東京医大問題の本質「私立大学研究ブランディング事業」


東京医大問題が騒がれています。女性差別、採点操作、そして、収賄疑惑などなど。それはそれで問題だと思いますし、批判は当然だと思います。しかし、この問題の発端となった「私立大学研究ブランディング事業」について、西村健さんも言っているように、問題視する必要があると思います。

「私立大学研究ブランディング事業」を見てみたか?

おさらいしましょう。「私立大学研究ブランディング事業」とは、学長のリーダーシップの下に特色ある研究を基軸として、全学的な独自色を大きく打ち出す取組を行う私立大学・私立短期大学に対する補助事業のことを言います。経常費・設備費・施設費を一体として文部科学省が重点的に支援するということのようです。

29年度は、188校から申請があり、計60校(タイプA:33件、タイプB:27件)が選定されたそうです。

・各研究・取り組みに対し、1校あたり1,000~4,000万円の特別補助
・申請した私立大学・短大198校中40校が支援対象校
・倍率5倍弱

という特徴があります。

人文社会系の文系事業でいうと

この事業で採択された事業の一覧を見てみましょう。

国際政治では国内でも評価が高い上智大学を見てみましょう。

テーマ:「人間の安全保障」実現に取り組む国際的研究拠点大学としてのブランド形成」
内容:貧困、環境、医療、難民、平和構築に関する問題は、国境を越え相互に関連しながら、人間の生存・生活・尊厳に深刻な脅威を与えている。本事業では、これらのリスク要因に対処し、「人間の安全保障」確保に向けた政策・制度の設計を、社会科学の視点から行う国際的研究拠点を形成する。それにより、グローバルかつ公益性の高い今日的課題の解決に向け、「他者のために他者とともに」研究推進する上智大学ブランドを確立していく。

詳細はここを確認ください。

中身であるのですが、

貧困、環境、医療、難民、平和構築など地球規模の課題に対し、個々の研究者がそれぞれの問題意識に基づいて積極的に取り組んできた。本事業では、これらの研究を「人間の安全保障」という概念の下に統一的に捉え直し、個々の研究では実現できなかった統合的な知の構築を図り、「人間の安全保障」研究に関する国際的な研究拠点を形成する。そして、その研究成果を国際的な学術論文、政策ブリーフ、一般向けシンポジウムなどを通じて積極的に発信するとともに、教育やキャリア形成支援にも活かし、現場で活躍できる人材育成につなげていく

そうです。学術を中心とした結構しっかりした内容です。

あの日大も!

あのパワハラ問題で名を挙げた日本大学も認められています。

テーマ:スポーツ日大によるアンチ・ドーピング教育研究拠点確立とポストオリンピックへの展開
概要:輩出したトップアスリートの意見を下地に、文・理・医系から成る横断的な研究力と幼稚園から大学院までを有する継続的な教育力を織込むことでアンチ・ドーピング教育研究拠点を確立する。得られた成果を来るべきスポーツイベントや地域・国際社会への展開を通じて発信していくことで、真のスポーツ振興の旗手としての日本大学のプレゼンスを高めていく。
目的:アンチドーピングの拠点に

とあるのです。かなり、まともな取り組みで応援してあげたくなります。

しかし、

【日本大学が全学的に取り組む理由】
田中理事長・・・は、それぞれ日本オリンピック委員会副会長の要職にあり、そのリーダーシップのもの「スポーツ日大」のブランドを構築してきた。

・・・・・・書くのは自由ですけど、最大級の皮肉になってしまいました(笑)。
例の大学のブランドを棄損している一連の対応を知った今では言葉が白々しいです。

ブランドづくりとは?

大学が独自の価値あるブランドを構築しようとする取り組みを支援だそうですが、ブランドは長年の蓄積と信用と地道な努力によるものですし、小手先なブランド形成などで、ブランドとして認知されるものが形成できるのでしょうか。疑問を感じます。。

「私立大学研究ブランディング事業」だけでその効果が得られるのでしょうか。そもそも(憲法的にどうなのかという)私学助成をしていて、さらにこのような支援はなぜ必要なのでしょうか。そこを議論する必要があると思います。


明智秀敬

研究者
専門は会計、財政再建など。予算の配分と政治、既得権益の影響を調べている。

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