東京医大問題の発端となった「私立大学研究ブランディング事業」とは何か


【出典】フリー素材ぱくたそ

文科省官僚の絡んだ裏口入学
入試での女子生徒の得点操作
入試での多浪人生の得点操作

で大騒ぎの東京医科大学(以下、東京医大)。

タレントの西川史子さんが「一律減点は当たり前」と発言するまでは、多くの人が「女性差別!」「ありあえない~」「働き方改革するのが先」など感情的な発言が目立ちました。それはそれで大事なことでしたが、事情を知った当事者(女性)の発言で、少し論壇も落ち着いた感じです。

点数加算の発端

当該女性は本当にかわいそうです。ただ、私立大学の事情もあるでしょうし、私立医大の入試はそこまで公正なものでもないでしょうし、裁量を入れるのはこれまでも多かったですし、、、と思うのですが、世間はそうでもないらしいことがわかりました。

さて、今回多方面に波及する東京医大の問題、そもそもの原点は、東京医科大学の入試課長さんが文科省官僚の息子の1次試験の点数を加算した疑いからでありました。

その官僚が官房長当時、文科省の「私立大学研究ブランディング事業」の対象校にするよう取り計らってほしいと頼まれたことへの見返りが点数の加算だっということです。

私立大学支援事業???

私立大学支援事業である「私立大学研究ブランディング事業」とは何なのでしょうか。

学長のリーダーシップの下、優先課題として全学的な独自色を大きく打ち出す研究に取り組む私立大学・私立短期大学に対し、経常費・設備費・施設費を一体として重点的に支援する「私立大学研究ブランディング事業」を平成28年度より実施

【出典】文科省HPより

高等教育局私学部私学助成課が担当しています。
驚くべきことに、その金額です。28年度予算ではなんと72.5億円が確保されています。
行政事業レビューシートを見てみると審査の謝金だけで、なんと500万円!にものぼっていることがわかります。

1校あたり1,000~4,000万円の特別補助があるそうなのですが、「個別の研究プロジェクトへの支援ではなく、学長のリーダーシップの下で推進される全学的な取組」に対し資金援助を行うそうです、

東京医大の素晴らしい事業ではある

東京医大の内容を見てみましょう。

事業名:先制医療による健康長寿社会の実現を目指した低侵襲医療の世界的拠点形成
概要:本事業では、唾液や尿から、がん・生活習慣病・精神疾患などを同時かつ簡易に検査することが可能となるメタボローム解析・AI・ビッグデータ解析を用いた未来型検査を確立し、発症前介入・早期発見早期治療を実現する先制医療を推進する。本学から世界へ発信する低侵襲医療の拠点を形成し、先制医療による健康長寿社会の実現を目指す。

具体的には
①メタボローム解析による低侵襲検査を可能とする疾患マーカー探索と大規模臨床評価
②ラボレベルの新しい測定技術を実応用可能な技術へ
③新規検査技術+医療情報+AI+ビッグデータ解析による新しい医療の実現

という研究を行うそうです。結果、「痛くない検査による疾病の早期発見」が期待成果ということのようです。

かなり先進的であり素晴らしい研究だと思います。しかし、同時に、国の補助をわざわざ得ないで、自分たちでやればいいのでは?という思いをいだいてしまいます。

このような事業への補助は、果たしてどれだけ意味があるのでしょうか。私立大学には私学助成金が、お医者さんたちには結構な国費補助がされています。さらに補助ください!というのはどうなのでしょうか。

日本国の財政赤字は凄い金額です。にもかかわらず、補助金クレクレと考える大学と補助金審査に権力・裁量を持つ監督官庁が頑張っている状況には危機感すら覚えます。

東京医大のようなブランドもある名門大学に、さらなる「研究ブランディング」の必要性がはたしてあるのでしょうか。その部分こそ議論すべきだと思います。


明智秀敬

研究者
専門は会計、財政再建など。予算の配分と政治、既得権益の影響を調べている。

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