「GAFAの社会的責任を考える」【第1回】グーグルの健康医療における戦略


社会に影響を及ぼす企業の社会的責任を考えるこの企画。まずは、持株会社であるアルファベットを設立して、生命科学、投資キャピタル、研究など直ぐには収益に結びつかないような中長期の多角化事業を進めるグーグル、持株会社のアルファベット社からです。

収益の柱はリスティング広告、グーグルは世界最大の広告会社とも言えます。
詳しくは小寺昇二さんの執筆をじっくり読んでいただければ有難いのですが、以下のようにまとめられます。

【小寺教授のまとめ】

・「Don’t be evil.」(邪悪になるな)という強烈で有名な、非公式スローガンがこの会社のDNA
・グーグルは徹底的に検索エンジンの開発にこだわり
・検索技術は、インターネットをゴミの山から宝の山に変えた
・インターネット空間を『食える空間』に変えた

【出典】小寺昇二「「インターネットの歴史から考えるインターネットビジネスの本質」連載シリーズ「グーグル」-「Don’t be evil.」」:その1その2その3

というところが本質です。

新規事業!

そのグーグルさんが「新規事業」を打ち出しています。次々と新しいサービスをリリース、買収を試みていのです。たとえば、ロボット産業への進出、自動運転車の開発などです。ウェアラブル技術の大手企業Fitbitとの提携も進めています。中でも、ヘルステック市場・医療健康分野への進出を取り上げたいと思います。

AI、人工知能についてのグーグルの狙いはAI(人工知能)の有効な応用先として「医療」を考えているようなのです。

幹部が関心を示していますし、創薬ターゲット、または疾患リスクを高確率で予測できるDNA変異など、遺伝子学的“金”をデータの海から見つけ出すことに強い思いを持っているようです。

そもそも過去にGoogle Healthがローンチ(2008年)しましたが、うまくいかず、そのリベンジともみられている。老化や加齢に伴う疾患する先進ベンチャーのCalico(キャリコ)、パーソナル・ゲノム・サービスの23アンド・ミー、がんや心臓発作の兆候を発見する研究部門Google Xを支援。長年にわたってゲノム解析技術などに携わってきたのです。

健康・医療産業について

健康・医療産業についてをまとめると以下のようになります。

①グーグルX
②キャリコ、不老不死の研究
③Baseline Study
④グーグル・ゲノミクス(Google Genomics)
⑤ベリリー・ライフサイエンシズ

といったとことが中心になります。具体的に見てみましょう。

グーグルXは、月旅行のように野心的な取組をする「ムーンショット」を標榜する研究部門のこと。癌の早期発見システムを研究開発しています。

不老不死の研究は、2013年に老化と病気に取り組む医療ベンチャーCalico(キャリコCalifornia Life Company)を立ち上げました。長寿に関連する遺伝子を研究。大規模なクラウドとデータマイニングによって老化と病気の原因を探る研究に取り組んでいます。

2014年から、バイオ医薬品のメーカーAbbVieとともに共同出資してゲノム研究所を開設。老化と関わりのある神経変性やがんの研究事業と治療薬の開発を進めています。

「Baseline Study」とは、23andMeというゲノムデータベースの会社経由で、個人向け遺伝子解析サービスを展開しています。健康な被験者から遺伝子と分子情報を収集し、健康な人体の「ベースライン」を定義する研究のようです。

グーグル・ゲノミクス(Google Genomics)とは、研究機関向けのヒトゲノム・データベースのサービスです、クラウドにヒトゲノム(ヒトの全遺伝情報)のデータベースを構築し、保管・管理するというもの。クラウドを使えば、研究者たちが共有・共用できるというメリットもあります。グーグル・ゲノミクスを活用した画期的な自閉症者支援プロジェクトMSSNGもスタートしました。

グーグルの関連会社のベリリー・ライフサイエンシズでは、予防型にまで手を付けています。ベリリーライフサイエンシズは製薬大手グラクソ・スミスクラインと共同で設立。体内埋め込み型の小型医療機器の開発を目指しているようです。体内を走る「神経信号」に注目。脳から神経を通じて各器官に送られる電気信号は、さまざまな生理活動をコントロールするホルモンの分泌を制御するらしいのです。電気信号の情報を解読して異常を察知し、異常を修正する治療法を考えている模様。

健康・医療に何を見出すのか

幹部層によると医療・ライフサイエンスの業界は規制が厳しく、参入が難しいと言われるビジネス領域だそうです。社会貢献としてやっているわけではないでしょうが、こうした取り組みは素晴らしいと思います。

これまでも検索で我々の社会においてとても貢献してきました。ビジネスをソーシャルにという意味で、医療においても社会に貢献してくれるのかもしれません。

次回はグーグルの政治的影響力について考えます。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、オムニメディア代表、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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