知能)という言葉がすっかり一般化され、ビジネスの中でも様々な形で利用されるようになりました。私自身もITエンジニアとして学ばなければならないと思い、ジャンケンの次の手や株価の動向を予測させるなど、勉強しながら試行錯誤を繰り返しています。

どれも今のところ思うような結果が出せてはいませんが、少しずつ改良を続けているとまるでペットを育てているかのようで段々と愛着が湧いてきます。

それはさておき、先日カフェで仕事をしていると、隣に座っていた中小企業の社長らしき男性がIT企業の営業マン(らしき人)にAIの導入を持ちかけられていました……。

怪しい営業の甘い罠

「とりあえず、AIを導入すれば業績も上がります!」

良くないとわかっていても意識を切り替えられず、小声で話している2人の会話が気になって仕方がありませんでした。

パンフレット等の資料もなく口頭だけでAIシステムの利点を話し続ける営業マン。ところどころ聞こえてくる説明によると社内システムと連動させることで業務効率が上がり人件費も抑えられるようです。

しかし、必死に訴えかける営業トークに社長は最後まで首を縦に振らず、最後には営業マンは諦め、捨て台詞を残して去っていきました。

明らかに胡散臭い話だったのですが、ITの動向に疎い経営者であればうっかり騙されてしまうかもしれません。

このような詐欺話に乗ってしまわないように「AI詐欺に遭わないための3箇条」を作ってみました。皆さんもこれを読んで怪しい話は気をつけてください!

AIを連呼する人は「AIを知らない人」

やたらとAIというキーワードを唱える営業マンに対し、話についていけず戸惑う社長の姿。

無理もありません。AIという言葉の意味は幅広く、映画に登場する殺人マシーンを動かすのも、自動運転も、牛丼の写真を見て吉野家か松屋かを判定するものまでもAIと呼ぶことができます。ビジネスに応用できる範囲に限っても、カスタマーサービスの自動応対から経営者の意思決定支援まで挙げていくときりがないのです。

昨今では機械学習と呼ばれる、人間では処理できない程の大量のデータをコンピューターに読み込ませ自律的に答えを見つけ出す手法によるが実用化され普及していますが、AIに何をさせるかによっても手法が異なります。

ただAIという言葉だけを頼り売りつけようとする行為は、車のセールスマンに例えると車種も性能も伝えずにとにかく新車を買ってくれと言っているようなものです。そんな営業とは契約しないようにしましょう。

「とりあえず導入」は地獄への第一歩

冒頭でお話した通り、私もAIの知識を学んでいる最中です。AIのプログラミングには多少の知識が必要となりますが、仕組み自体はある程度テンプレート化されてきており、導入するだけであればそれほど大きな負担ではないのです。

ですが、AIを正しく活用するためには重要な要素があります。それは「データ」です。

AIを育てるには餌が必要になります。AIが食べるのはデータです。商品管理であればその種類、仕入れ値、売れた個数や値段などの情報、製品であれば製造に必要な部品の調達コスト、製造工程、輸送費など、ビジネスに関わるありとあらゆる情報をデータとしてAIに与えなくてはなりません。

栄養があって美味しい餌であればたくさん食べて健康に育ってくれますが、そうでなければ性格の曲がったAIになってしまう場合もあります。粗食や過食にならないようにする気配りも必要になります。生き物と同じようにAIを育てるのは大変です。

もう1つ忘れては行けないのが運用コストです。AIは導入してから学習を繰り返して導き出す答えの精度を挙げていきます。利用し続ける限り費用もかかり続けます。安易な考えで導入すると、期待するほどの効果を上げられないまま、維持費ばかりがかさんでしまう可能性があります。

そのようなリスクを説明せず、とりあえず導入してみませんか?などという言葉は、先ほどのように車のセールスマンに例えると、土日にドライブする程度なのかレースに出場するのかを確認もせずに、とりあえずSUVを買え!と言っているようなものです。せめて用途くらいは考えましょう。

AI導入は手段であり「目的ではない」

会社に対して投資しようとしたとき、その目的は何でしょうか。第一にビジネスの拡大ではないでしょうか。AIが必要かどうかは二の次です。まずはそこから考えてみましょう。

上記でも述べたとおり、AI導入のためにはデータが必要になります。AI活用を見据えて検討すれば、業務のデジタル化や業務の改善など、先にやるべきことが見えてくるかもしれません。AIの成長には時間が必要になるので可能な限り早く導入するのが得策ではありますが、クリアすべき課題や目的を具体化した方がよりAIの力を有効に利用できます。

未来の姿はともかく、現在のAIはビジネスを支えてくれる補助役にすぎません。会社の業績を上げ、更に大きな目的を達成するための責任は、あなたが背負っているのです。

車の自動運転技術は進んでいますが、企業の自動運転は危険です。きちんとハンドルを握って操縦しましょう。

2045年には人類の知能を超えるとも言われているAIの能力ですが、まだまだ人間の支援も一苦労のレベルです。未知の言葉に惑わされて盲信せず、あくまでも人を助けるための手段であることを覚えておきましょう。


林 克彦
林 克彦


ITエンジニア・コンサルタント、NPO研究員(専門:社会文化)。大企業からの独立後、フリーランスとして活動を始め、大規模システム開発などITエンジニア・コンサルタントとして活動している。その傍ら、映画産業のための支援活動を手掛けている。

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