<東京大改革の今:第13回>果たして水害から東京を守れるのか?


【出典】広島市、S撮影

西日本豪雨を見て、東京都民はどう考えるか。今回は東京都の豪雨に対する防災を考えてみたい。

私事ですが最近サッカーライターですか?と聞かれることが多くなったが(笑)、ワールドカップも終わったことだし、政策や統計の専門家として書いていこうと思う。

東京は大丈夫か?防災史

東京の「山の手」は1万年以前にできた古い年代の地質で固められていて、「下町」は6000年前までは海で河川によって運ばれてきた土砂がゆるく堆積した地域である。

江戸時代、東北の豊かな産物を江戸に安全に運ぶために利根川を東遷させた。つまり、銚子に抜けるのはその結果ということ。洪水になれば昔の河路に従って流れるため、江戸時代は記録に残るだけでも大きな水害に見舞われた。

明治43年の東京大水害を契機に、荒川放水路の掘削事業が行われ、荒川放水路をつくった。それまでは千住大橋までが荒川、それ以南が隅田川だったが、その後、荒川放水路が荒川に、岩淵水門より分流するのが隅田川になった。

その後、地下水の利用による地盤沈下が進んだ。

まとめると、明治時代以前の防災は「危ないところは避けること」を目標にして、一度災害にあった場所には二度と住まないルールがあったが、経済成長でそうもいっていられなくなり、都市化が進んで建物が立て込んでしまい、堤防の断面の土地を確保できなかった。そのため、荒川放水路の堤防は、理想的な堤防の形よりも幅が狭く切り立った。いわゆる「カミソリ護岸」になってしまった。

その結果、再保険大手スイスリーの「自然災害リスクの高い都市ランキング」で東京・横浜が世界一位になったくらい、東京は水害に弱い構造である。

シミュレーション

中央防災会議の荒川右岸低地氾濫による被害想定結果では、荒川放水路の右岸21キロ地点(北区志茂地先)、堤防が午前0時に決壊した場合、以下のような被害が想定されている。

【出典】中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会報告」

荒川右岸低地氾濫の場合、

浸水世帯数約51万世帯、死者約2,000人

というシミュレーション結果である。

さらに、荒川放水路は、堤防は都心部側を守るため右岸堤防は高く、かつ厚く建設されている、左岸堤防は低く、薄くつくられた。つまり、江戸川区は被害を受けることになるということだ。

筆者が国土交通省、ハザードマップポータルサイトから作成した以下の図を見れば、その恐ろしさが理解できるはずだ。

セーフ シティ東京防災プラン

東京都は3月「セーフ シティ東京防災プラン」を策定するなど取組を進めている。

そこで明らかになった「都民の水害への意識」は

「避難場所や避難経路の確認」している人が17%
「特に備えや取組を行っていない」人が50%

であり、東京都も「十分ではありません」と警告をしている。

我々も水害への対策は行政任せにせず、自助、公助、共助の視点から改めて考える時期に来ているのだろう。

筆者も指摘したが、今回の震災は、倉敷市真備町のハザードマップと同じ結果になったわけで、ハザードマップは確認しておいたほうがよさそうだ。

ちなみに東京都は、「東京くらし防災」と「東京都防災アプリ」を作成して、普及をはかっている。そもそも、2020年に向けた実行プランの一環であり、都知事が「女性視点の防災ブックをお作りする」という発言をしていたことを実現した形だ。
「東京くらし防災」の特徴は、親しみやすい、読みやすいデザインである。「東京都防災アプリ」もなかなかいけているのでチェックをお勧めする。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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