インドではじまるドローンビジネス


2018年12月1日民間ドローン飛行解禁

インド政府は、ドローン(無人航空機:Unmanned Aircraft)の飛行を、2018年12月1日より解禁します。これにより、一定の要件を満たすドローンは自由に飛行可能となり、その活用が期待されています。ドローンの運用に際しては一定の規制が課せられており、ドローン輸入時にはインド当局へ登録が必要となります。さらに、飛行禁止区域が設定されていたり、使用目的が限定されていたり、サイズによって登録要件が異なるなど、実際の使用に際し規制の事前確認が必須です。


【出典】写真:Business Standard HPより

ドローン規制の課題

①輸送の禁止
本規制で、想定されている用途は、現状撮影もしくは娯楽用のみです。それ以外の使用は安全保障上の目的から許可されておらず、先進国で想定するような無人の宅配サービス、タクシー、農薬散布などに使用することはできません。このような厳しい用途の限定は、ドローン活用の大きな妨げになることは間違いありません。

②輸入時(海外からの持ち込み)の登録義務
輸入時には、UIN(Unique Identification Number)と呼ばれる個別の識別番号を規制当局から取得することが義務付けられています。海外からの持ち込みに制限がかかるということは、外国の事業者が使い慣れているドローンをインドに持ち込んで撮影等を行おうとする場合、適切に使用できない可能性があります。

③外国人による操縦の禁止
外国人によるドローンの操縦は許可されていません。高度な撮影や測量が必要な場合にも、インド人操縦者に頼らざるを得ず、ドローン操縦技術の高いインド人の需要は今後高まっていくと考えられます

インドで民間ドローン飛行が解禁とはなりますが、制限事項が非常に多く、自由にビジネスを設計するには程遠い状況です。規制に関しては一部緩和されることも考えられますが、現状では不透明となっています。インド政府が国内の安全保障と新規の産業創出のバランスをどのようにとっていくのか、今後の動向が注目されます。

今後活用が期待される分野

①3次元マッピング
ドローンで空撮を行い、その撮影データを専用ソフトウェアを使用して解析することにより、3次元データを作成します。作成された3次元データは建築・土木などの設計・施工計画策定への利用が見込まれます。

②点検・検査
これまで有人で行っていた点検・検査作業をドローンが代替することになります。インドでは既にガス公社がパイプラインの点検作業などに活用し始めています。今後も橋梁や高圧線など、危険を冒して人が行っていた場所の点検・検査作業への活用が期待されています。

③農業の耕作状況の測定
農作物の生育状況を上空から撮影し、そのデータを解析・診断することにより、農作物に適切な処方改善措置を行うことが可能になります。インドでは農家の農作にかかる知識レベルがそれほど高くないこともあり、専門家が適時・適切なアドバイスを行うことにより、農作物の収量増加に貢献できます。

④その他、高所からの映像撮影
建築中の建物などを上空から撮影し、建築状況をリアルタイムで把握するだけでなく、建物からの眺望を購入予定者にイメージさせることもできます。また、屋外で開催される結婚式の空撮なども、当たり前の風景となっていくかもしれません。

現状、ドローンの使用は用途・目的が限られていますが、新規産業として成長していくことは間違いなく、今後の規制の動向が注目されます。
筆者個人としては、インドの成長にとって、インド農民の所得向上は必須と考えており、そのためにも農業分野での使用が積極的に進んでいけばよいと考えています。


鈴木慎太郎
鈴木慎太郎


米国公認会計士。SGC(スズキグローバルコンサルティング)代表。2010年5月よりニューデリー(インド)在住。40社以上のインド拠点設立、100社以上のインド・会計税務にかかるコンサルティングに従事。2016年よりスズキグローバルコンサルティングを設立し独立。日本企業向けにワンストップでインドの拠点設立・会計・税務・法務をカバーする総合コンサルティング事務所を経営。 URL: https://www.suzuki-gc.com

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