<US特別寄稿>The New Free Trade Frontiers between Japan and EU


(内閣広報室)

7月17日、日本とEUは、通商障壁の減少及び保護主義に対抗する希望への灯を照らす自由貿易協定に批准しました。 自由貿易とイノベーションの支持者は、反自由貿易的な空気が蔓延する文脈の中で、このような動き(日欧EPA)が実現することを歓迎すべきです。

2013年以降、EUと日本は、特に重要かつ広範に及び通商上の歴史を背景とし、国家間の自由貿易機会の拡大や政治的・通商的な連合について真剣な交渉に取り組んできました。 実際、EUと日本は、今世紀に入ってから何十億ドルもの商品を毎年売買しており、既に 日本はEU輸出市場で6位、EUは日本で3位の貿易相手国となっています。 両国間の貿易は2013年以来毎年平均5%増加しており、貿易の不均衡は大幅に縮小しています。(過去においては これまで日本はEUとの間で大きな貿易黒字を計上してきました。)

両地域は双方の間で交わされる巨額の貿易額の価値を認めており、最新の自由貿易協定は日本とEUが経済的(そしてある意味政治的)な関係をさらに発展させたいという欲求の表れとなっています。EUと日本の間で相互に交換される重要な製品には自動車、機械、医療機器が含まれており、EUからは製薬製品・日本からは化学製品などが輸出されます。 これらの輸出入額は世界のGDPにおける大きな位置を占めており、両地域間の貿易を拡大したいという欲求は、日・EU経済連携協定(EPA)の交渉・批准に繋がりました。

既に日本とEUの貿易量は膨大なものとなっていますが、実際には両地域には経済的障壁が存在してきました。 しかし、今回批准された条約であるEPAは、これらの問題に対処し、両地域間の市場をさらに拡大することを目指しています。 例えば、欧州委員会によれば、EPAは物品税および関税を削減することによって、両地域の輸出事業者に年間10億ドル近くの経費節減が見込まれると言われています。 欧州委員会は、「EUから対日輸出の90%以上の関税はEPAの発効時に廃止される」、「 同協定が完全に履行されれば、日本はEUからの輸入品97%への関税は廃止される」と述べています。また、EPAは関税引き下げは自由貿易促進の重要な一歩であり、透明性向上してイノベーションを促進するための国際貿易ルールの標準化を追求するものでもあります。

EPAは知的財産にも大きな影響を及ぼすかもしれません。 第14章には知的財産権を幅広く扱っており、特に商標権の国際的な取り扱いについて保証することを求めています。 この貿易協定は、特許、デザイン、医薬品などの問題についても掘り下げていますが、商標に関する合意の焦点は最も影響力があるように見えます。 商標に関しては、EPAは両地域での商標の保護及び許可に関する保証が行われることになります。 この協定は原産地表示も扱っており、プレスリリースでは「日本は、日本市場での顕在的・潜在的な輸出面での価値を獲得するためにEU加盟国が選んだ200以上の欧州の原産地表示を確認することになる。この状況の下で、これらに符号する商品のみが日本国内で販売されることが許されることになる。」と述べています。

ただし、この条約には失望すべき点もあります。その最も大きなポイントは、データローカリゼーションとデータプライバシーに関する条項です。 EUの市民の間でデータローカリゼーション条項への認識が非常に否定的であるため、交渉の間に日欧間の自由なデータフローに関する拘束力のある合意を採択したくなかった。 国民から批判を受けることを嫌ったことで両当事者間の自由なデータの流れが妨げられた可能性があり、現在、データ交換はローカルレベルの裁判所や一方的な決定の対象となる可能性があるという懸念が残されています。 データ交換がますますグローバルになり、非常に貴重な時代に、EPAはデータの自由な転送と保存を促進する拘束力のある合意を確実にする機会を逃しました。

全体として、EUと日本の間で最近締結された貿易協定は、2つの経済大国間の自由貿易への人為的な障壁を削減し、消費者が負担する商品とサービスのコストを削減することになります。 ただし、条約は知的財産保護や仲裁合意については明記しているものの、データ転送に関する政策分野と商標使用の確かな保護措置に関しては依然として課題が残されていることも事実です。

 


Lorenzo Montanari


Americans for TaX Reform 国際部門ディレクター。ボローニャ大学で政治学と国際関係学のBA / MAを取得し、ジョージワシントン大学の政治経営学修士号を取得し、ジョージワシントン大学の国際部門で勤務後、中南米の政治分析者と選挙監視官としても従事。世界80か国以上とネットワークを持つAtlas Networkと連携し、欧州・アジア地域でのネットワークを構築。また、Property Rights Alliance エグゼクティブディレクターとして、知的財産権を中心とした国際比較研究である国際財産権指数の発行を担当。

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