<東京大改革の今:第17回>【KPIウオッチ】運動習慣をどう考える?


【出典】フリー素材ぱくたそ

先日は体育の日。体育祭が行われた学校もあったことだろう。スポーツ庁は体力・運動能力調査の結果を公表。この結果が興味深い。

・高齢者の体力(握力や上体起こしなど)は調査開始以降の最高
・40代以下の女性は運動習慣は低下

といった特徴がある

さて東京は?

日本全体の調査は置いておいて、29年1月に発表された「都民のスポーツ活動・パラリンピックに関する世論調査」を見てみよう。

【出典】「都民のスポーツ活動・パラリンピックに関する世論調査」

スポーツ・運動の1年間の実施状況については、
・週に1日以上実施が56%
・週に1日未満実施が26%
・実施しなかったが15%
という結果だ。ま~そんなもんかという感想しか出ませんね。

勤め人はスポーツする時間が確保できない?

内訳を見ていこう。職業別にみると特に面白い傾向がわかる。

【出典】「都民のスポーツ活動・パラリンピックに関する世論調査」

務め:
 専門・技術職
 労務・技能職
 販売・サービス職

が低いことがわかる。専門・技術職の週に1日以上実施率は44.2%。自営が56.7%となっていることからみても、自由にできる時間の有無が大きな要因のようにも考えられる。

しかし、他の属性で見ると、意外なことがわかる。ライフステージ別で見てみよう。「週に1日未満実施」は独身期で約4割、家族成長前期と家族形成期で4割近くとなっている。東京都にはこうした要素を見ながら施策を立案・考えて欲しいものだ、それが「EBPM」のはず!

さて東京都の「KPIウオッチ」

さて、運動習慣の現状に関して、東京とはどのような指標・KPIを設定しているのかをチェックしてみた。筆者のNPO日本公共利益研究所が進める「KPIウオッチ」をしてみよう。

残念ながら、健康・運動系の計画が見当たらない。だが、東京都の総合戦略

運動関係の成果指標・目標を探したところ、あった!

<具体的目標>
児童・生徒の体力:ピーク時である昭和 50 年代の水準まで向上【2019 年度】

という指標と目標数値(みたいなもの)と期限が書いてある。目標達成の起源は2020年3月!

より専門的な計画を見ていこう。東京都スポーツ推進総合計画を2018年3月に策定、そこには、「スポーツ実施率 70%」とある。

【出典】東京都スポーツ推進総合計画

このための「政策目標」として以下の9つが掲げられている。

◆スポーツを通じた健康長寿の達成
 □1年間にスポーツを実施しなかった都民(18歳以上)の割合
 □スポーツが「嫌い」「やや嫌い」と回答する中学2年生の割合
 □1年間にスポーツを支える活動を行った都民(18歳以上)の割合
◆スポーツを通じた共生社会の実現
 □障害のある都民(18歳以上)のスポーツ実施率
 □20~30歳代女性(都民)のスポーツ実施率
 □60歳以上の都民のスポーツ実施率
◆スポーツを通じた地域 ・経済の活性化
 □1年間にスポーツを直接観戦した都民(18歳以上)の割合
 □東京2020大会に出場する都が発掘・育成・強化したアスリート数
 □都内のスポーツ市場規模(スポーツGDP)

だそうだ。比較的よくはできている。KPIの専門家から見て疑問はあるが、厳しい指摘はおいておいてあげるか(笑)。

現実的?具体的な活動は?

さて、問題は目標数値のほうだ。

□1年間にスポーツを実施しなかった都民(18歳以上)の割合:
【現状】15.0%→【2020年目標】7.5%
□1年間にスポーツを支える活動を行った都民(18歳以上)の割合:
【現状】13.1%→【2020年目標】20%

という高い目標が掲げられている。結構高い目標のように感じられる(過去の数値を考えたら)。この計画にも様々な施策・事務事業が明記されていて、他の計画にも子供向けには「総合的な子供の基礎体力向上方策」として
「現在は、平成28年1月に「総合的な子供の基礎体力向上方策(第3次推進計画)」として策定した「アクティブプランto 2020」に基づいて、子供の体力向上に向けた取組を推進しています」など多様な取り組みである。

しかし、この指標・KPI・目標値には問題がある。

そもそも指標が意味不明
□各指標がどう「スポーツ実施率 70%」に貢献するのか?
□目標達成が現実的なのか?
□掲げられた施策・事務事業が目標達成にどう貢献するのか?
□どこにこの目標を達成するだけに必要な予算・人件費(業務時間)があるのか?
□目標の根拠は?
□達成できないときの責任は?

「エビデンス」のある説明を待ちたい。


西村健
西村健

人材育成コンサルタント、NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、事業創造大学院大学 国際公共政策研究所 研究員・ディレクター、一般社団法人日本経営協会講師、未来学者。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア入社。 その後、日本能率協会コンサルティングで経営・業務改革、人材育成、能力開発を支援してきた。独立後、人事評価制度構築・運用、キャリアカウンセリングなどのコンサルタントとして活動中。最近はプレゼンテーション向上、モチベーション施策などに注力。

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