都民ファーストの会は「地方法人税の収奪」に対する対抗措置を実施すべき


東京都は総務省による「地方法人税の収奪」に対して独自の対抗措置を講じるべきだ

総務省は5月23日に有識者の検討会を開き、地方法人税の再配分の仕組みを強化する方法や規模について協議を開始している。それに対して、東京都も独自の有識者会議を開催して反論を試みているが、机上の話し合いでは総務省及び全国知事会に対して多勢に無勢で勝負にならないだろう。

東京都が理論を並べて対抗しようとしたところで、最後は地方選出の国会議員が大半を占める国の圧力によって東京都の地方法人税収が愚にもつかない地方へのバラマキ政策の財源となっていくことは目に見えている。その結果として、東京都は国際競争力を強化するための財源を失うとともに、地方も堕落した役所依存の経済構造を維持していくことになるだろう。

このような政策を止めるための方法は万策尽きているのであろうか。筆者は総務省や地方の知事と話し合うのではなく、東京都が独自の地方法人税改革による対抗措置を実施することで状況を変えることができるものと考える。多勢に無勢の話し合いの場で負ける戦いをするのではなく、東京都は東京都という大商業地帯・大消費地の特性を生かした戦いを行うべきだ。

東京都が実施すべき「独自の地方法人税改革」(支店増税・本社減税)による対抗措置

東京都が独自に実施すべき政策は「東京都独自の地方法人税改革」であり、地方税率を下記の通り変更するだけで良い。

①東京都に本社を置かない企業の支店への法人都民税及び法人事業税を増税する。

②東京都に本社を置く企業への法人都民税・法人事業税・固定資産税の減税を実施する。

③地方法人税増税(①)で減収分(②)の帳尻を合わせる。

東京都には本社機能が集中しているが、当然に地方に本社を置く企業も支店を置いているケースが多い。これらの地方企業は東京都の商業力・消費力のメリットを享受しているため、東京都の社会インフラを維持するために追加で税負担を担うべきであろう。一方、東京都に本社を置く企業は東京都にとっては外貨を稼ぐ企業であり、都市の国際競争力を強化する上で優遇措置を講じることが望まれる。

この地方法人税改革条例は、総務省による不当な東京都からの地方法人税の収奪が見直されるまで継続して行うべきだ。総務省や全国知事会は東京都と話し合う気はないので、東京都は自らが取れる「行動」によって対抗するべきである。

今こそ「地域政党」としての都民ファーストの会が真価を発揮する時である

国政与党である自民党は国政に足場があるために、国と東京都の間で地方税見直しに関するプロレスを実施して最終的な落としどころを決めてきたと言われている。東京都が税源を明け渡す代わりに大型のプロジェクトへの支援を得るような取引を行う、というもので、これは一つの交渉として成り立ってきたやり方と考えることもできる。

一方、都民ファーストの会は地域政党であり、国政には政党の足場を有していない。これは地方法人税を巡る交渉戦略上では一見不利なように見えるが、むしろ国政の政局に配慮することなく東京都の独自の政策を遠慮なく実行することが可能だと捉えるべきだろう。

従来までの自民党では実行できなかった「東京都による独自の対抗措置」は地域政党だからこそ実現できるものであり、東京都の敗北が最初から前提となっている財政移転論議に一石を投じることができるだろう。まさに、小池知事が都知事選挙のポスターで示した「都民が決める」「都民と進める」、東京大改革が実行できるかが問われている。

 

 

 


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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