しょうがい者雇用の水増しはなぜ大スキャンダルにならない?


【出典】フリー素材ぱくたそ

しょうがい者の法定雇用率についての問題が厚生労働省をはじめ、中央省庁で次々発覚しました。その動きは地方自治体にも広がっています。障害者雇用促進法を推進すべき国が法に違反しているという驚愕の事態が起きています。障害者手帳の確認などをしていなかったようです。

滋賀県では「採用試験の際には、受験者の障害者手帳の確認を行っている。一方、職員が在職中に障害を負った場合は、本人の申告に基づいて障害者に算入しているという」(産経新聞、記事)そうです。

今後、国では厚生労働省を中心に、各自治体でも調査をしていくようですが、本当は知っていたのではないかとの疑問の声も多く見られます。

障害者雇用促進法が定める法定雇用率

「障害者雇用促進法」によって、企業や行政機関に一定割合以上のしょうがい者を雇うよう義務付けています。

身体障害者及び知的障害者について、一般労働者と同じ水準において常用労働者となり得る機会を与えることとし、常用労働者の数に対する割合(障害者雇用率)を設定し、事業主等に障害者雇用率達成義務を課すことにより、それを保障するものである。

として、以下のように「法定雇用率」が算定されます。

【出典】厚生労働省HP

国の指針では、障害者手帳の所持者や指定医いよる診断書を持っている人が含まれる形となります。そして、以下のように、守るべき数字はこの4月に改訂されています。

【出典】厚生労働省HP

施策としては以下のような方向性だそうです。

障害者の就労意欲は近年急速に高まっており、障害者が職業を通じ、誇りをもって自立した生活を送ることができるよう、障害者雇用対策を進めています。

【出典】厚生労働省HP

民間企業の雇用状況(法定雇用率2.0%)の現状は以下のようになっています。

実雇用率 1.88%
法定雇用率達成企業割合 47.2%

【出典】厚生労働省HP

法定雇用率を守らないと、企業は罰金を支払わなければならないのです。たしかに、この数値を守るのは非常に大変なこと、難しいことも事実なのかもしれません。

しかし、それなら数値を守れない実態と合わせて数値を変える、そのためのデータやシミュレーションなど根拠を提示して、丁寧に説明するなどの活動が必要だったのではないでしょうか。

メディアで騒がれないのは?

夏の高校野球や台風のニュースが中心で、ニュースで触れる程度であり、あまり取り上げられていない。あの日本ボクシング連盟などの「大騒ぎ」は繰り広げられていません。あれほどの報道量でないのはなぜなのでしょうか?

報道しないのは、自民党総裁選があるからなのでしょうか?
報道する側の企業のほうも「実際のところ」守られているのでしょうか?

この問題は、政権批判とは関係なくはないですが、長年にわたる問題であり、まずは大きく取り上げるべきだと思います。権力機関が守れない数値を法制化して、自分のところは「偽装」していたという事実が問題なのです。

公文書の書き換え以上に深刻な問題だと思います。


明智秀敬

研究者
専門は会計、財政再建など。予算の配分と政治、既得権益の影響を調べている。

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