現代版・焚書坑儒、高知県立大学図書館が焼き払った歴史


(高知新聞から引用)

高知県立大学で蔵書3万8000冊焼却 貴重な郷土本、絶版本多数」(高知新聞)という全体未聞の事態が発生した。図書館の建て替えに伴って、図書2万5432冊を焼却処分したとのこと。そして、それは何と焼却場に業者に委託した上で、司書立ち合いの下で燃やしたというのだ。2万5432冊のうち、残りの6659冊は複本がなく、完全にこの世から消滅した。

高知新聞によると、郷土関係は、土佐藩の国学者、鹿持雅澄が著したものを大正、昭和期に発行した「萬葉集古義」(1922~36年)をはじめ、「自由民権運動研究文献目録」(84年)、10年がかりで全国の自然植生を調べた「日本植生誌」の四国の巻(82年)など年代やジャンルなどとされている。

まず最初に「本を焼くような司書」はこの世に必要がない職だと思う。そして、焼く前に何故「データ化」するなどの当たり前の作業ができないのだろうか。図書館の仕事は「自炊」すらできないほど多忙だというのだろうか。焼けっぷりはさぞ壮観であったろう。馬鹿げている。

特に、歴史に関するものが大学教育に必要ないとして焼き払われたようであるが、この唯物史観にも大いに疑問を持たざるを得ない。地方の大学が単なる近代主義的テクノクラート教育を行うだけであれば、「そんなものは東京の大学と比べて鼻くそ以下の能力しかない」ことは明白だ。

地方の大学の良さ、とは、歴史研究を始めとした独特の発展形態であり、その根幹を焼き払うような連中に地方に生きる教育者としての自覚は無いように思う。特に日本の近代における国会創設史である自由民権運動の歴史を焼き払ったことは、「自由は土佐の山間より出づ」という言葉を前に恥ずかしくないのだろうか。

それにしても今回の焼却に至った理由がひど過ぎる。図書館の建て替えでデータも取らずに本を捨てるような場所は教育機関ではない。せめて寄贈するか、売却するという発想すら浮かばないのか。この高知県立大学のためにも東京からの地方交付税は支払われている。地方にも志高い教育機関は多数ある。このような大学はさっさと潰れてしまうことで、蔵書を他の大学に移してしまうべきだろう。

 


渡瀬 裕哉
渡瀬 裕哉

パシフィック・アライアンス総研所長
早稲田大学大学院公共経営研究科修了。トランプ大統領当選を世論調査・現地調査などを通じて的中させ、日系・外資系ファンド30社以上にトランプ政権の動向に関するポリティカルアナリシスを提供する国際情勢アナリストとして活躍。ワシントンD.Cで実施される完全非公開・招待制の全米共和党保守派のミーティングである水曜会出席者であり、テキサス州ダラスで行われた数万人規模の保守派集会FREEPACへの日本人唯一の来賓者。著書『トランプの黒幕 共和党保守派の正体』(祥伝社)は、Amazonカテゴリー「アメリカ」1位を獲得。主なメディア出演実績・テレビ朝日「ワイド!スクランブル」、雑誌「プレジデント」「ダイヤモンド」など。

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