【2020年 私たちの病院選び】「第4回:5G時代の医療コミュニケーション」


今も「対面」か「電話」が中心の医療コミュニケーション

スマホによるコミュニケーションが当たり前となりました。
しかし、私たちが医療サービスを受ける際の、コミュニケーションの中心は「対面」か「電話」です。
その不便さを感じることはないでしょうか?

たとえば・・・・
私は、歩いて1分の場所にあるクリニックに通院しています。先日、血液検査の結果を聞きに行き、待合室で1時間15分待ちました。ようやく自分の視察順となり、10分ほど先生の説明を聞いたり質問をしました。丁寧な説明をしてくれる院長先生を信頼して通院していますが、1時間15分の待ち時間はなかなかつらいものがあります。
受付をした後にLINEで呼び出ししてもらえないのかな?
先生の説明は、映像付きの音声チャットでできないのかな?とも思いました。

オンライン診療が始まっています

医療保険を使ったオンライン診療が2018年4月から拡大されました。
定期的に通院中で、問診と視診のみで診療可能な場合は、オンライン診療が可能なのだそうです。

通院の手間がなくなり、待ち時間もないので便利になりそうです。
禁煙外来、AGA外来、花粉症外来などでの導入が増えているようだと聞きます。
個人的に増えている印象があるのは小児科です。慢性疾患をもつ子ども(と親)の負担軽減となることが期待できるのでしょう。
近所のクリニックの入口にもオンライン診療、スマホ診療といった告知文を見かけることが増えてきました。

「オンライン診療」と検索しますと、オンライン診療を導入するためのシステムの広告が表示されます。
システムを提供する会社にとっても、期待のビジネス分野なのかもしれません。

高齢者の医療・介護は、膨大な量のコミュニケーションに支えられている

私自身、高齢になった親の検査・診察に付き添うことがあります。

付き添いの目的は「身体的な介助」ではありません。
医師に経緯や生活の様子を話したり、病状をよく理解して「治療方針を医師・本人・家族で相談するための付き添い」です。

検査の待ち時間も含めると丸一日かかることもありますが、私自身が相談に付き添う時間は15分もありません。しかし、親のフィルターを通さずに直接話しが聞けるメリット、親も自分も安心できるメリットは大きいと判断しています。

親の身体的な介護が必要になれば、さらにコミュニケーション量は増えていくことでしょう。

親しい友人と一緒にいるときに、介護サービスの方から電話がかかってくることは珍しくありません。
互いのToDoの整理が上手くいかず、物事が進まないとストレスを感じるのだと聞きます。(それは介護の方も同じだと思いますが)

介護サービスを利用するためには、介護制度の理解も必要になるので、相談員さんと呼ばれるメディカルソーシャルワーカーさんに相談したい場合もあることでしょう。
親が施設のお世話になる場合には、施設に行って一緒に相談をすることもあるでしょう。

高齢者の医療・介護は、膨大な量のコミュニケーションに支えられています。
個人情報保護やプライバシー保護の課題がありますが、患者・家族がネット活用をしたいと考えているのであれば、積極的に活用できる仕組みがあっても良いのではないかと思います。

医療・介護に関わる方たちを守る仕組みも必要

高齢者を支えている医療従事者の方からお話しをうかがうと「家族と地域の連携なしにはお支え出来ない」という言葉が聞かれます。
認知症の患者さんの場合は、家族と直接連絡できるように連絡ノートをつくったり、電話連絡をこまめにしていると聞きます。

このように、医療・介護に関わる方たちが、家族とのコミュニケーションを大事にされていることを感じます。
しかし、医療・介護に関わる方たちが、積極的にネットによるコミュニケーションツールを活用したいと考えてくれるかはわかりません。

と言うのも、ネットによるコミュニケーションのイメージは、良いと言えないからです。炎上という言葉があるように、ネットによるコミュニケーションは、対面とは違う人格になってしまいやすいイメージもあります。
また、患者・家族から職員へのハラスメントがある話しを耳にします。

ですから、患者・家族を守るだけでなく、医療・介護に関わる方たちを守る仕組みも必要でしょう。

記録をとることが考えられますが、個人情報保護の観点から高度なセキュリティーシステムが必要になりそうです。それは高価すぎて利用できないかもしれません。

監視よりも、コミュニケーションする画面の中の環境づくりが、大事な要素になってくるかもしれません。
たとえば、患者・家族の皆さんと医療・介護に関わる方たちが「患者を支えるチームのような一体感をつくる」仕掛けがあるシステムと、ただ情報をやりとりするだけのシステムでは差がでることも考えられます。

5G時代になると、今までの音・映像の世界が進化すると聞きます。
スマホを開くと、全員アバターの姿で、部屋が瞬時にアニメ化されるVR画面で、診察や介護相談に参加するなんてことがあるのかも。
一見、バカバカしい話しですが、プライバシーを守りながら、コミュニケーション量を増やし、情報の質を上げる方法になるかもしれません。

いずれにしても、働き盛りの世代や遠方に住む家族が、医療従事者の皆さんとコミュニケーションしやすい環境があることは、私達の病院選びの基準の1つになるかもしれないと考えています。

「2020年私たちの病院選び」シリーズ


山内真一
山内真一

Webディレクター/コト・デザイナー
1998年テットコム創業。医療・保育・健康・士業等の制約が多い業界を編集し、新しい市場・顧客・人材を創り出す。また、地元のエリアリノベーション事業、茶畑・企業用地・中山間地での自転車レースイベント開催等のサイクルスポーツ推進事業も手がけている。

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