果たして得点調整は罪なのか?東京医大問題


【出典】フリー素材、ぱくたそ

東京医大が内部調査報告書を公表した。

「個別の得点調整が行われたようである。」
「多数のケースで不正な得点調整を行っていた。」
「そのような措置の存在を受験生に知らせることなく抜き打ち的に実施することは、受験生に対する背信行為であると断罪せざるを得ない。」

とのこと。

「不正」
「女性差別」
「浪人差別」
などなど今回の問題、当事者だったら怒りを覚えるし、個人的、感情的な意見を言わせてもらえれば、そりゃないだろという思いで一杯だ。そこでは皆さんと同感である。

しかし、本当に罪なのか?と思いがある。

問題は、収賄の疑い、働き方改革が必要な医療業界における問題の一端が得点調整基準に反映されたことなどであること。

HPの試験についての記載には、決定方法は記載されていない。

学校法人東京医科大学教職員の行動規範では、

(基本理念)
第2条 大学の建学の精神である「自主自学」及び学校設立の理念である「正義・友愛・奉仕」を日々の行動規範とする。
(法令の遵守)
第3条 法人の諸規程、法令などの規則を遵守し、「良き市民」として社会的良識をもって行動しなければならない。

とあるが、ここと照らし合わせてどうなのか。

筆者は組織の経営の立場での裁量性からみて、グレーではあるが、違法性があるとは言えないと思った。

裏口入学などは法的には問題はない

裏口入学などは倫理的には許されないとは個人的には思うが、それは西村の価値観。社会的に見れば、法的には問題はないはず。某有名小学校、スポーツの選抜試験、大学の推薦入試、企業の入社試験などなどいたるところで現実には行われている。悲しいかな。

そもそも試験・受験は、お見合いみたいなもの。組織にとって必要な人材を採用させていただくことが大事で、公正な点数での競争は選考の要素の1つでしかない。

しかも、私立大学。

裏口入学は不公平なことだし、社会の公正性を棄損する。しかし、そういう組織が社会に現実に存在する。そういう組織が求める人材をとるのは自由なわけだから、裁量性の範囲にも思える。

こちらが経営に文句を言うのは自由であるが、経営の立場に立ってみる世界は外野とは違うものになるだろう。このことを公正じゃないといったら、医学部の地域重視選考とかでさえどうかなと思う。ある意味、程度問題であろう。

そういった不公平なことを許容する組織ということ。私学助成金など公的な資金が投入されているからって「国民が!」「おかしい」「差別!」と怒るだけでいいのか。

また、大学受験のネタは運命の一大決戦のように感情移入されがちで、皆の意見に強すぎて、大げさに騒ぎすぎではないかとも思う。個人的に大学受験に熱心で成功された方がそういった傾向が強いようですけどね。

女性の方で幾人か今回の事件をフラッシュバックして個人の経験に結び付けて「ありえない」と批判するのは少しどうかなとは思う。自分の経験はつらいものでしょうし、傷ついたのだと思いますので、感情的に「切れる」のはいいでしょう。ただ、個人の経験を一般化するのは気持ちはいいものだが、共通点の整理をしたり、適用範囲を見た方がいいと思います。

疑惑の解明前に

本質は贈収賄罪。しかし、そのところも現段階で、文科省役人のかかわりはわからない。

個人的に思うのは、この「私立大学研究ブランディング事業」の方に焦点を当てた議論がないことのほうが問題に思える。

28年度予算、72.5億円
審査の謝金だけで500万円

ですよ?
詳細は明智さんの記事にあるけど、皆さん見てみてください。

冷静に問題を切り分け、公正さを議論していくいい機会としたいものだ。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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