「権威主義社会ニッポン!」【第3回】派閥のドンが決める日本型組織


カリスマが潔くない辞任、歴史の男は日本ボクシング連盟の内部抗争を歴史に名を残す
各体育会系団体にパラーハラスメントの連続、圧倒的な権力で守りを固める日大ディフェンス

などなど、組織の問題が噴出している。特にスポーツ界で。

それなりの業績を示してきた方なので、「ドン」としての生きざま、哲学をもとに行動してもらいたいと期待しているが、どうなのだろう。

ドンが率いる組織に至るまでを概観、一般化するとこういうファミリーヒストリーがあるのだろう。

1.相手の利害・求めるものを的確に判断し、提供する
2.優しさと強権を巧みに使い分け、相手の心をつかみ、支配する
3.自分側についた人には手厚く対応、優しくし、仲間を徐々に増やす
4.気に食わない人、歯向かう人を敵視、敵は徹底的に潰す
5.逆らうことの恐怖を植え付け、反対するとまわりに迷惑がかかると思ってしまう良心的な人は黙ってしまう
6.従うものには恩恵を与えて手なずけて多数派を形成
7.好き嫌いで人事を行う、ルールは軽視
8.イエスマンが増えて、ますます少数派は疑問を呈せなくなる
9.部下の行動を常にウオッチ、リスクや不満分子の芽を排除する
10.周りも永久に続くような王国を期待、忖度して作り上げようとする

こうして、裸の王様、もしくは、伝説の偉人を中心とした組織が確立する。

「終身」会長というマウンティング

こうしたことは組織にありがちなことである。権力闘争というのはそんなものだろう。グローバル企業の社長であれ、ロシアのプーチンさんだって、中国の習近平さんだって、程度は違うが、自分の権力期間の永続化、基盤の安定化をもとめる。そして、そのための多数派工作に励む。

蜜の味や権力の味がおいしければおいしいほど。

だからこそ、任期制限をすることが大事になるのだ。その人が悪いわけではない。そもそも人は環境の生き物。周りからの期待と自分の欲望の相互作用が意図していない形で肥大化し、意識的かつ無意識的のどちらにせよ行動や理念、信念すらも変えていくのである。

欲望の充足度、名声、今後の期待が大きければ大きいほど。

日本のスポーツ界で今回多発しているのは色々な要因があるとは思うが、五輪を機に明らかになったという面もあるだろう。「上下関係」という名の権威主義的な主従関係、軍隊の残滓が残る頑張りズム溢れる「空気」と組織風土、疑問があっても論理的な議論がなかなかされないことなど、現代の日本組織の問題の一端を示している。

派閥で決まってしまう「組織の政治」

さて、日本のトップを決める自民党総裁選も9月に行われる、大統領制並みの権力をめぐっての選挙だが、ほとんど「安倍さんの勝利」という流れのようである。

6年前の平成24年度を振り返っておこう。

□1回目投票:
国会議員 地方票* 合計
石破 茂 34 +165 =199
安倍晋三 54 + 87 =141
石原伸晃 58 + 38 = 96
町村信孝 27 + 7 = 34
林 芳正 24 + 3 = 27

□決選投票:国会議員
石破 茂 89
安倍晋三 108

という状況であった。地方票での石破さんの多さは特徴的だが、町村派を割ってでてきた安倍さんが逆転。3年後は無投票で安倍さんが再任された。今回の選挙、自民党の派閥の人数によっておおかた結論は決まりのようである。

派閥で決まってしまう「組織の政治」

別に、それがダメとか、自民党がいいとか、悪いとか言いたいわけではない。過去から連綿と続く、歴史の遺産を引き継いだ日本的組織の現実を確認しただけだ。

しかし、「ボス政治」みたいな派閥の論理が、(結果的に)個人の考えや意思を駆逐するところに、日本の現在の諸問題の1つがあるのではないかと感じられる。

総裁として誰がいいのか派閥内で議論されてからなら、まだしも、選挙前に態勢が決している。

なぜこうしたことに問題を感じるのかというと、サークル、任意団体、町内会、商店会、商工団体、NPO、一般社団法人、農業委員会、営利団体、企業、政党、政党内支部などなど、日本社会のいたるところにある「政治」的な行為には選挙がつきもの。

派閥はあってもいいが、その構成員の声を聞いてから、喧々諤々議論してから結論を出して欲しい。上の一存で決定し、主従関係・上下関係で押しつける、というボス政治は、政治の世界からまず排除してもらいたいものだ。

各派閥に期待したい。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、事業創造大学院大学 国際公共政策研究所 研究員・ディレクター、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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