「東京医大・女子受験者差別問題」のもう1つの本質


東京医科大学の入試に関する内部調査委員会の報告内容が明らかになりました。その内容によれば2018年度入試において

二次試験の小論文(100点満点)で、全員の点数に0.8をかけて80点満点とする
 そのうえで以下のルールで加点する
  男子(現役、1浪、2浪) ・・・20点
  男子(3浪) ・・・10点
  男子(4浪) ・・・0点
  女子 ・・・0点

[出典】「東京医大の点数操作、これが内部調査委の報告書全ページだ(画像)」濵田理央、ハフィントンポスト 2018年08月07日 15時10分 JST)

としたようです。

これを文字通り計算してみると、女子は100点満点をとっても80点。

男子(現役、1浪、2浪)は100点満点中76点であっても、76 x 0.8 = 60.8点。60.8点に20点加算されて、80.8点となり、女子の満点を上回ることになります。

これは女子差別ですね!ということですが、そういったお話はすでに多くの方がネット上でされていますので、ここでは割愛したいと思います。

私が気になったのは、「東京医大だけじゃない」という記事が出てきたことです。

東京医大だけではない。女子中学生も入試で不当に落とされているー都立高校の入試の話

【出典】千田有紀 | 武蔵大学社会学部教授(社会学)、Yahoo!ニュース、8/3(金) 4:36

え!都立高校入試でも女子差別!?

この記事の中で千田教授は、都立高校の入試にも男女別募集定員があり、男子合格者より高い点数を取った女子学生が不合格になっていることを指摘。そして中学や高校の校長先生の意見も紹介したうえで、こう述べていらっしゃいます。

(以下、引用)

「女子の進学を妨げる方向で、定員を決めることの妥当性は、何だろうか。」
「少なくとも私には、事前に告知してあること以外、東京医大との違いは見つけられない。」

(以上、引用)

「事前に告知してあること以外」とありますが、一人の親として考えたとき、これは非常に重要な問題だと感じました。

一人の親として、私は(私たちは)非力です。差別を指摘したところで、自分の子どもたちの将来が明るくなるとも限りません。

誤解しないでください。差別を放置して良いと言っているわけではありません。私たちが、非力な「個」としてできることを考えてみたいのです。そのできることの1つは、男女に募集定員の違いがあること、入試における点数配分に違いがあること等入試情報を取得し、それに対処することではないでしょうか。

私たちは事前に知っていれば、対策をとります。入試における合否判定基準の情報が与えられていれば、その情報に応じて、努力の方向を変えるわけです。

入試問題も同じです。大学受験の際にはそれぞれの大学の過去問を分析して、傾向と対策を練ります。私も大学時代、とある学習塾で教えていましたが、その「傾向と対策」の究め方には舌を巻きました。

だからこそ私たちは「皆平等に、公平に、事前に知っていたい」のではないでしょうか。事前に知っていれば対策をとれます。少なくとも対策をとるチャンスが与えられます。自分の境遇に不利な入試合格基準を持つ大学であれば、その大学を回避し、他の大学を選択肢に入れることもできます。(もちろん、唯一の選択肢、あるいはどうしても行きたい大学が不当差別を行っていた場合、途方に暮れることはあり得ますが)

繰り返します。不当な女子差別を放置して良いと言っているのではありません。不当な差別は是正すべきです。ただ一方で、一人の親として、一人の「個」としてできることを考えたとき、「せめて事前に教えてくれ」と感じるのもまた、この問題の1つの本質ではないでしょうか。

私は、この「事前に知ることができるか否か」という問題は、今後ますますクローズアップされてくるのではないかという気がしています。それについては、またの機会に譲りたいと思います。


藤村慎也
藤村慎也

経営コンサルタント
人生100年時代、誰もがライフシフトを経験する世の中を見越し、フリーランス・複業者を中心としたプロフェッショナル・ネットワーク「インプロ・グループ」を立ち上げる。新たな時代のキャリア形成を支援しつつ、次世代の教育・人材育成にも携わっている(https://inprogroup.jp/)。前職では外資系コンサルティングファームにて、クロスボーダーM&A、新興国投資案件、インド・ニューデリー事務所駐在等を経験。 東京大学卒業、ハーバード大学行政大学院ケネディスクール修了(公共管理学修士)

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