「最後の行革」【第1回】行政サービス改革こそ働き方改革!?


西村健です。「最後の行革」として、専門の行政改革について連載をスアートさせますのでよろしくお願いいたします。

猛暑の中、役所に行き

・何度も住所、名前、電話番号を記入する
・証明書を提出する
・不足があるので、また来てくれと言われる・・・

ということを経験したことはないだろうか?
初回は「面倒だな」と思っても、次第に「仕方ない」と考えるようになり、
受け入れてしまっていく。そのうちに、こんな僕らは問題意識すら感じなくなってしまっているのかもしれない。

しかし、あの小国であるエストニアでは、もうそんなことはないのだ。ある番号を入れてしまえば、二度と同じことをしなくてもすむ。

当たり前のことが、「凄い国NIPPON」「美しい国」「瑞穂の国」(笑)日本でなぜできないのだろうか?

果たして政府には、国民・住民の時間を奪い、行政職員の時間を奪っている時間はあるのだろうか。行政職員にしても「こんな繰り返し仕事、意味があるのか・・・・」と内心は思っている人もいるだろう。単純作業に大切な時間を費やす作業は、ある意味楽だが、モチベーションも高くないだろう。

だからこそ、その面のサービス改革を進めることが大事である。しかも、多くの国民・住民の貴重な時間を確保でき、行政職員の貴重な業務時間を確保できるわけだ。つまり、それこそ最優先の「働き方改革」だと思うのだが。

まずは業務量をオープンにすることが前提

よく「行政も民間企業のように!」というお決まりのフレーズを振りかざす方がいらっしゃる。しかし、そもそも行政の行動原理や価値が民間企業のように収益を上げることに置かれていない。

ルール・法令にのっとって仕事をやっている。

そのため、社会の安定や利害関係調整、公平性を確保している存在である反面、
迅速かつ柔軟な行動変化が進まない、行政は過剰仕様になりがち。

求められるサービスのレベル感も多種多様な人の多種多様な考えに影響されるので、際限までリスクを減らし、結果として業務がエンドレスになりがちである。

区役所に行ったら、いきなり人の気配を感じ、突然「お客様どういたしました?」と声かけられて驚いてしまうことがある(そこまでやるか?と思いません?)。

なので、基本は業務時間を把握することから始めないといけない。

以前、某省庁に呼ばれて「業務改善」「時間削減」について聞かれたことがあったが、その組織は、そもそも時間把握がされていないと聞いてびっくりしたことがある。他人に業務改善・時間削減を求めるとは・・・・と思った。

「隗より始めよ」という言葉と「おまいう?」という言葉が私の心の中で交錯したというのは言うまでもない。

そもそも、ある業務にどれくらいの時間がかかっているのかが見えないのだ。

業務時間の内訳があって、正しく業務を理解、評価、改善案を議論できる。

社会が複雑化することによって、国民・住民の要求・お願いは増えるもの。そうなると、行政の役割が増えてしまう時代。

だからこそ、業務量を抑え、人件費を算定し、そこを国民・住民と議論して合意していく・・・・・そんな基本的なことができないのが、この「実質権威主義国家」の現実である。悲しいかな。

業務・サービスの品質レベルは?

千葉市では、2,000種類の申請で押印を見直し、相当の改善成果を出した。

行政の発想で、今になっては意味のなくなった過剰業務・品質を見直すことこそ大事ではないのか。そもそも右肩上がりの時代ではない、衰退局面の今、平安時代の貴族よろしく、霞が関文学、東大話法、政治家先生への忖度をやっている時間があるのだろうか。

ルールと過去の前例に縛られすぎて自縛されてしまってがんじがらめになっている状況から行政・政府を救ってあげないといけない。

外部から言ってあげないと、内部の疑問を持っている職員も声を上げられない。
実際は、業務への疑問や私と同じ問題意識を持っている人も多い。

□この決裁はなんで必要なの?(【本音】本当に皆しっかり読んでいるのかな?決裁資料をすべて読み込む時間もないのに、なんだこの儀式みたいな作業は?なんかあったときの責任を分配する保険?)

□この文章はなんでそんなに細かく作成しないといけないの?(【本音】上司の過去の経験則だろ?万が一のリスクを極限まで減らしたいの?たんに細かい人間ってこと?)

という疑問こそ出発点になる。

旧来の「行政改革」延長はすでに利害関係者を説得せざるをえない高度なものになっている。ものによっては政治的なイシューにもなりがち。なので、その点での行革は限界がある。というか、新たな局面に入ったという認識も必要。

最後の行革は、RPA(Robotic Process Automation)を入れまくることもいいいのだが、その前に
・業務時間の把握
・業務水準の設定
を明らかにして、できる範囲で
・常識を疑ってみる
・疑問を語り合う
・見直しを勇気をもって提案する
・やめる・見直しの判断
・意思決定
に取り組んでいくことだし、そういった行政の取組を国民・住民、そして議員はバックアップしていくべきだろう。

「事業仕分け」の時代は終わった。

地道なことに思考停止をせずに向き合い、コツコツ改善を行う時代に入ったことを我々は自覚するべきだ。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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