競争に直面する「阪神港」の未来(第1回)


今回、The Urban Folksにて執筆を始めることになりました青井です。読者の方、よろしくお願いいたします。まずは、先日、西日本豪雨、そして猛暑、皆様の無事を祈りたいところです。今回は、阪神港について考えたいと思います。

変わる港の役割

港湾とは何なのか。

船が出入・停泊し、人が乗り降りしたり貨物を積みおろししたりする施設のある水域

と定義されます。具体的に言いますと、「島嶼・岬などの天然の地勢や防波堤などの人工構造物によって風浪を防いで、船舶が安全に停泊し人の乗降や荷役が行なえる海域と陸地」(wikipedia)のことを言います。そこにはコンテナやフェリーポートが置かれ、貨物の積み下ろしが行われ、また、税関や検疫所、出入国管理所がおかれてそうした経済活動を管理しています。
皆さんの生活を支える日常品、工作機械、食料などが運ばれてきます、そして運び出していきます。我々の経済社会や生活を支える、大事な役割を担っている場所です。


<出典>神戸港から神戸の街を臨む、N撮影

阪神港はその中でも、日本経済において大きな役割を果たしてきました。

かっては東アジアの主要港、今は課題山積

阪神港とは、大阪港、神戸港、堺泉北港、尼崎西宮芦屋港を総称した、西日本最大の港湾のことです。

<紹介映像>

大阪港は日本最大のフェリーターミナルを擁する国際・国内航路の拠点港です。神戸港は日本の主要な国際貿易港(五大港)の一つです。日本三大旅客港の一つでもあります。地形によって、水深が急激に深くなる特徴から「天然の良港」として知られ、、大輪田泊や兵庫津以来の歴史を持っています。


<出典>海上保安庁HP

この港は、かっては、東アジアの主要港としての地位を確立していました。日本が世界経済の中心であったなかで、貿易における主たる地位・役割を大きく果たしていました。
しかし、その地位も相対的に低下しています。

現在は、地位をなんとか守るため、国際競争力を強化することが急務となっています。その地位を脅かす存在が韓国・釜山港です。釜山港の追い上げで、アジアの大型港への貨物流出で苦戦を強いられるのが現実。

こうした状況に日本政府も危機感を持っているようです。西日本の国際コンテナ戦略港湾として阪神港を指定するなど政策対応を本格化させています。

近隣の地方港との連携・協力体制づくりも不可欠ではありますが、地理的条件などから各港湾で物流戦略は異なることを気を付けないといけません。

私なりに、阪神港が直面する課題を考えてみたいと思います。

シフトする西日本の貨物、釜山へ

ここに至る背景ですが、1965年ごろから高度経済成長を支えるため、政府は国策で港湾施設を重点整備してきました。その結果、阪神港の取扱貨物量は東アジアのハブ港として世界トップクラスの地位に上りつめました。

1980年代後半に入ると、海上物流において、世界的にコンテナ化が進みます。

他方、政府は「国土の均衡ある発展」の方針の下、地方港にコンテナターミナルを建設する政策を推し進めました。これが外国貿易コンテナ物流機能を分散化させてしまう形となりました。

この方針が、同時期に、韓国や中国は主要港への「選択と集中」を主導しました。これらの取組は国際海上物流のトレンドに沿ったものでした。
他方、日本の方針は「結果として」逆行していたため、国際港としての地位が相対的に低下する大きな要因になりました。

さらに、地方自治体が、外航(外国航路)航路開設を重視してしまいました。その方針のもと、政策としては外国貿易船に補助金を出すようになりました。韓国政府も貨物の積み替え拠点を釜山港に切り替えた日本の港に補助金を出すなどの政策を打ち出したのです。

この結果、西日本の港の貨物の釜山港への流出が加速化しました。釜山港を運営する釜山港湾公社によると、2004年の西日本各港湾からの積み替え貨物量は約34万TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個)だったのですが、14年には約66万TEU。
ほぼ倍増する結果となりました。

こうした中、大量の貨物を効率よく輸送しようとコンテナ船の大型化が進みました。そのため、十分な貨物量を確保できない港に立ち寄るのを船会社が避ける傾向も出てしまっています。

自治体は何を考えている

神戸市の港湾担当者は「集まる貨物が少なくなってしまえば、日本への基幹航路が減り続けます」との現状認識です。

さらに、「関税で外国から圧力をかけられると、安全保障上の問題が起きる可能性もあります」「輸送コスト上昇で国内メーカーの競争力が低下してしまう」と新たな危機感を募らせています。

日本の港湾はどうなるのか。


青井喜三郎

ジャーナリスト
ジャーナリスト。大阪府出身。有名私大を卒業後、記者・ジャーナリストとして活動。特技 カポエラ。

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