【第8回・ポリテック最前線】ポリテックと政治資金。音喜多新党クラファンはインフルエンサーも参加で想定外の1000万超え確実へ



【出典】写真はCAMPFIREより

ポリテックスタートアップのビジネスモデルに、政治資金が関係する可能性が高いです。例えば、PoliPoliはトークンエコノミーを活用した政治資金市場のリプレイスを行うビジネスモデルが発表されています。PoliPoliについては以前記事を書かせていただきました。詳しくはこちらも(以下)ご覧ください。

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【第4回・ポリテック最前線】PoliPoliとは税金ビジネスからスタートアップへのイノベーション
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ポリテックがビジネスである以上、お金を切り離すことはできず、政治資金のあり方について議論を深めていくことになるでしょう。

政治資金を集める手法としては、クラウドファンディングが用いられています。2014年東京都知事選挙の際は、クラウドファンディングサービスCAMPFIREの経営者の家入一真氏が744万円を集めたことが話題となりました。

そして、2016年参議院議員選挙で国民怒りの声が815万円
を集めました。今回クラウドファンディングに挑戦する音喜多新党は、国民怒りの声の記録を塗り替え、1,000万円を超えることが確実と見られます。このような現象がなぜ起こったのでしょうか。

あたらしい政党を作って、日本の政治を本気で変えたい!音喜多新党を立ち上げます(CAMPFIRE)
https://camp-fire.jp/projects/view/95522

予測不能だった初日の600万超え

音喜多新党のクラウドファンディングの目標額は、50日で300万円でした。しかし、初日で目標金額を300万円を大幅に上回り、600万円を超えました。10月1日現在、期限まで31日残っていますが、すでに900万円を超えています。1,000万円の大台突破も見えてきました。

クラウドファンディングで失敗しないために、知人にクラウドファンディングへ挑戦することを事前に相談することが一般的です。事前に反応を確認することで、おおよそ集まる金額を見積もることができます。さらに、相談する過程でヒアリングを行い、リターンや金額設定の参考にし、リスクを軽減することができます。

しかし、今回は予想以上の支援につながりました。その要因の一つは、インフルエンサーによる拡散です。何よりも音喜多駿東京都議会議員自身が、SNS上で影響力を持つインフルエンサーという点が重要です。影響力のない新人がクラウドファンディングに挑戦しても、資金調達は困難と言えます。さらに、音喜多新党に共感する著名人が自主的にシェアやリツイート、メール配信等で拡散をすることで、急速に認知度を高めていきました。

政治献金ではなくクラウドファンディングを用いた点も、成功の要因です。今回は「政党の立ち上げ」という目的で資金調達を実施しました。これは、新たなビジネスを創業するためにクラウドファンディングを用いる事例とも似ているため、クラウドファンディングを利用する層にとっては受け入れやすく、新規性のある最適な演出だったと言えます。また、政治献金と異なるポイントは、同じタイミングで支援を行った人たちのコミュニティが存在する点です。どのような理由で支援を行うことを決めたのか、多数の支援者の声をCAMPFIREやSNS上で確認することができるため、安心して仲間に加わることができます。

音喜多新党が見せたネット経由の政治資金と支援者集めの強み

今回、音喜多新党は、ネットで資金調達を行うことに長けていることを証明しました。
オンラインにおいても、一定の条件のもとで政治資金の調達が可能となりました。今回はクラウドファンディングという手法が用いられましたが、ごく一部の有権者に限定されていた「政治にお金を投じる」という行為が広まったことは、良い傾向と考えています。もちろん、通常の政治献金をオンラインで募ることも可能です。政策等で共感を集め選挙で当選する人物であれば、オンラインから献金で一定の資金を集めることは可能です。
音喜多新党がクラウドファンディングで目標を達成した場合の、資金の使い道も開示されています。広報用レンタカー150万円、ホームページ60万円、広報物制作費200万円、供託金600万円へ使用すると公開されています。その総額は1,010万円ですが、CAMPFIREの場合は手数料が20%かかり、さらにリターンを用意するため、集まった金額の25%~30%引かれた状態で手元に資金が残ります。不足分は、政治献金等の調達方法で用意する可能性があります。今回のクラウドファンディングにより信用力が高まり、追加の調達も可能でしょう。

また、音喜多新党は政治資金のみならず、実際にお金を出す支援者集めも同時に実現しています。基礎自治体レベルであれば、数票から数十票単位の差で勝敗が決することもあるため、今回のクラウドファンディングは選挙を有利に進める上でも重要です。今回は資金調達が主な目的でしたが、支援者を集める広報機能を強化することで、さらに認知度を高める余地も残っています。現在は音喜多駿都議がインフルエンサーの役割を果たしていますが、今後は各候補者がインターネット上で影響力を持ち、新たなインフルエンサーが生まれる可能性もあります。ネット選挙という観点からは、統一地方選を有利に進めることができるようになります。政党自体がインフルエンサーマーケティングを手がけるスタートアップのような存在になるでしょう。
もちろん、インフルエンサーに頼り、相手の顔がわからない状態は政治的に大きなリスクもあります。ネット上で有権者とのコミュニケーションを取る際は、お互いを認識することが重要になります。クラウドファンディングで獲得した資金の使い道の多くがアナログな投資であることからも、統一地方選挙では堅実な戦略を立て一定の当選数を獲得することが予想されます。


伊藤陽平
伊藤陽平

新宿区議会議員
30歳最年少の新宿区議会議員。立教大学経済学部経済政策学科卒業。大学在学中にIT企業を設立し、代表取締役に就任。Webアプリケーションの開発やWebマーケティング事業を展開。 ブロガー議員として365日年中無休でブログを更新し、多数のメディアへ寄稿する。また、日本初のAI議員として機械学習を議会活動で活用している。

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